物流効率化法改正案
長距離トラック輸送を途中拠点で引き継ぐ「中継輸送」を制度化し、複数事業者の共同計画を認定する改正です。
公布済み
次: 公布・施行
一言で言うと
長距離トラック輸送で、途中の拠点を使って運転手交代や荷物の積み替えをしやすくし、物流の負担や長時間運転を減らすための改正です。
この法案のポイント

何が変わる?
長距離トラック輸送を途中拠点で引き継ぐ「中継輸送」を制度化する改正です。
2以上のトラック事業者などが共同で貨物自動車中継輸送実施計画を作り、国土交通大臣の認定を受けられます。認定計画では運送、ターミナル、倉庫業の一部手続を一括で扱う特例も設けます。

なぜ今?
トラックドライバー不足と長距離運行の見直しが背景です。
2024年4月からトラックドライバーにも時間外労働の上限規制が適用されました。総合物流施策大綱では、2030年度に平均約7%、最大約25%の輸送力不足が生じうるとされています。

誰に関係する?
トラック事業者、荷主、倉庫業者、物流施設の整備事業者に関係します。
中継施設には、複数トラックの駐停車、一時保管、道路結節点への近接、待機・疲労回復設備、搬入出や仕分けを効率化する設備などが想定されています。
詳しく読む
長距離トラックを途中でつなぐ拠点を認定制に 中継輸送を制度化
🚚 長距離トラック / 🔁 中継輸送 / 🏗️ 物流拠点
第221回国会の閣法第16号は、長距離トラック輸送を途中の拠点で引き継ぐ「中継輸送」を法律上の制度にする改正案です。トラック事業者などが共同で計画を作り、国土交通大臣の認定を受ける仕組みを新設します。
💡 一言で言うと
長距離トラックを途中で交代・積み替えできる拠点を増やす改正です。
従来の長距離運送は、1人のドライバーが長い距離を走る形になりやすく、日帰りが難しい運行もあります。改正案は、途中の施設で運転者の交代や貨物の受け渡しをしやすくするため、計画認定、手続の特例、資金支援などの制度を整えます。
🔑 何が変わるのか
改正の中心は、「貨物自動車中継輸送事業」という新しい制度です。
これは、2以上のトラック事業者などが、特定の中継施設でトラック同士の運転者交代や貨物の受け渡しを行い、1人あたりの走行距離を短くする取り組みです。
主な変更点は次の通りです。
- 国土交通大臣が、中継輸送の基本方針を定めます。
- 国、地方公共団体、トラック事業者、荷主、倉庫業者などに、中継輸送への助言・協力などの努力義務を置きます。
- 事業者は共同で「貨物自動車中継輸送実施計画」を作り、国土交通大臣の認定を受けられます。
- 認定を受けた計画について、トラック運送、トラックターミナル、倉庫業の一部手続を一括して扱う特例を設けます。
- 鉄道・運輸機構による出資・貸付け、税制、開発許可での配慮などが支援メニューに位置付けられます。
🏛️ 背景:なぜ今この改正なのか
背景にあるのは、トラックドライバー不足と長距離輸送の見直しです。
2024年4月から、トラックドライバーにも時間外労働の上限規制が適用されました。政府資料では、1人の運転者が長距離を通しで走る働き方の見直しが求められ、中継輸送のニーズが高まっていると説明されています。
また、政府の物流政策では、2030年度に向けた輸送力不足も課題に挙げられています。2026年度から2030年度までの総合物流施策大綱では、2030年度に平均で約7%、最大で約25%の輸送力不足が生じうるとの見通しが示されています。
中継輸送は、長距離を複数のドライバーで分担し、帰り荷の確保や運行効率の改善につなげる仕組みとして位置付けられています。
📊 現行制度と改正後の違い
1. 中継輸送の位置付け
現行制度では、中継輸送そのものを対象にした専用の認定制度はありません。
改正後は、「貨物自動車相互間の中継輸送の促進」という章を法律に加えます。2以上のトラック事業者が、特定施設で運転者の交代または貨物の受け渡しを行う事業を、法律上の制度として扱います。
2. 中継施設の要件
改正後は、対象となる施設を「特定貨物自動車中継輸送施設」として定義します。
主な要素は次の通りです。
- 2以上のトラックが駐車・停留できること
- 貨物を積み替えるまで一時的に保管できること
- 高速道路など物流の結節点となる道路の近くにあること
- 入浴設備を備えた待機所など、ドライバーの疲労回復施設があること
- トラックの出入り管理や貨物の搬入・搬出・仕分けを効率化する設備があること
3. 事業計画の認定
現行では、関係する許可や届出を個別に扱う必要があります。
改正後は、事業者が共同で作る「貨物自動車中継輸送実施計画」を国土交通大臣が認定します。認定計画に含まれる一定の手続について、貨物自動車運送事業法、自動車ターミナル法、倉庫業法上の許可・届出などを受けたものとみなす特例が設けられます。
4. 税制・資金面の支援
国土交通省の資料では、認定事業に対する支援として、固定資産税・都市計画税の特例、鉄道・運輸機構による出資・貸付け、計画策定経費や初年度運行経費の支援などが掲げられています。
税制改正資料では、対象となる物流拠点について、2026年4月1日から2028年3月31日までに取得した家屋は、取得後5年間、固定資産税・都市計画税の課税標準を2分の1に軽減するとされています。一定の構築物は、固定資産税の課税標準を4分の3にします。
👥 影響を受ける人・対象者
トラック事業者
長距離運行を複数社で分担する計画を作り、国の認定を受ける選択肢ができます。中小事業者も共同で中継輸送に参加しやすくすることが狙いです。
荷主・倉庫業者
荷主は、商品を出す企業や受け取る企業を指します。改正後は、業務に支障のない範囲で、中継輸送の円滑な実施に協力する努力義務が置かれます。
物流施設の整備事業者
高速道路の近くなどに、中継輸送に使う物流拠点を整備する事業者は、認定計画に基づく支援の対象になり得ます。対象は、地方公共団体の関与や公共性などの要件を満たす物流拠点です。
生活者
生活者への関係は、配送網を支える拠点整備を通じた間接的なものです。食品、日用品、通販商品などを運ぶ長距離物流を、少ない人手でも維持しやすくする制度設計です。
📅 施行日と国会での位置
施行日は、公布の日から6か月以内で政令が定める日です。一部の準備行為は、公布の日から行えるようになります。
また、政府は施行後5年を目途に、改正後の制度の実施状況を検討し、必要な措置を講じることになっています。
国会での経過は次の通りです。
- 2026年3月6日:内閣提出
- 2026年4月10日:衆議院国土交通委員会で可決
- 2026年4月14日:衆議院本会議で可決
- 2026年4月22日:参議院国土交通委員会に付託
🔗 参考リンク
- 参議院 議案情報:物資の流通の効率化に関する法律の一部を改正する法律案
- 国土交通省 国会提出法律案一覧
- 法律案概要
- 法律案要綱
- 法律案・理由
- 新旧対照条文
- 総合物流施策大綱(2026年度~2030年度)
- 令和8年度税制改正概要(国土交通省)
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