金融機能強化法等改正案
地域金融機関への公的資本参加や合併・経営統合支援を使いやすくし、共同システム支援も加える改正です。
公布済み
次: 公布・施行
一言で言うと
人口減少や災害で地域の金融機関が弱らないよう、国のお金で支える仕組みを使い続けられるようにし、地域の預金や融資を守る改正です。
この法案のポイント

何が変わる?
地域金融機関への公的資本参加を期限なしにし、経営統合や共同システム支援も広げる改正です。
資本参加の申込期限を廃止し、合併・経営統合への資金交付は2031年3月31日まで延長します。中小の地域金融機関が共同で使う情報処理システムの設計・開発支援も新設します。

なぜ今?
人口減少と預金・収益環境の変化で、地域金融機関の経営基盤を支える必要があるためです。
金融庁資料は、2021年以降、個人預金量が減少する地域金融機関が増える傾向にあり、信用金庫・信用組合では2023年12月以降、減少機関数が増加機関数を上回っていると説明しています。

誰に関係する?
地域銀行、信用金庫、信用組合などの地域金融機関に関係します。
地元企業への融資、事業承継、振込・口座などの決済サービスを担う金融機関が、経営統合、資本増強、システム共同化を選びやすくする制度です。
詳しく読む
地域の銀行・信用金庫への公的資金支援を長く使える仕組みに
🏦 地域金融 / 💴 公的資金 / 🧑💻 銀行システム共同化
地域銀行や信用金庫・信用組合などの経営基盤を支える制度を見直す法律案です。国の資本参加は申込期限を外し、合併・経営統合への資金交付は2031年3月末まで延長します。銀行システムを共同で使うための支援も新設します。詳しくは金融庁の概要資料で確認できます。
💡 一言で言うと
地域金融機関を支える公的資金制度を、人口減少や災害に備えて使い続けられる形にします。
現行制度では、地域金融機関が国の資本参加を申し込める期限が2026年3月31日まででした。改正後はこの期限を廃止し、「当分の間」の制度にします。
あわせて、合併・経営統合にかかる費用支援を2031年3月31日まで延長し、預金・振込・融資などを処理する基幹システムを共同化する場合の支援も設けます。
🔑 何が変わるのか
核心は、地域金融機関の「体力づくり」を国が支える制度を広げることです。
主な改正点は次の通りです。
- 国の資本参加
預金保険機構が優先株式・優先出資などを引き受け、金融機関の自己資本を厚くする制度の期限を廃止します。
- 災害・感染症への備え
大規模災害や感染症のまん延などで地域の金融機能に大きな影響が出る場合、内閣総理大臣が指定した事態について、資本参加の特例を使えるようにします。
- 合併・経営統合への資金交付
申請期限を2031年3月31日まで延長します。交付上限額も、金融庁資料では現行30億円から50億円などへ引き上げる内容が示されています。
- 銀行システム共同化への支援
中小の地域金融機関などが共同で使う情報処理システムの設計・開発に、預金保険機構が資金を交付する制度を新設します。
- 信用金庫・信用組合などの資本調達をしやすくする見直し
優先出資の消却方法を柔軟にし、一般の優先出資を受け入れやすくします。
🏛️ 背景(なぜ今この改正なのか)
背景にあるのは、人口減少と地域金融機関の収益環境の変化です。
金融庁資料では、2021年以降、個人預金量が減少する地域金融機関の数が増える傾向にあり、特に信用金庫・信用組合では2023年12月以降、個人預金量が減少する機関数が増加する機関数を上回っていると説明されています。
地域金融機関は、地元企業への融資、事業承継、事業再生、日々の決済サービスなどを担っています。一方で、サイバー攻撃対策、犯罪収益の資金洗浄対策、システム更新、人材確保などの費用もかかります。
このため、金融機関が単独で設備投資やシステム維持を続けるのが難しい地域では、合併・経営統合やシステム共同化を進めやすくする制度が用意されます。
📊 現行制度と改正後の違い
1. 国の資本参加
現行制度では、金融機関が国の資本参加を申し込める期限は2026年3月31日までです。
改正後は、この申込期限を廃止し、「当分の間」申し込める制度にします。具体的な終了日は条文上置かれません。
また、資本参加を受ける金融機関へのチェックも見直されます。金融機能強化審査会の意見聴取を全件で必要にし、必要な場合には経営強化計画の変更を命じられる仕組みを設けます。
2. 災害・感染症時の特例
これまでは、東日本大震災や新型コロナの際に、その都度、特例が整えられてきました。
改正後は、大規模災害や感染症のまん延などで地域の金融機能に重大な影響が出る事態を、内閣総理大臣が指定できるようにします。指定された場合、経営強化計画などの記載事項の一部を省ける特例を使えます。
3. 合併・経営統合への資金交付
現行制度では、合併・経営統合などを行う地域金融機関に対し、追加的な初期費用の一部を預金保険機構が交付します。申請期限は2026年3月31日までで、上限は30億円、補助率は3分の1です。
改正後は、申請期限を2031年3月31日まで延長します。
金融庁資料では、主な交付額・補助率として次の内容が示されています。
- 合併・経営統合等
上限30億円 → 50億円
補助率は銀行が3分の1、信用金庫・信用組合などは2分の1
- 地域の持続可能性の確保などに特に関わる場合
上限 75億円
補助率 2分の1
また、市場での株式取得による子会社化も交付対象に加え、経営統合後の一定期間内の申請も認めます。
4. 銀行システム共同化への資金交付
改正後は、地域金融機関が共同で使う情報処理システムの設計・開発も支援対象になります。
対象となるには、業務の合理化や収益性の向上が見込まれること、地域経済の活性化に向けた方策が適切であることなどが条件です。
金融庁資料では、申請期限を2036年3月31日までとし、次の内容が示されています。
- 共同システムへの新規加盟など
上限 15億円
補助率は銀行が4分の1、信用金庫・信用組合などは3分の1
- 協同組織金融機関向けの共同システム更改
上限 150億円
補助率 4分の1
5. 組織再編成促進法の期限廃止
金融機関等の組織再編成の促進に関する特別措置法でも、経営基盤強化計画の認定申請期限を廃止し、当分の間の措置にします。
6. 信用金庫・信用組合などの優先出資
信用金庫・信用組合などの協同組織金融機関は、会員・組合員からの普通出資を基本にしています。これを補う仕組みが、優先出資です。
現行制度では、優先出資を消却するための元手が、普通出資の増加分や剰余金に限られていました。
改正後は、債権者を保護する手続きを整えたうえで、資本金等を減らして剰余金に振り替え、公的優先出資以外の一般の優先出資を消却できるようにします。
👥 影響を受ける人・対象者
主な対象は、地域銀行、信用金庫、信用組合などの地域金融機関です。
生活者や地元企業にとっては、口座、振込、融資、事業承継支援などを担う地域金融機関の経営基盤に関わる改正です。制度を使うかどうかは金融機関側の申請や計画によります。
地方自治体にとっても、地域企業の資金繰り、事業承継、まちづくりなどで地域金融機関が関わる場面があるため、地域経済の基盤に関係する制度です。
📅 施行日と経過措置
施行日は、原則として公布の日から3か月以内に政令で定める日です。
ただし、次の規定は公布の日から施行されます。
- 国の資本参加の申込期限を廃止する規定
- 合併・経営統合等への資金交付制度の申請期限を2031年3月31日まで延長する規定
- 組織再編成促進法の申請期限を廃止する規定
🧭 国会での経過
この法律案は、第221回国会に内閣提出法案として提出されました。
- 2026年2月27日:提出
- 2026年4月16日:衆議院本会議で可決
- 2026年4月24日:参議院本会議で可決
🔗 参考リンク
- 金融庁:第221回国会における金融庁関連法律案
- 金融庁:法律案の概要
- 金融庁:説明資料
- 金融庁:法律案要綱
- 金融庁:新旧対照条文
- 参議院:議案情報
- 衆議院:議案経過情報
- 金融庁:地域金融力強化プランについて
- 総務省統計局:人口推計
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