地域公共交通活性化再生法改正案
交通空白地域で自治体が運送の担い手を選び、病院・学校・交通事業者の協力をつなぐ制度をつくる改正です。
公布済み
次: 公布・施行
一言で言うと
地域のバス、タクシー、住民の移動サービスをつなぎ、車がなくても移動しやすい地域交通を作り、生活の足を残しやすくする改正です。
この法案のポイント

何が変わる?
交通空白地域で自治体が運送の担い手を選び、病院・学校・交通事業者の協力をつなぐ制度をつくる改正です。
新たに自動車地域旅客運送サービス再構築事業を設け、施設送迎や他の交通事業者の車両・人員を組み合わせやすくします。船舶検査時の代替運航や、乗降データ提供の仕組みも加わります。

なぜ今?
バス路線の廃止やタクシー不足で、買い物・通院・通学の移動手段が足りない地域が増えているためです。
国土交通省は全国に約2,500の交通空白があるとし、2016年度から2024年度にかけて路線バス約1万5,804km、鉄軌道約533kmが廃止されたと示しています。

誰に関係する?
日常移動を地域交通に頼る住民、自治体、交通事業者、学校・病院などの送迎主体に関係します。
自治体は運送主体の選定や実施計画づくりを担い、交通事業者は車両・運転者・乗降データの提供で関わります。無償送迎を行う施設も、地域交通の関係者として明示されます。
詳しく読む
地域の車と人を融通し、移動手段の空白を埋める仕組みへ
🚌 地域の足 / 🚕 バス・タクシー / ⛴️ 離島航路 / 📊 交通データ
バス路線の廃止やタクシー不足などで移動手段が足りない地域に、自治体が運送の担い手を選び、学校・病院・交通事業者などの協力をつなぐ制度を作る法案です。船の検査で航路が止まりそうな場合の代替運航や、交通データの提供ルールも盛り込まれています。全体像は国土交通省の概要資料で確認できます。
💡 一言で言うと
自治体が地域の車・人・データをつなぎ、移動手段の空白を埋める法案です。
今回の改正は、地域公共交通を自治体だけ、交通事業者だけで支えるのではなく、学校や病院の送迎車、タクシー会社の運転者、民間団体の調整力、乗降データなどを組み合わせやすくするものです。
対象になるのは、バス路線やタクシーの営業区域、公共ライドシェア(自治体などが自家用車等で有償運送する仕組み)で、休止・廃止された場所や、そのおそれがある場所です。
🔑 何が変わるのか
中心は、自治体主導で「誰が運ぶか」「誰が車両や人員を協力するか」を組み立てる新事業です。
主な改正点は次の通りです。
- バス・タクシー・公共ライドシェアを対象に、自治体が運送主体を選び、他の事業者や施設送迎の協力をあっせんする制度を作ります。
- 学校、病院、福祉施設、商業施設などの送迎サービス提供者を、地域交通の関係者として明示します。
- 船舶検査で旅客船が一時的に止まる場合、他の事業者による代替運航や船の貸渡しを組み込みやすくします。
- 地域交通の調整役となる民間団体を「連携促進団体」として位置づけ、地域公共交通計画の作成・変更を提案できるようにします。
- 自治体が計画を作る際、交通事業者などに乗降記録や車両・運転者の見通しなどの情報提供を求められるようにします。
🏛️ 背景 なぜ今この改正なのか
国土交通省は、全国で約2,500の「交通空白」が生じているとしています。ここでいう交通空白は、バス・タクシー・公共ライドシェアの廃止などにより、移動手段の確保が課題になっている地区や地点です。
背景には、人口減少、高齢化、運転者不足があります。国土交通省資料では、2016年度から2024年度にかけて、路線バスは約1万5,804km、鉄軌道は約533kmが廃止されたと示されています。
一方で、高齢者の運転免許返納、学校や病院の統廃合により、買い物、通院、通学のための移動需要は残ります。自治体側にも課題があり、人口5万人未満の自治体では、地域交通の専任担当者がいない自治体が84%とされています。
🚍 バス・タクシー・公共ライドシェアの新制度
新たに作られるのは、自動車地域旅客運送サービス再構築事業です。
仕組みは大きく4段階です。
- 自治体が、休止・廃止されたバス路線やタクシー営業区域などを対象にします。
- その地域で運送を担う主体を選びます。
- 他の交通事業者、公共ライドシェアの担い手、学校・病院などの送迎サービス提供者から、人員、車両、運行管理などの協力を受けられるよう調整します。
- 実施計画を作り、国土交通大臣の認定を受けた場合、道路運送法上の許可などを受けたものとみなす特例が使えます。
たとえば、朝夕に使うスクールバスを日中の地域輸送に活用する、病院バスと予約型の地域交通を一体で運行管理する、といった組み合わせが想定されています。
⛴️ 船の検査による運休にも対応
離島航路などでは、旅客船の法定検査により一時的な運休や減便が起きることがあります。
改正後は、海上運送利便確保事業を創設します。自治体が、他の船舶運航事業者による代替運航や、船舶の貸渡しを計画に組み込み、検査期間中の移動手段を確保する制度です。
国土交通大臣の認定を受けた場合、海上運送法上の許可などを受けたものとみなす特例も設けられます。
🤝 調整役とデータを制度に位置づける
地域交通では、自治体、バス会社、タクシー会社、住民、学校、病院、商業施設など、多くの関係者が関わります。
今回の改正では、こうした関係者の間を調整する民間企業・団体を連携促進団体として位置づけます。連携促進団体は、地域公共交通の協議会に加わり、地域公共交通計画の作成や変更を提案できるようになります。
また、自治体が事業実施計画を作る際、交通事業者などに対し、乗降記録や車両・運転者の見通しなどの資料・情報の提供を求められるようになります。交通事業者などは、正当な理由がある場合を除き、その求めに応じる義務を負います。
🚆 鉄道の再構築にも手当て
鉄道分野では、鉄道事業再構築事業の内容が広がります。
現行の鉄道事業者が行う鉄道施設の建設・改良、車両の取得・改良なども対象に加えます。自治体がこれらを支援する場合、一定の経費について地方債(自治体の借入れ)を活用できる特例も設けます。
📊 現行制度と改正後の違い
バス・タクシーなど
- 現行制度
自治体が地域公共交通計画を作り、関係者と協議する枠組みがあります。
- 改正後
休止・廃止されたバス路線やタクシー営業区域などで、自治体が運送主体を選び、他の事業者や施設送迎の協力をつなぐ新事業を作ります。
学校・病院などの送迎
- 現行制度
地域交通の関係者として、施設送迎の担い手は明示されていません。
- 改正後
学校、病院、福祉施設、商業施設などの送迎サービス提供者を明示し、新事業への協力に努めることを定めます。
船の運休対策
- 現行制度
船舶検査に伴う一時的な運休について、地域公共交通法上の専用事業はありません。
- 改正後
代替運航や船舶の貸渡しを使って航路を確保する「海上運送利便確保事業」を作ります。
施行時期
この法律案は、一部を除き、公布の日から6か月以内で政令が定める日に施行されます。
👥 影響を受ける人・対象者
地域住民
買い物、通院、通学などの日常移動で、バス・タクシー・公共ライドシェアを使う地域が関係します。
自治体
地域公共交通計画や実施計画を作り、運送主体の選定、関係者間の調整、情報提供の依頼などを担います。
交通事業者
運転者、車両、運行管理、乗降データなどの面で、自治体の計画づくりや事業実施に関わります。
学校・病院・福祉施設・商業施設など
無償の送迎サービスを行っている施設は、地域交通の関係者として制度上明示されます。
🏛️ 国会での位置づけ
この法案は、第221回国会に提出された内閣提出法案です。
- 法案番号:閣法第23号
- 法案名:地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律案
- 提出者:内閣
- 所管:国土交通省
- 提出日:2026年3月10日
- 先議院:衆議院
- 衆議院での付託:2026年4月23日、国土交通委員会
🔗 参考リンク
- 国土交通省 報道発表
- 国土交通省 概要資料 PDF
- 国土交通省 参考資料 PDF
- 国土交通省 要綱 PDF
- 国土交通省 法律案・理由 PDF
- 参議院 議案情報
- 衆議院 議案審議経過情報
- 内閣法制局 法案情報
- e-Gov法令検索 地域公共交通の活性化及び再生に関する法律
リアルタイム速報はXで → @kokkai_sokuho
