安全・司法

経済安全保障推進法等改正案

重要物資を支えるサービスや医療インフラ、重要技術開発、海外事業への金融支援を広げる経済安保改正です。

第221回国会閣法第30号提出者: 内閣提出: 2026/3/18
成立

公布済み

次: 公布・施行

先委先本後委後本成立

一言で言うと

経済安全保障で守る対象を、物資だけでなくサービス、医療データ、海外の重要案件にも広げ、暮らしや産業を支える基盤を守る改正です。

この法案のポイント

制度変更を表すイラスト

何が変わる?

重要物資を支えるサービスや医療インフラ、重要技術開発、海外事業への金融支援を広げる経済安保改正です。

物資そのものだけでなく供給に不可欠な役務も支援対象にし、基幹インフラには医療分野を追加します。特定海外事業の認定、JBICによる金融支援、RIETIを使った調査研究や官民協議会も制度化します。

背景やタイミングを表すイラスト

なぜ今?

国際情勢の変化で、物資だけでなくサービス、医療DX、海外の重要案件まで経済安全保障の対象が広がっているためです。

経済安全保障推進法は2022年に成立し、重要物資、基幹インフラ、重要技術、特許非公開の4制度を置きました。今回の改正は、供給網を支える役務、電子カルテ共有や電子処方箋などの医療基盤、官民の情報共有体制を補強します。

関係する人や地域を表すイラスト

誰に関係する?

重要物資の供給網に関わる事業者、医療DX関連主体、研究機関、海外事業を行う企業に関係します。

生活との接点は、医療、物流、通信、決済などの基盤が安定して動くかどうかです。どの病院や海外案件が実際に対象になるかは、今後の政省令、基本指針、個別認定で決まります。

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経済安全保障推進法の改正案、何が変わる? 医療追加と海外事業のJBIC支援を解説

🩺 医療DX / 🚢 サプライチェーン / 🌏 海外事業 / 🏦 JBIC / 📅 段階施行

第221回国会に2026年3月19日提出された閣法第30号は、経済安全保障推進法と株式会社国際協力銀行法を改める法案です。重要物資を支える役務への支援、医療の基幹インフラ追加、研究開発支援の拡大、海外の重要事業への新たな金融支援、官民協議会の新設までを一つの法案にまとめています。この記事では、法案の中身を生活や事業との接点から整理します。 (sangiin.go.jp)

💡 一言で言うと

「物」だけでなく、「物を支えるサービス」と「医療のデジタル基盤」、さらに「海外の重要案件」まで、経済安全保障の制度で扱う範囲を広げる改正案です。 電子カルテ共有や電子処方箋などの医療DX、重要物資の供給に欠かせない役務、海外の輸送網や重要技術の展開を、法律の支援や審査の枠組みに入れようとしています。 (cao.go.jp)

🔑 何が変わるのか

  • 重要物資の制度では、物資そのものや原材料だけでなく、その供給に不可欠な役務(サービス)に外部依存や供給途絶のおそれがある場合にも、当該物資を特定重要物資として指定し、役務の提供基盤整備や技術開発などを支援できるようにします。あわせて、国や供給側・受給側などの関係者に連携協力の努力義務を置き、支障のおそれがある場面で主務大臣が資料提供や協議などの協力を求められるようにします。 (cao.go.jp)
  • 基幹インフラ制度では、法律で列挙する事業に医療分野を加えます。列挙分野は15から16になり、医療DX関連業務や一定の病院の医業等が、今後の政令・省令で具体化される対象になります。 (cao.go.jp)
  • 重要技術の支援では、研究開発を継続的に支える「指定基金協議会」を置ける基金の範囲を広げます。現行法上の5法人の基金に加え、研究開発独立行政法人や特別法法人の基金、その研究開発を一部に含む基金も対象にします。 (cao.go.jp)
  • 海外の重要事業については、「特定海外事業」を認定する新制度をつくります。認定を受けた事業者は、内閣総理大臣と財務大臣による支援や、JBIC(国際協力銀行。政府系の国際金融機関)による金融支援を受けられるようになります。 (cao.go.jp)
  • 制度を支える体制として、経済安全保障全般を扱うシンクタンク機能と官民協議会を法律に位置づけます。内閣総理大臣がRIETI(経済産業研究所)に調査研究や協議会運営の一部を行わせることができ、参加者には国家公務員と同等の守秘義務が課されます。 (cao.go.jp)

🏛️ 背景

経済安全保障推進法は2022年に成立し、重要物資の安定供給、基幹インフラの事前審査、先端的な重要技術の開発支援、特許出願の非公開という4つの制度を設けました。重要物資と重要技術の制度は2022年9月に、基幹インフラと特許非公開の制度は2024年5月に運用が始まっています。 (cao.go.jp)

政府資料では、国際情勢の急速な変化や新たな課題への対応が必要だとして、今回の法案を出しています。法案の理由には、供給に不可欠な役務の整備、医療分野の追加、海外における輸送網強靱化に資する事業への支援、官民協議会と調査研究の推進などが挙げられています。 (cao.go.jp)

背景を分けてみると、主に3つあります。第一に、物資の安定供給には「物」だけでなく、その供給に不可欠な役務の確保も必要だということです。第二に、電子カルテ共有サービス、電子処方箋管理サービス、オンライン資格確認システムなど、医療DXの基盤に支障が出た場合の影響が大きくなっていることです。第三に、経済安全保障をめぐる課題が複雑化し、政府内の調査研究や官民の情報共有を、常設の仕組みにする必要があるということです。 (cao.go.jp)

📊 現行制度と改正後の違い

1. 重要物資の安定供給

  • 現行制度

特定重要物資を指定し、その安定供給を図る民間事業者の取組を支援する制度です。現行の支援措置には、助成、ツーステップローン、株式等引受け、信用保証などがあります。 (cao.go.jp)

  • 改正後(法案成立後)

物資の供給に不可欠で、その供給のために専ら使われる役務に外部依存や供給途絶のおそれがある場合も対象に含めます。役務の提供基盤整備や技術開発、助成、ツーステップローンなどで支援できるようにします。 (cao.go.jp)

2. 基幹インフラ役務の安定提供

  • 現行制度

対象事業は、電気、ガス、石油、水道、鉄道、貨物自動車運送、外航貨物、港湾運送、航空、空港、電気通信、放送、郵便、金融、クレジットカードの15分野です。新たに指定された事業者には、指定から6か月の経過措置があります。 (cao.go.jp)

  • 改正後(法案成立後)

医療分野を追加し、法律に列挙される分野は16になります。法案概要が例示しているのは、電子カルテ共有サービス、電子処方箋管理サービス、オンライン資格確認システムに関する業務と、一定の病院の医業等です。新規指定事業者は指定直後から届出ができるようになり、自ら供給する設備でも一部を外部から受けている場合などは届出が必要になることを明確にします。なお、どの病院が対象になるか、どの設備が届出対象になるかは今後の省令で定めるとされており、公表資料ではまだ具体名は示されていません。 (cao.go.jp)

3. 先端的な重要技術の開発支援

  • 現行制度

指定基金協議会を置ける基金は、現行法上はJST、NEDO、AMED、JSPS、NAROの5法人が設置する基金が対象です。 (cao.go.jp)

  • 改正後(法案成立後)

研究開発独立行政法人や、特別の法律で設立された法人の基金にも対象を広げます。さらに、特定重要技術の研究開発等を目的とする基金だけでなく、その研究開発等を一部に含む基金も対象に加えます。 (cao.go.jp)

4. 海外の重要事業とJBIC支援

  • 現行制度

経済安全保障推進法には、海外の重要事業を認定して支援する章はありません。JBICの一般業務勘定は、償還確実性(貸した資金が返る見込み)と収支相償(収入と支出が見合うこと)の原則に基づいて運営されています。 (cao.go.jp)

  • 改正後(法案成立後)

新たに「特定海外事業」を設け、対象は①国際的な輸送網の強靱化のための施設等、②重要サービスの提供に用いられる施設等、③重要技術の海外展開のための施設等の整備・運用です。認定を受けた事業について、JBICは新しい会計区分を設け、民間資金より返済順位が後ろになる劣後出資等もできるようになります。法案概要では、この新勘定の業務は償還確実性・収支相償の原則の適用を受けない仕組みとしています。 (cao.go.jp)

5. シンクタンク機能と官民協議会

  • 現行制度

経済安全保障全般について、法定の総合シンクタンク機能や官民協議会を置く仕組みはありません。 (cao.go.jp)

  • 改正後(法案成立後)

政府が調査研究の基本指針を定め、内閣総理大臣がRIETIに調査研究の一部を行わせることができます。あわせて、内閣総理大臣、関係行政機関の長、事業者、学識経験者などで構成する官民協議会を組織し、資料提供などの協力を求めながら情報共有と対策協議を進める枠組みを置きます。 (cao.go.jp)

👥 影響を受ける人・対象者

法案の構造からみると、手続きの中心になるのは、事業者、病院、研究機関、政府系金融機関です。暮らしとの接点は、医療、物流、通信、決済などの基盤が安定して動くかどうかという形で表れます。 (cao.go.jp)

  • 医療機関や医療DX関連の主体

将来、政省令で対象に指定されれば、重要設備の導入や維持管理の委託で事前届出が必要になる場面が出てきます。法案概要が例示しているのは、電子カルテ共有、電子処方箋、オンライン資格確認に関わる業務です。 (cao.go.jp)

  • 重要物資の供給網に関わる事業者

物資そのものだけでなく、その供給に不可欠な役務を担う事業者も、支援や協力要請の枠組みに関わる可能性があります。 (cao.go.jp)

  • 大学、研究機関、企業

指定基金協議会を使える基金の範囲が広がるため、特定重要技術の研究開発を含む事業で、継続的な支援の仕組みを使いやすくなります。 (cao.go.jp)

  • 海外で戦略的な設備投資を行う企業

国際輸送網、重要サービス、重要技術の海外展開に関する事業では、今後の基本指針に沿って認定・支援の対象になり得ます。 (cao.go.jp)

  • 生活との接点

公表資料の内容からみると、この法案の生活面での接点は、医療、物流、通信、決済などの基盤の安定供給・安定提供を図る制度を広げる点にあります。ただし、どの病院やどの海外案件が実際に対象になるかは、今後の政省令や基本指針、個別認定で決まります。 (cao.go.jp)

📅 施行日と経過措置

法案の附則では、成立して公布された場合の施行時期を、公布後1か月から1年6か月までの段階施行としています。 (cao.go.jp)

  • 公布後1か月

基幹インフラ制度の一部運用改善と、重要技術の指定基金に関する改正が施行対象です。 (cao.go.jp)

  • 公布後6か月以内

重要物資の供給に不可欠な役務への支援、安定供給確保の協力要請、シンクタンク機能、官民協議会、基幹インフラ制度の一部改正が施行されます。 (cao.go.jp)

  • 公布後1年以内

特定海外事業の促進と、JBICの新しい会計区分による支援の仕組みが施行されます。 (cao.go.jp)

  • 公布後1年6か月以内

医療分野の追加が施行されます。 (cao.go.jp)

  • 見直し規定

政府は、改正後の各規定について、施行後3年を目途に施行状況などを踏まえて検討するとしています。 (cao.go.jp)

🔗 参考リンク


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