農業・食料

家畜伝染病予防法改正案

牛や豚の感染症、豚熱、違法持込み肉製品への対応を強め、畜産現場と検疫のルールを見直す改正です。

第221回国会閣法第35号提出者: 内閣提出: 2026/3/23
成立

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先委先本後委後本成立

一言で言うと

家畜の病気を広げないため、農場での飼養管理と空港・港での水際対策をあわせて見直し、畜産現場と輸入時の備えを強める改正です。

この法案のポイント

制度変更を表すイラスト

何が変わる?

牛や豚の感染症、豚熱、違法持込み肉製品への対応を強め、畜産現場と検疫のルールを見直す改正です。

牛のランピースキン病を法律上の家畜伝染病に加え、豚熱では全頭殺処分を前提にした対応から必要な範囲に絞る仕組みにします。研修・登録を受けた飼養衛生管理者による豚熱ワクチン接種特例も置きます。

背景やタイミングを表すイラスト

なぜ今?

国内で新しい家畜疾病が確認され、豚熱対策や水際検疫も運用に合わせた見直しが必要になっているためです。

ランピースキン病は2024年11月に国内で初確認され、福岡県と熊本県で計22農場の発生が確認されました。2024年には旅客携帯品で約20.2万件の違反畜産物が摘発され、国内販売段階への対応も課題になっています。

関係する人や地域を表すイラスト

誰に関係する?

畜産農家、家畜保健衛生所、動物検疫所、研究機関、輸入食品を扱う事業者に関係します。

検疫を受けずに違法に持ち込まれた輸入禁止の肉製品等は、販売や販売目的の加工・使用・調理・貯蔵・陳列が禁止されます。違反時には立入検査や廃棄、公表、罰則の対象になります。

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牛のランピースキン病を家畜伝染病に 豚熱は「全頭殺処分」から見直しへ

🐄 家畜防疫 / 🐖 豚熱 / 🛃 輸入肉製品 / 💉 ワクチン

この法案は、牛の病気、豚熱、違法に持ち込まれた肉製品への対応をまとめて見直すものです。

農家や行政の防疫対応に加え、海外からの肉製品の持込みや国内販売にも関わります。

💡 一言で言うと

家畜の病気対策を、農場と水際の両方で見直す法案です。

牛のランピースキン病を法律上の「家畜伝染病」に加え、豚熱では殺処分の範囲を見直します。あわせて、検疫を受けずに持ち込まれた肉製品などが国内で売られることへの規制も強めます。

この法案は2026年3月24日に内閣から提出され、4月23日に衆議院で可決され、参議院に送られています。

🔑 何が変わるのか

大きな変更点は5つです。

  • ランピースキン病を、法律本体の「家畜伝染病」に追加します。
  • 豚熱について、発生農場の全頭殺処分を前提とした対応から、必要な範囲を対象にする仕組みに見直します。
  • 研修・登録を受けた飼養衛生管理者が、条件付きで豚熱ワクチンを接種できる特例を置きます。
  • 検疫を受けずに持ち込まれた輸入禁止の肉製品等について、国内での販売や陳列などを禁止します。
  • 新しい家畜の病気が出たとき、病原体の所持規制まで含めて緊急対応できるようにします。

🏛️ 背景(なぜ今この改正なのか)

家畜伝染病予防法は、牛、豚、鶏などの家畜の感染症を防ぐための基本ルールです。病気が広がると、農場での殺処分、移動制限、出荷停止などが起き、畜産業や食料供給に影響します。

今回の背景には、3つの事情があります。

1つ目は、牛のランピースキン病です。国内では2024年11月に福岡県で初めて確認され、その後、福岡県と熊本県で計22農場の発生が確認されました。農林水産省は、牛・水牛の病気で、人には感染しないと説明しています。

2つ目は、豚熱です。日本では2018年に26年ぶりに確認され、その後も飼養豚や野生イノシシで発生が続いています。ワクチン接種が広がる中で、発生時にすべての豚を殺処分する運用を見直す内容が盛り込まれました。

3つ目は、水際対策です。農林水産省資料では、2024年に旅客携帯品で約20.2万件の違反畜産物が摘発されています。空港や港での検疫だけでなく、国内に入った後に販売されるケースへの対応が課題になっています。

📊 現行制度と改正後の違い

1. ランピースキン病

現行では、ランピースキン病は政令により家畜伝染病に準じた扱いがされています。

改正後は、法律上の家畜伝染病の一覧に「牛のランピースキン病」を追加します。これにより、患畜・疑似患畜の殺処分、死体の焼却等、移動制限、ワクチン接種などの防疫措置を法律本体に位置づけます。

2. 豚熱の殺処分

現行では、豚熱が発生した農場で全頭殺処分を前提にした対応がとられてきました。

改正後は、ワクチン接種の状況や検査結果を踏まえ、殺処分の対象を必要な範囲に絞ります。法案資料では、主な対象として、ワクチン未接種の豚、接種後20日以内の豚、発育不良の豚、症状がありPCR検査で陽性となった豚などが示されています。

農林水産省の評価書では、この見直しにより、発生時の殺処分頭数は全頭から半数程度に減ると見込まれています。

3. 豚熱ワクチンの接種体制

豚熱ワクチン接種では、都道府県の家畜防疫員などの負担が大きくなっています。

改正後は、都道府県からの要請がある場合などに、研修を受けて登録された飼養衛生管理者が、当分の間、豚熱ワクチンを接種できる特例を設けます。農林水産省の評価書では、接種者が新たに5,000人程度増える見込みとされています。

また、豚熱ワクチン接種後の確認検査を大学や民間検査機関に委託した場合、委託費の2分の1を国が負担する仕組みも加わります。

4. 輸入禁止品の国内販売

現行でも、肉製品などを検疫を受けずに持ち込むことには罰則があります。

改正後は、検疫を受けずに違法に持ち込まれた輸入禁止品について、国内での販売、販売目的の加工・使用・調理・貯蔵・陳列を禁止します。

家畜防疫官は、店舗、事務所、倉庫などに立ち入り、検査や質問、必要な物の集取ができるようになります。輸入禁止品や病原体に汚染された物と認められる場合は廃棄でき、必要な事項を公表できる規定も置かれます。

違反した場合は、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金の対象になります。

5. 新しい疾病への緊急対応

家畜伝染病予防法には、まだ監視伝染病に指定されていない病気でも、緊急に政令で指定して一定の措置をとる仕組みがあります。

改正後は、この仕組みで使える規定に、病原体の所持に関する許可・届出などの規定も加えます。研究機関などで病原体を扱う場合の管理まで、必要に応じて対象にできるようにする内容です。

👥 影響を受ける人・対象者

影響が大きいのは、牛や豚を飼う畜産農家、都道府県の家畜保健衛生所、動物検疫所、研究機関です。

輸入食品を扱う事業者や外国食材店なども、肉製品等の仕入れや販売について、検疫を受けたものかどうかの確認がより重くなります。

海外旅行者や国際郵便の利用者にとっては、肉製品を日本に持ち込む際の検疫ルールが引き続き関係します。今回の法案は、持込み後に国内で販売される段階への対応も強めるものです。

📖 用語を短く

  • 家畜伝染病

法律で指定され、殺処分や移動制限など強い防疫措置の対象になる家畜の病気です。

  • 患畜・疑似患畜

患畜は感染している家畜、疑似患畜は感染の疑いがある家畜です。

  • 飼養衛生管理者

農場で衛生管理を担う担当者です。

  • 家畜防疫員・家畜防疫官

家畜防疫員は主に都道府県側で防疫を担う職員、家畜防疫官は国の動物検疫などを担う職員です。

📅 施行日と経過措置

法案では、成立・公布された場合の施行時期を次のように分けています。

  • 公布の日

豚熱の殺処分範囲の見直し、国の費用負担追加

  • 公布の日から1年以内に政令で定める日

飼養衛生管理者による豚熱ワクチン接種の特例

  • 公布の日から3か月以内に政令で定める日

ランピースキン病の追加、輸入禁止品の国内販売規制、立入検査・廃棄権限など

具体的な政令の日付は、公表資料からはまだ確認できません。

🔭 今後の見通し

法案は衆議院を通過し、参議院に送られています。成立には、参議院での審議と議決が必要です。

成立後は、政令、省令、防疫指針などで、豚熱の選択的殺処分やワクチン接種者の登録手続、輸入禁止品への立入検査の運用が具体化されます。

🔗 参考リンク


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