外為法改正案
外国から日本企業への投資審査を、親会社経由の買収や投資後の事情変更にも広げる外為法改正です。
公布済み
次: 公布・施行
一言で言うと
外国企業が親会社ごと日本企業を買うような形でも、国の安全に関わる投資なら審査できるようにし、買収の抜け道をふさぐ改正です。
この法案のポイント

何が変わる?
外国から日本企業への投資審査を、親会社経由の買収や投資後の事情変更にも広げる外為法改正です。
日本企業に投資している海外法人の議決権を50%以上取得する行為などを新たに審査対象にします。投資家が示すリスク軽減措置も届出事項にし、投資後に内容を変える場合も届出を求めます。

なぜ今?
安全保障上重要な企業や技術を、直接買収だけでなく間接支配や投資後の変化からも守る狙いです。
現行制度では、投資後に最終親会社が変わっても届出対象にならない場面や、非指定業種への投資後に国際情勢の変化でリスクが大きくなっても命令しにくい場面が課題とされました。

誰に関係する?
海外投資家、日本企業、M&A実務、金融機関の取引確認に関係します。
指定業種には、半導体、通信、電力、鉄道、高度管理医療機器、重要鉱物などが含まれます。見た目は日本法人でも、外国側が議決権や出資の一定割合を持つ場合は外為法上の外国投資家になることがあります。
詳しく読む
外為法改正案で何が変わるのか 親会社経由の買収も審査対象へ
🛡️ 経済安全保障 / 💼 対日投資 / 📅 原則は公布後1年以内施行 (mof.go.jp)
第221回国会に提出された外為法改正案の中心は、外国から日本企業への投資審査を、直接の株式取得だけでなく、親会社経由の買収や投資後の事情変更まで広げることです。
半導体、通信、電力、鉄道、医療機器、重要鉱物など、安全保障や供給網に関わる分野を念頭に、何が新しく届出・報告の対象になるのかを整理します。 (sangiin.go.jp)
💡 一言で言うと — 抜け道を塞ぐ
Before
外国企業が日本の半導体メーカーを直接買う → 審査あり
外国企業が海外の親会社を買う(日本企業も自動で取得)→ 審査なし ← ここが抜け道
After
親会社経由の買収も審査対象。投資後にリスクが出たら株処分を命令できる。
「親会社ごと買ってしまえば勝ち」——この裏口を塞ぐのが、今回の改正案です。
🔑 何が変わるのか
今回の法案の中心は、外為法(外国為替及び外国貿易法)の対内直接投資審査制度の見直しです。これまで制度の外にあった場面を扱えるようにし、投資前の審査だけでなく、投資後の変更や間接的な支配にも対応しようとしています。 (mof.go.jp)
- 日本企業に一定の投資をしている海外法人などの議決権を50%以上取得する行為などを、新たに審査対象に加えます。海外の持株会社や親会社を通じた間接取得を捕まえる仕組みです。 (mof.go.jp)
- 投資家が国の安全等に関する懸念を減らすために示すリスク軽減措置を、法定の届出事項にします。投資実行後にその内容を変えるときも、事前の届出が必要になります。 (mof.go.jp)
- 外国投資家ではない人や日本法人でも、契約や指示に基づいて非居住者等のために実質的に投資している場合は、外国投資家とみなして規制を適用します。 (mof.go.jp)
- いまは事前届出の対象ではない投資でも、将来の国際情勢の変化などで安全保障上のリスクが大きくなった場合、政府が報告を求め、株式処分などを勧告・命令できる仕組みを新設します。 (mof.go.jp)
- 財務大臣と事業所管大臣は、審査や報告徴収で必要があるとき、内閣総理大臣、外務大臣などの意見を求めなければならないことになります。あわせて、銀行などの確認義務の対象を政令で整理し直す条文も盛り込まれています。 (mof.go.jp)
🏛️ 背景(なぜ今この改正なのか)
外為法は、対外取引の自由を基本としながら、必要最小限の管理で対外取引の正常な発展や平和と安全、経済の健全な発展を図る法律です。対内直接投資審査制度では、非居住者や外国法人、外国人・外国法人に議決権の過半数を持たれる日本法人などが、国の安全の観点から指定された業種を営む企業に投資する場合、原則として事前届出が必要です。 (mof.go.jp)
現行制度の大枠は、2019年改正を受けて2020年6月に全面適用された仕組みです。このとき、指定業種の上場会社株式の事前届出の閾値は10%から1%に下がり、役員選任への同意や事業譲渡・廃止の提案・同意も届出対象に加わりました。2024年度の事前届出件数は2,903件にのぼっています。 (mof.go.jp)
一方で、2020年改正法の附則には、施行後5年を経た時点で検討を加える規定が置かれていました。2026年1月の審議会答申は、政府が2030年に対日直接投資残高120兆円を目標に掲げる一方、2024年末残高は53.3兆円だと示し、投資促進と経済安全保障を両立させるため制度見直しが必要だと整理しました。 (mof.go.jp)
公表資料では、実務上はリスク軽減措置を記載し直して再届出するケースがあるのに法文上の位置づけが明確でないこと、投資後に最終親会社が変わっても審査対象にならないこと、非指定業種への投資は10%以上取得なら事後報告がある一方で、後からリスクが顕在化しても勧告・命令ができないことが課題として挙げられています。 (mof.go.jp)
📊 現行制度と改正後の違い
- 指定業種への直接投資
現行制度では、外国投資家が指定業種の上場会社株式を1%以上取得する場合や、非上場会社株式を1株以上取得する場合などが事前届出の対象です。改正案はこの枠組みを前提に、日本企業に一定の投資をしている海外法人などの議決権を50%以上取得する行為なども新たに対象に加えます。 (mof.go.jp)
- 投資後の親会社変更
現行制度では、届出者の最終親会社等は審査の重要な考慮要素ですが、投資後にその親会社が変わっても届出や審査の対象ではありません。改正案は、海外法人の買収による間接支配も捕捉し、必要な場合は直接保有法人側にも株式処分などを命じられる仕組みを整えます。 (mof.go.jp)
- リスク軽減措置
現行制度では、リスク軽減措置は実務上重要でも、法文上の届出事項としては明確ではありません。改正案では、これを法定の届出事項にし、審査中の修正や投資後の変更も届出対象にします。届け出た措置を講じていない場合は、株式処分などの命令対象になります。 (mof.go.jp)
- 非指定業種への投資
現行制度では、非指定業種(事前届出の指定がない業種)への投資は、株式・議決権の10%以上取得などで事後報告が中心です。改正案では、将来の国際情勢の変化などでリスクが大きくなった案件に、報告徴収、勧告、命令が可能になります。法案本文は対象を政令に委ねており、財務省の規制事前評価書では、外国政府など高リスク投資家による非指定業種企業の株式・議決権10%以上の取得等を想定しています。 (mof.go.jp)
- 関係省庁との連携
現行制度では、財務大臣と事業所管大臣は、必要なときに外務大臣などへ協力を求めることができます。改正案では、必要があるときは、内閣総理大臣、外務大臣などの意見を求めなければならない仕組みに改めます。 (mof.go.jp)
現行制度の投資禁止期間は、事前届出の受理から30日で、必要に応じて4か月まで延長できます。2024年度の平均審査期間は8.2営業日で、約79%は14暦日以内に終了しています。 (mof.go.jp)
👥 影響を受ける人・対象者
直接関係するのは、外国ファンドや海外企業だけではありません。外為法上の外国投資家には、外国人・外国法人に議決権の過半数を持たれる日本法人や、50%以上を外国側が出資する組合なども含まれます。見た目は日本法人でも、外為法上は届出主体になる場合があります。 (mof.go.jp)
投資先として関係しやすいのは、武器・航空機・原子力、半導体製造装置、情報通信、電力・ガス、鉄道、放送、高度管理医療機器、重要鉱物、農林水産業などの指定業種を営む企業です。生活との接点で見ると、通信、エネルギー、交通、医療、サプライチェーンの分野が中心です。 (mof.go.jp)
このほか、法案には銀行等の確認義務の見直しも含まれており、金融機関の為替・資本取引の実務にも関係します。 (mof.go.jp)
📅 施行日と国会での状況
施行日は、原則として公布日から1年以内の政令で定める日です。関係行政機関への意見聴取を義務づける部分は公布日に施行するとされています。非指定業種投資への新しい報告徴収の対象範囲など、具体的な線引きは政令に委ねられます。 (mof.go.jp)
法案は2026年3月17日に提出された閣法第27号です。参議院の議案情報ページでは、2026年4月21日時点で衆院先議、衆議院財務金融委員会に付託済みで、公布年月日と法律番号はまだ記載されていません。 (sangiin.go.jp)
🔗 参考リンク
- 参議院 議案情報(第221回国会 閣法第27号)
- 財務省 第221回国会における財務省関連法律
- 財務省「外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案」について
- 財務省「外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案要綱」
- 財務省「外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案新旧対照条文」
- 財務省「対内直接投資審査制度について」
- 財務省「対内直接投資審査制度等のあり方についての答申」
- 財務省「対内直接投資審査制度に関する年次報告書(2024年度)」
- 財務省「規制の事前評価書(外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案)」
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