関税定率法等改正案
海外通販など個人輸入品の「6割課税」特例を廃止し、保税業者や不当廉売関税のルールも見直す改正です。
公布済み
次: 公布・施行
一言で言うと
海外通販などで日本に入る荷物について、値引き後の申告額ではなく、実際の取引に近い価格で税を計算し、国内外の取引条件をそろえる改正です。
この法案のポイント

何が変わる?
海外通販など個人輸入品の「6割計算」特例を廃止し、関税・保税・不当廉売関税のルールを見直す改正です。
2028年4月から、個人使用貨物の課税価格を海外小売価格の6割で見る特例を廃止します。保税業者の管理規則作成や業務改善命令、不当廉売関税の迂回品への課税も整えます。

なぜ今?
海外通販などによる少額輸入貨物の急増が背景です。
財務省資料では、2024年の輸入許可件数は約1億9,000万件で、2019年の約4,600万件の約4.1倍です。課税価格1万円以下の少額貨物は、全輸入許可件数の約9割を占めます。

誰に関係する?
海外通販で個人輸入する人、輸入貨物を扱う保税・物流事業者に関係します。
個人輸入では少額免税の判定に影響する場合があります。保税業者や輸入事業者には、貨物管理の手順整備や不当廉売関税の迂回防止対応が関わります。
詳しく読む
海外通販の関税計算「6割ルール」を廃止へ 少額輸入の急増に対応
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海外通販などで個人使用の品を輸入する際、課税価格を「海外小売価格の6割」とみる特例が、2028年4月1日に廃止されます。あわせて、保税業者への業務改善命令、不当廉売関税の迂回防止、暫定税率の延長なども盛り込まれています。資料:財務省「関税定率法等の一部を改正する法律案」概要
💡 一言で言うと
海外通販の関税計算を、買った金額に近づける改正です。
個人使用の輸入品は、これまで「海外小売価格×0.6」で課税価格を計算する特例がありました。改正後はこの特例がなくなり、2028年4月1日から原則の計算に戻ります。
たとえば海外通販で1万5,000円の品を買った場合、現行では課税価格が9,000円と計算される場面があります。改正後は原則として1万5,000円を基礎に見るため、少額免税の「課税価格1万円以下」という判定に影響します。
🔑 何が変わるのか
最も身近な変更は、個人使用貨物の「6割計算」廃止です。
このほか、次の改正も入っています。
- 輸入許可前の貨物を扱う保税業者に、業務手順や体制の規則づくりを義務付け
- 税関長による業務改善命令を新設
- 不当廉売関税を避けるために供給国や品目を変える「迂回」品にも、同等の割増関税を課せる制度を新設
- 関税法上の犯則調査で、電子データの提供命令や令状手続の電子化を整備
- 暫定税率404品目などの期限を延長
🏛️ 背景 なぜ今この改正なのか
背景にあるのは、少額輸入貨物の急増です。
財務省資料では、2024年の輸入許可件数は約1億9,000万件で、2019年の約4,600万件の約4.1倍とされています。課税価格1万円以下の少額貨物は、全輸入許可件数の約9割を占めています。
「6割計算」は、1980年に法制化された制度です。当時は海外旅行の土産品などを念頭に、個人使用の品を商業貨物と比べて不利に扱わないための仕組みでした。
その後、海外通販や越境ECが広がり、個人向けに直接届く小口貨物が増えました。政府資料は、国外事業者が消費者に直送する品と、国内事業者が商業貨物として輸入して販売する品との間で、課税価格の扱いに差が出ていることを見直し理由に挙げています。
📊 現行制度と改正後の違い
1. 海外通販などの個人使用貨物
- 現行
個人使用の輸入品は、海外小売価格に0.6を掛けて課税価格を計算する特例があります。
- 改正後
この特例を廃止します。2028年4月1日から適用されます。
- 影響
課税価格1万円以下の少額免税の判定で、これまで1万円以下と計算されていた品が、改正後は1万円を超える計算になる場合があります。
2. 保税業者のルール
保税地域とは、輸入許可前の外国貨物を税関の監督下で置く場所です。
- 現行
税関の対応は、助言・指導と、搬入停止や許可取消しなどの行政処分が中心でした。
- 改正後
保税業者に、貨物管理の手順や体制を定めた規則の作成を義務付けます。税関長による業務改善命令も新設します。
- 施行日
2026年6月1日です。
3. 不当廉売関税の迂回防止
不当廉売関税とは、輸出国での通常価格より低い価格で輸入され、国内産業に損害が出る場合に上乗せされる関税です。
- 現行
対象貨物や供給国を指定して課税します。
- 改正後
供給国や品目を変えて課税を避ける迂回行為について、迂回品にも同等の割増関税を課せる制度をつくります。対象は、第三国迂回、軽微変更迂回、輸入国迂回の3類型です。
- 調査期間
原則10か月以内、最大で6か月延長です。
4. 暫定税率と免税制度
- 暫定税率404品目
2026年3月31日までの期限を、2027年3月31日まで1年延長します。
- 特別緊急関税制度
同じく2027年3月31日まで延長します。
- 加糖調製品5品目
暫定税率を引き下げます。
- ココア粉:19.0% → 17.7%
- ココアの調製品:19.9% → 18.9%
- ミルクの調製品:21.2% → 20.1%
- たんぱく質濃縮物:5.8% → 3.9%
- 乳糖を含有する調製食料品:21.2% → 20.1%
- 石油化学製品製造用の揮発油、灯油、軽油
暫定的な無税扱いを、基本税率として無税にします。
- 航空機部分品等免税制度、加工再輸入減税制度
2026年3月31日までの期限を、2029年3月31日まで3年延長します。
📅 施行日
この法律は、原則として2026年4月1日から施行されます。
ただし、主な例外があります。
- 保税業者への業務改善命令など:2026年6月1日
- 犯則調査手続のデジタル化:2027年10月1日
- 個人使用貨物の「6割計算」廃止:2028年4月1日
👥 影響を受ける人・事業者
- 海外通販で個人使用の品を輸入する人
- 輸入貨物を扱う保税業者、物流事業者
- 海外から商品を仕入れる小売事業者
- 不当廉売関税の対象品に関係する輸入事業者、国内メーカー
- 航空機、宇宙、繊維、皮革、石油化学、食品原料に関係する事業者
個人に近い論点は、2028年4月からの「6割計算」廃止です。事業者に近い論点は、保税業者の管理体制、不当廉売関税の迂回防止、暫定税率の延長です。
🏛️ 審議経過
この法案は、2026年2月20日に内閣から提出されました。
衆議院では2026年3月13日に可決、参議院では2026年3月31日に可決され、同日に法律第5号として公布されました。
🔭 今後の見通し
財務省の答申資料では、少額輸入貨物に関する残る検討課題として、関税の少額免税制度や少額輸入貨物の簡易税率が挙げられています。
今回の法律で決まったのは、個人使用貨物の「6割計算」を2028年4月1日に廃止することです。少額免税制度や簡易税率の扱いは、別の検討事項として示されています。
🔗 参考リンク
- 参議院 議案情報 関税定率法等の一部を改正する法律案
- 財務省 第221回国会における財務省関連法律
- 財務省 法律案概要PDF
- 財務省 法律案要綱
- 財務省 令和8年度における関税率及び関税制度の改正等 資料1
- 財務省 答申別紙資料
- 財務省 課税価格決定の特例の廃止
- 財務省 不当廉売関税の迂回防止に関するワーキンググループとりまとめ
- 税関 課税価格の合計額が1万円以下の物品の免税適用について
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