産業・交通

産業競争力強化法等改正案

企業の大規模国内投資を税制・金融・用地面で支え、地域の生活サービス維持も後押しする改正です。

第221回国会閣法第15号提出者: 内閣提出: 2026/3/5
成立

公布済み

次: 公布・施行

先委先本後委後本成立

一言で言うと

大きな設備投資や地域に必要なサービスを続ける企業を、国が認定し、資金や手続きで後押しして、産業と地域の仕事を支えやすくする改正です。

この法案のポイント

制度変更を表すイラスト

何が変わる?

企業の大規模国内投資を税制・金融・用地面で支え、地域生活サービス維持も後押しする改正です。

原則35億円以上、中小企業等は5億円以上の設備投資に即時償却や税額控除を使えるようにします。産業用地整備、生活必需品販売・交通・物流・給油所などの維持、貿易保険の特別勘定も整えます。

背景やタイミングを表すイラスト

なぜ今?

国際経済の変化、物価上昇、人口減少の中で、国内の産業基盤と地域サービスを保つためです。

政府資料は、米国の関税措置などの国際経済事情、資源価格変動による物価上昇、人口減少や少子高齢化を背景に挙げています。

関係する人や地域を表すイラスト

誰に関係する?

設備投資を行う企業、自治体、金融機関、地域サービスを担う事業者に関係します。

生活者には、直接の税制優遇ではなく、工場立地、雇用、買い物、交通、物流、燃料、自動車整備などの地域サービスを通じて関係します。

詳しく読む

大型の国内投資を呼び込み、地域で働く人の暮らしの基盤も支える改正

🏭 国内投資 / 🧾 設備投資税制 / 🏞️ 工場用地 / 🚌 地域サービス

企業の大規模な国内投資を、税制・金融・用地整備の面から支える法案です。あわせて、買い物、交通、物流、ガソリンスタンドなど、地域で働く人の生活に関わるサービスを維持しやすくする制度も入っています。詳しくは経済産業省の法律案概要で確認できます。

💡 一言で言うと

企業の大型投資と地域サービス維持を、国がまとめて支えます。

この法案は、企業が国内で大きな設備投資をしやすくするための税制・融資支援を整えるものです。

対象になる投資は、原則として全業種で、投資規模が35億円以上、中小企業等は5億円以上などの条件を満たすものです。条件を満たす設備には、即時償却や税額控除が使えるようになります。

🔑 何が変わるのか

主な変更点は5つです。

1つ目は、大型設備投資への税制支援です。投資利益率15%以上、投資規模35億円以上などの条件を満たす設備投資について、即時償却または税額控除を使えるようにします。

2つ目は、急な国際情勢の変化やコスト上昇に対応する企業への金融支援です。認定を受けた計画に基づく設備投資について、日本政策金融公庫のツーステップローンや中小機構の債務保証などを使えるようにします。

3つ目は、工場やデータセンターなどの用地整備です。自治体などが産業用地の整備計画を作り、承認を受けた場合に、土地譲渡に関する税負担の軽減や中小機構による融資・助言を受けられるようにします。

4つ目は、地域の生活サービスの維持です。生活必需品の販売、交通、物流、ガソリンスタンド、自動車整備などについて、事業者が効率化や広域化を進める計画を認定する制度を作ります。

5つ目は、貿易保険の特別な枠組みです。日本企業の供給網を途切れにくくするため、株式会社日本貿易保険に特別勘定を設け、政府が上限3兆円の国債を交付できる仕組みを設けます。

🏛️ 背景(なぜ今この改正なのか)

政府資料では、背景として、米国の関税措置などの国際経済事情の変化、資源価格の変動による物価上昇、人口減少や少子高齢化が挙げられています。

企業が国内に工場や設備を置くには、税制や資金調達だけでなく、用地、水、周辺の生活環境も関わります。工場で働く人が暮らす地域では、買い物、移動、物流、燃料、自動車整備などのサービスも必要です。

この法案は、企業の投資支援と、地域の産業基盤・生活基盤の維持を一体で扱う内容になっています。

📊 現行制度と改正後の違い

1. 大型設備投資の税制

改正後は、「大胆な投資促進税制」の対象となる設備を、産業競争力強化法上の「特定生産性向上設備等」として定めます。

対象の主な条件は次の通りです。

  • 原則として全業種が対象
  • 投資利益率(ROI)が15%以上
  • 投資規模が35億円以上
  • 中小企業等は5億円以上
  • 対象資産は、機械装置、器具備品、工具、建物、構築物、建物附属設備、ソフトウェアなど
  • 2029年3月31日までに投資計画の確認を受けること
  • 確認を受けた日から5年以内に取得し、事業で使うこと

税制措置は、即時償却または税額控除です。税額控除は原則7%、建物・建物附属設備・構築物は4%です。控除できる上限は、法人税額の20%です。

国際経済事情の急激な変化に対応する認定計画の場合、税額控除を使い切れなかった分を、最大3年間繰り越せる仕組みも設けます。

2. 事業環境の変化に対応する金融支援

産業競争力強化法には、経済環境に合わせて事業のやり方を変える「事業適応計画」の制度があります。

今回、次の2類型を加えます。

  • 国際経済事情激変事業適応

急な国際経済事情の変化に対応する計画

  • 事業費上昇事業適応

原材料費や人件費など、事業費の上昇に対応する計画

認定を受けた計画に基づく設備投資では、日本政策金融公庫のツーステップローン、中小企業基盤整備機構の債務保証、社債管理者の設置義務の緩和などが使えるようになります。

3. 工場用地・データセンター用地の整備

工場立地法では、大規模な工場について、敷地面積9,000㎡以上または建築面積3,000㎡以上の場合、緑地などの面積にルールがあります。

通常は、工場敷地のうち、

  • 環境施設面積:25%以上
  • そのうち緑地面積:20%以上

が求められます。

改正後は、地域経済牽引事業のための工場などについて、市町村が条例で緑地面積率などの特例を定めやすくします。その際、周辺の生活環境への配慮を計画に書く仕組みも入ります。

また、自治体などが産業用地整備計画を作り、承認を受ける制度を新設します。承認された計画では、土地譲渡に関する税負担の軽減や、中小機構による融資・助言が使えるようになります。

データセンターについては、工業用水の給水区域内にある対象施設に対し、工業用水道事業として水を供給する扱いを設けます。

4. 地域の生活サービス維持

人口減少や少子高齢化が進む地域では、生活必需品の販売、交通、物流、ガソリンスタンド、自動車整備などのサービスを続けることが課題になります。

改正後は、こうした事業者が、

  • 事業の合理化
  • 多角化
  • 広域化
  • 共同化

などを進める計画を作り、行政の認定を受けられる制度を新設します。

認定を受けた場合、信用保証、日本政策金融公庫の低利融資、中小機構等の債務保証などの支援を受けられるようにします。

また、生協が組合員以外にサービスを提供する場合の許可手続、地方公務員が地域サービスに関わる場合の兼業許可との調整、事業協同組合などの設立要件の緩和も盛り込まれています。事業協同組合などの発起人数は、現行の4人以上から、認定計画に基づく場合は3人以上に緩和されます。

👥 影響を受ける人・対象者

主な対象は、設備投資を行う企業、地域の生活サービスを担う事業者、自治体、金融機関です。

生活者には、直接の税制優遇よりも、地域の雇用、工場立地、交通・物流・買い物などのサービスを通じて関係します。

自治体にとっては、産業用地の整備、工場立地の条例、生活サービス維持の協議会づくりなどで関わる場面が増えます。

📅 施行日と経過措置

施行日は、一部を除き、公布の日から3カ月以内で政令が定める日です。一部の規定は、公布の日から6カ月以内で政令が定める日とされています。

大型投資税制では、投資計画の確認期限が2029年3月31日です。確認後、5年以内に設備を取得し、事業で使うことが条件です。

貿易保険の特別勘定に関する国債交付は、2029年3月31日までの間、上限3兆円で行える仕組みです。

🔭 今後確認が必要な点

この法案は、細かな基準の多くを省令や指針に委ねています。

たとえば、特定生産性向上設備等の具体的な確認基準、生活サービス維持計画の認定基準、工場緑地の特例基準などは、今後の省令・告示・指針で具体化されます。

公表資料から確認できるのは、制度の枠組み、主な対象、主要な数値要件までです。

🔗 参考リンク


リアルタイム速報はXで → @kokkai_sokuho