携帯電話不正利用防止法改正案
携帯電話の本人確認ルールをデータ通信専用回線にも広げ、契約中の回線にも一定の確認を求める改正です。
公布済み
次: 公布・施行
一言で言うと
音声通話のないデータ専用SIMでも、犯罪利用を防ぐため契約時の本人確認を求め、携帯回線が不正に使われる抜け道を減らす改正です。
この法案のポイント

何が変わる?
携帯電話の本人確認ルールをデータ通信専用回線にも広げ、契約中の回線にも一定の確認を求める改正です。
法律上の対象を「携帯音声通信」から「携帯通信」へ広げ、データ専用SIM、eSIM、モバイルルーター向け回線なども対象に入る構造にします。一定数を超える大量契約は、事業者が提供を拒めるようにします。

なぜ今?
音声通話のない回線が、詐欺や通信アプリのアカウント取得に悪用されるリスクへ対応するためです。
政府の詐欺対策では、データ通信専用SIMに契約時本人確認の法的義務がないことが指摘されています。警察庁の令和7年暫定値では、特殊詐欺の被害額は1,414.2億円、SNS型投資・ロマンス詐欺は1,827.0億円でした。

誰に関係する?
データ専用回線を契約する個人・法人、携帯会社、MVNO、販売代理店に関係します。
施行時点で利用中のデータ回線にも、総務省令で定める日までの本人確認が求められます。本人確認に応じない場合、事業者は確認が終わるまで通信役務の提供を拒めるようになります。
詳しく読む
データ専用SIMも本人確認へ 携帯電話不正利用防止法改正案で変わること
🪪 本人確認 / 📱 データ通信SIM / 🚫 不正利用対策 / 📅 公布後1年以内施行
第221回国会の閣法第33号は、携帯電話不正利用防止法の対象を、音声通話中心の回線からデータ通信専用の携帯回線にも広げる法案です。新規契約だけでなく、施行時に利用中のデータ回線にも、一定の本人確認が求められます。
💡 一言で言うと
音声通話のない携帯データ回線にも、本人確認を広げる法案です。
現行法は、主に「音声通話ができる携帯電話」の不正利用を防ぐ仕組みです。改正後は法律名からも「音声」が外れ、「携帯通信」の不正利用防止に対象が広がります。
データ通信専用SIM、eSIM、モバイルルーター向け回線なども、総務省令で対象に入れば、契約時の本人確認や記録保存のルールを受けることになります。
🔑 何が変わるのか
主な変更点は、次の5つです。
- 本人確認の対象をデータ通信回線にも拡大
- 現行の「携帯音声通信役務」から、改正後は「携帯通信役務」へ広げます。
- 契約時・名義変更時の確認をデータ回線にも適用
- 氏名、住所、生年月日などの本人特定事項を確認します。
- 施行時点で使っているデータ回線にも確認が必要
- 既存利用者についても、総務省令で定める日までに本人確認を行う仕組みです。
- 一定数を超える大量契約は事業者が拒める
- 同じ個人が同じ携帯通信事業者で同時に使える端末設備の数が、総務省令で定める数を超える場合、超える部分について提供を拒めるようにします。具体的な数は法律案本文からは確認できません。
- 本人確認の代表例がマイナンバーカードの電子証明書に
- 現行法の例示は「運転免許証の提示」ですが、改正案では「個人番号カードに記録された署名用電子証明書の送信」に置き換えます。具体的な方法は総務省令で定められます。
🏛️ 背景(なぜ今この改正なのか)
背景にあるのは、携帯回線や通信サービスが詐欺などに使われる場面が増えていることです。
警察庁の令和7年暫定値では、特殊詐欺の認知件数は2万7758件、被害額は1414.2億円でした。SNS型投資・ロマンス詐欺は1万5142件、被害額は1827.0億円です。
政府の「国民を詐欺から守るための総合対策2.0」では、データ通信専用SIMについて、契約時の本人確認が法律上義務づけられていないことが指摘されています。不正に取得したID・パスワードを使って多数の通信用SIMを契約した事例や、通信アプリのアカウント取得に悪用された事例も挙げられています。
このため、法案の提出理由では、携帯通信端末向けサービスの不正利用が「多様化・巧妙化」しているとして、音声通信以外にも本人確認の対象を広げる必要があると説明されています。
📊 現行制度と改正後の違い
対象サービス
現行制度では、法律名も対象も「携帯音声通信」が中心です。音声通話ができる携帯電話回線を念頭に、契約時の本人確認や記録保存を求めています。
改正後は「携帯通信」に広がります。音声通信に限らず、携帯端末向けのデータ通信役務も対象に入る構造になります。
本人確認と記録保存
現行制度では、携帯音声通信事業者が契約時に本人確認を行い、本人確認記録を作成します。記録は契約終了日から3年間保存します。
改正後は、データ通信回線にも同様の確認・記録保存が広がります。法人や団体の契約で担当者が手続きをする場合は、担当する自然人の本人確認や権限確認も求められます。
既存のデータ回線利用者
施行時点でデータ通信役務を利用している人についても、事業者は総務省令で定める日までに本人確認を行います。
対象から外れるのは、たとえば次のような場合です。
- 同じ契約で携帯音声通信役務も受けている場合
- 施行前に同等の本人確認を受け、記録が保存されている場合
- 総務省令で定める日までに、名義変更時の本人確認を受ける人へ契約上の地位を承継する場合
- 総務省令で定める日までに契約が終了する場合
本人確認に応じない場合、事業者は応じるまでの間、対象の通信役務の提供を拒めるようになります。
監督と罰則
施行時の本人確認について、総務大臣は事業者や媒介業者に報告・資料提出を求めたり、立入検査を行ったりできます。
是正命令に違反した場合は、2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金、またはその両方が科されます。報告をしない、虚偽報告をする、検査を拒むといった場合は、1年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金、またはその両方です。
👥 影響を受ける人・事業者
影響を受ける可能性があるのは、音声通話のない携帯データ回線を使う個人や法人です。スマートフォンのデータ専用契約、タブレット、モバイルルーター、eSIMなどの利用者が該当し得ます。
事業者側では、大手携帯会社、MVNO、販売代理店、媒介業者、貸与業者などが、本人確認・記録保存・既存利用者への確認対応を行うことになります。
📅 施行日と経過措置
施行日は、公布の日から1年以内で政令が定める日です。ただし、経過措置を政令に委ねる附則第13条は公布日から施行されます。
既存のデータ通信利用者について、いつまでに本人確認を終えるかは総務省令で定められます。大量契約を拒める「一定数」も、法律案本文ではなく総務省令に委ねられています。
🔗 参考リンク
- 参議院 議案情報ページ
- 提出法律案PDF
- 内閣法制局 国会提出法案ページ
- 警察庁「国民を詐欺から守るための総合対策2.0」の決定
- 国民を詐欺から守るための総合対策2.0 本文PDF
- 警察庁 令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等PDF
- e-Gov法令検索 現行法
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