環境・エネルギー

電気事業法改正案

送電線や大規模電源の整備を後押しし、太陽光発電設備の安全確認や電力供給体制も見直す改正です。

第221回国会閣法第36号提出者: 内閣提出: 2026/3/23
審議中

衆議院 本会議を通過

次: 参議院 委員会

先委先本後委後本成立

一言で言うと

発電所や送電線などの大きな電力設備を増やすため、資金支援と安全確認の仕組みを広げ、電気を安定して届ける体制を整える改正です。

この法案のポイント

制度変更を表すイラスト

何が変わる?

送電線や大規模電源の整備を後押しし、太陽光発電設備の安全確認や電力供給体制も見直す改正です。

地域内の大規模送電線・変電設備や大規模発電設備の整備計画を国が認定し、電力広域機関の貸付け対象にします。休眠状態の小売電気事業者への登録取消し、卸電力市場の指定・監督、太陽光設備の工事前確認も整えます。

背景やタイミングを表すイラスト

なぜ今?

エネルギー情勢の変化とDX・GXによる電力需要増に備え、設備投資と安全管理を進める必要があるためです。

経産省は、ロシアによるウクライナ侵略や中東情勢の緊迫化を背景に挙げています。規制評価書では、休眠小売事業者が約250者あること、太陽電池発電設備で事故が多いこと、大規模送電設備の工期長期化も課題とされています。

関係する人や地域を表すイラスト

誰に関係する?

送配電事業者、大規模発電事業者、小売電気事業者、太陽光設備の設置・工事関係者に関係します。

生活者との接点は、停電を避ける送電網整備、発電設備の確保、太陽光設備の事故防止、市場運営の安定化です。対象設備の出力や手続の詳細は、政令・省令で決まる部分が多く残ります。

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大きな送電線・発電所をつくりやすく 電気事業法改正案で何が変わるのか

⚡ 電力安定供給 / 🏗️ 送電網整備 / ☀️ 太陽光設備の安全 / 🧾 電力小売

第221回国会に提出された「電気事業法の一部を改正する法律案」は、送電線や大規模電源の整備を後押しし、太陽光発電設備の安全確認も広げる法案です。

電気料金を直接変える内容というより、電気を安定して届けるための設備・市場・事業者ルールを見直すものです。

💡 一言で言うと

電気をつくる・送る大型設備に、資金支援と安全確認を広げる法案です。

改正案の中心は、送電線や大規模な発電設備の整備に対して、電力広域的運営推進機関が資金を貸し付けられる仕組みを広げることです。

あわせて、太陽光発電設備の工事前チェック、休眠状態の小売電気事業者への対応、卸電力市場の制度整備も盛り込まれています。

🔑 何が変わるのか

主な変更点は、次の7つです。

  • 大規模な地域内送電線・変電設備の整備計画を国が認定し、資金貸付けの対象にします。
  • 大規模発電設備の整備・更新も、国の認定と貸付けの対象にします。
  • 大規模発電事業者が発電設備を休止・廃止する際、送配電事業者との事前協議を求めます。
  • 小売電気事業を1年以内に始めない、または1年以上休止する事業者は、登録取消しの対象になります。
  • 卸電力取引所を、短期・中長期・需給調整の市場ごとに指定・監督できるようにします。
  • 太陽電池発電設備の一部について、工事前に第三者機関の確認を受ける制度を広げます。
  • 送電事業者の事業開始期限を、許可後10年以内から20年以内に延ばします。

🏛️ 背景:なぜ今この改正なのか

経済産業省は、背景として、ロシアによるウクライナ侵略や中東情勢の緊迫化による国際的なエネルギー情勢の変化を挙げています。国内では、DXやGXの進展により、今後の電力需要の増加が見込まれると説明しています。

電気は、発電所をつくるだけでは届きません。発電した電気を地域や都市部へ送る送電線、需要と供給を調整する市場、事故を防ぐ設備管理がそろって初めて安定供給につながります。

規制の事前評価書では、休眠状態の小売電気事業者が約250者存在すること、太陽電池発電設備で電気事故が多いこと、大規模送電設備の工期が長期化していることも課題として示されています。

📊 現行制度と改正後の違い

1. 送電線整備:地域内の大規模設備も貸付け対象へ

現行制度では、地域間送電線などの広域系統整備について、電力広域機関が交付金や貸付けを行う仕組みがあります。

改正後は、地域内の大規模な送電線・変電設備についても、一般送配電事業者や送電事業者が整備計画を作り、経済産業大臣の認定を受けられるようにします。認定された計画には、電力広域機関が整備・更新資金を貸し付けられます。

2. 大規模発電設備:整備支援と休廃止前の協議を追加

大規模発電事業者については、合計出力が10万kW以上の範囲で、具体的な対象が省令で定められます。

改正後は、大規模な発電設備の整備・更新計画を国が認定し、電力広域機関が資金を貸し付ける制度を新設します。

また、大規模な発電設備を休止・廃止しようとする場合、一般送配電事業者や配電事業者と、休廃止の時期などについて事前に協議するルールを設けます。

3. 小売電気事業:1年が登録取消しの目安に

小売電気事業者は、家庭や企業に電気を販売する事業者です。

改正後は、正当な理由なく、登録から1年以内に小売電気事業を始めない場合や、1年以上続けて休止した場合、経済産業大臣が登録を取り消せるようになります。

4. 卸電力市場:短期・中長期・需給調整に整理

現行制度では、卸電力取引所の制度は主に翌日の電力を取引する市場を前提にしています。

改正後は、卸電力取引所を次の3種類に分けて、経済産業大臣が指定・監督できるようにします。

  • 短期卸電力取引所:翌日の電力を取引する市場
  • 中長期卸電力取引所:翌々日以降の将来の電力を取引する市場
  • 需給調整卸電力取引所:電気の需給バランスを合わせるための調整力を取引する市場

5. 太陽電池発電設備:工事前の第三者確認を拡大

法案資料によると、現行制度では、出力2,000kW以上の太陽電池発電設備は工事計画の届出時に国が技術基準への適合性を審査し、2,000kW未満の設備は設置者が使用前に自己確認する仕組みです。

改正後は、太陽電池発電設備の支持物などについて、工事前に登録適合性確認機関による確認を受け、証明書を経済産業大臣に提出する制度を広げます。

また、事故原因の調査や再発防止のため、製造事業者、輸入販売事業者、工事業者に協力を求める仕組みも設けます。

6. 送電事業の開始期限:10年以内から20年以内へ

送電事業者は、事業許可を受けた日から、経済産業大臣が指定する期間内に事業を始める必要があります。

現行制度では、その上限は10年以内です。改正後は、20年以内に延びます。

大規模な送電設備では、工期の長期化や資材価格の上昇があるため、より長い事業期間を前提にした制度へ変える内容です。

💴 資金の流れも変わる

広域で電力を取引すると、地域間の価格差から「値差収益」が生じます。改正後は、この値差収益をエネルギー対策特別会計の電源開発促進勘定に納付する仕組みに改めます。

そのうえで、政府が予算の範囲内で電力広域機関に補助できるようにし、送電線整備や大規模電源整備の貸付けに使えるようにします。

電気料金への具体的な影響額は、法案資料からは確認できません。

👥 影響を受ける人・事業者

主な対象は、電力インフラに関わる事業者です。

  • 一般送配電事業者、送電事業者
  • 大規模発電事業者
  • 小売電気事業者
  • 卸電力取引所を運営する法人
  • 太陽電池発電設備の設置者、製造事業者、輸入販売事業者、工事業者
  • 電力広域的運営推進機関

生活者との関係では、停電を避けるための送電網整備、発電設備の確保、太陽光設備の安全対策、市場運営の整備が主な接点になります。

📅 施行日と経過措置

原則として、公布の日から9か月以内に政令で定める日から施行されます。

一部は別の時期です。

  • 送電事業の開始期限を10年から20年に延ばす改正:公布日
  • 太陽電池発電設備の事前確認、製造事業者等の協力制度、卸電力取引所の制度整備など:公布日から1年以内に政令で定める日
  • 施行後5年を目途に、制度の施行状況を検討する規定も置かれています。

🔭 今後の見通し

この法案では、対象となる設備の出力や、事前協議・第三者確認の具体的な手続きなど、多くの部分が政令や省令に委ねられています。

そのため、成立後は、経済産業省令などで示される細かい制度設計が、事業者にとっての実務上の焦点になります。

🔗 参考リンク


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