農業・食料

農林中央金庫法改正案

農林中央金庫が農協などの会員だけでなく、農林水産業者への資金供給も進めやすくする改正です。

第221回国会閣法第28号提出者: 内閣提出: 2026/3/16
成立

公布済み

次: 公布・施行

先委先本後委後本成立

一言で言うと

農林中金が農協などを通すだけでなく、農家や農林水産業者へ直接お金を届けやすくし、大型化する農業の資金需要に応えるための改正です。

この法案のポイント

制度変更を表すイラスト

何が変わる?

農林中央金庫が農協などの会員だけでなく、農林水産業者への資金供給も進めやすくする改正です。

構成員向けの預金受入れや貸付を任意業務から基本業務に移し、会員の事業を補完する形で行うことを明記します。地域の農林水産業に資する国内会社への出資は、一定の場合に認可から事前届出へ変わります。

背景やタイミングを表すイラスト

なぜ今?

農業経営の大規模化や輸出・加工の広がりで、組合経由だけでは応えにくい資金需要が増えているためです。

農水省資料では、1経営体当たり借入額が1990年比で2023年に約10倍となり、田の経営規模や養豚頭数も拡大したと示されています。新たな食料・農業・農村基本計画でも民間資金の活用促進が掲げられました。

関係する人や地域を表すイラスト

誰に関係する?

農林水産業者、農協・森林組合・漁協などの会員組織、農林中央金庫に関係します。

地域の農林水産業の持続的な発展に資する会社は、農林中金からの出資を受けやすくなる可能性があります。農林中金の経営面では、一定の非常勤理事の兼職・兼業制限も見直されます。

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「農林中央金庫法」改正案で何が変わるのか 農家への直接融資を必須業務に

🌾 農業金融 / 🏦 農林中金 / 📅 公布後6か月以内施行

第221回国会に提出されたこの法案は、農林中央金庫(農林中金)が、農協などの会員組織だけでなく、その先にいる農林水産業者にも資金供給を進めやすくする見直しです。

構成員向けの融資などを任意業務から必須業務に移し、一定の国内会社への出資は認可から事前届出に変えます。

あわせて、外部の専門人材を理事に迎えやすくする制度も盛り込みます。 (maff.go.jp)

農林中央金庫は、農業協同組合、森林組合、漁業協同組合などを基盤とする金融機関です。今回の法案は、その目的と業務の範囲を見直す内容です。 (maff.go.jp)

💡 一言で言うと — 組合だけでは届かない時代の農業金融

農林中金は、農協などの組合を基盤にする巨大金融機関で、これまで農家への融資は組合を通じて届けられてきました。農林中金が農家に直接融資することは法律上任意業務の扱いで、言ってみれば「組合向けの金融機関」という立ち位置でした。

ところが農家は急速に大型化・多角化し、1経営体あたりの借入額は1990年比で約10倍に。組合経由だけでは大型案件や高度な金融ニーズに応えきれない場面が増えてきました。

今回の改正案は、農家(構成員)への融資を必須業務に格上げし、法律の目的規定にも「構成員(農林水産業者)」を明記します。

「組合だけでは支えきれない時代の農業を、農林中金が直接支える」——これが今回の改正案です。

🔑 何が変わるのか

  • 目的規定が変わります。 農林中金の目的に、会員組織に加えて「これらを構成する者」のために金融の円滑を図ることが加わります。公表資料は、この構成員を農林水産業者と説明しています。 (sangiin.go.jp)
  • 構成員向けの預金受入れ・貸付の法的位置付けが変わります。 現行法では「営むことができる業務」だった構成員向け業務が、改正案では「営むものとする業務」に移ります。 (maff.go.jp)
  • 一定の会社への出資手続きが変わります。 地域の農林水産業の持続的な発展に資する一定の国内会社については、10%超50%以下の議決権保有が、条件付きで事前認可ではなく事前届出になります。 (maff.go.jp)
  • 理事の兼職・兼業制限が変わります。 一定の非常勤・非業務執行理事は兼職・兼業が可能になります。 (maff.go.jp)

🏛️ 背景

農水省の概要資料では、農業経営の規模拡大や、物流・加工・輸出などの取組の進展で資金需要が広がっていると説明しています。1経営体当たりの借入額は、1990年を100とすると2023年に1006となり、経営規模も田で91aから269a、養豚で272頭から2811頭へ拡大しました。農水省は、こうした需要に対応するうえで、民間農業融資の大部分を担う農協系統、とりわけ農林中金の金融機能を促進する必要があるとしています。 (maff.go.jp)

政府は2025年4月11日に新たな「食料・農業・農村基本計画」を閣議決定しました。法案の概要資料は、この基本計画でも民間資金の活用促進が掲げられたと説明しています。加えて、農水省の有識者検証会は2025年1月、農林中金による農業・食品産業向け出融資の拡大と、外部の見識を取り入れるための理事の兼業禁止規定の見直しを提案しました。 (maff.go.jp)

📊 現行制度と改正後の違い

1. 農林水産業者向けの金融

  • 現行:会員の預金受入れや貸付が基本業務で、構成員向けは「会員以外の者」として任意業務です。 (maff.go.jp)
  • 改正案:構成員の預金・定期積金の受入れ、貸付・手形割引も基本業務に移ります。ここでいう構成員は、会員組織を直接・間接に構成する農林水産業者です。さらに、農林中金が構成員向け業務を行う際は、会員が行う事業を補完することが法律に書き込まれます。 (maff.go.jp)

2. 地域会社への出資

  • 現行:地域の活性化や生産性向上などに資する一定の会社で10%を超える議決権を持つ場合は、原則として主務大臣の認可が必要です。 (maff.go.jp)
  • 改正案:そのうち、地域の農林水産業の持続的な発展に資する一定の国内会社なら、農林中金が基準を満たす場合、10%超50%以下の議決権保有は事前届出に変わります。つまり、事前に許可を受ける仕組みから、事前に届け出る仕組みに変わります。 (maff.go.jp)

3. 理事の兼職・兼業制限

  • 現行:理事と常勤監事は、報酬を得て他の職務に就いたり、事業を営んだりできません。 (maff.go.jp)
  • 改正案:一定の独立性を満たす非常勤の非業務執行理事は対象外となります。外部の専門人材を登用しやすくするため、利益相反となる取引の承認や、責任限定契約(損害賠償責任の上限を定める契約)の仕組みも整備されます。 (maff.go.jp)

👥 影響を受ける人・対象者

  • 農林水産業者:農林中金が金融を円滑にする相手として、法の目的と業務に直接位置付けられます。大規模化や事業多角化に伴う資金需要の拡大が、法案の前提に置かれています。 (maff.go.jp)
  • 農協・森林組合・漁協などの会員組織:農林中金の構成員向け業務は、会員が行う事業を補完する形で進めると明記されます。 (maff.go.jp)
  • 地域の事業会社:地域の農林水産業の持続的な発展に資する一定の国内会社は、農林中金の事前届出による出資の対象として制度に位置付けられます。 (maff.go.jp)
  • 農林中金の経営体制:市場運用や経営管理の専門性を持つ外部人材を、非常勤理事として迎えやすくする制度設計です。 (maff.go.jp)

📅 施行日と国会での状況

  • 法案の提出:第221回国会の閣法第28号として、2026年3月17日に提出されました。 (sangiin.go.jp)
  • 施行日:原則は公布日から6か月以内の政令で定める日です。理事の兼職・兼業制限の見直しなど一部は公布翌日に施行します。 (maff.go.jp)
  • 審議状況:参議院の議案情報ページ(2026年4月23日現在)では、衆議院は2026年4月16日に可決、参議院は2026年4月23日に農林水産委員会で可決と記載されています。参議院本会議経過の欄は、そのページでは空欄です。 (sangiin.go.jp)

🔗 参考リンク


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