環境・エネルギー

建築物省エネ法改正案

建物の省エネ性能に加え、資材製造から解体までのCO2を評価するライフサイクルカーボン制度を入れる改正です。

第221回国会閣法第39号提出者: 内閣提出: 2026/3/26
審議中

衆議院 本会議を通過

次: 参議院 委員会

先委先本後委後本成立

一言で言うと

建物が使う時だけでなく、建てる時から壊す時までに出すCO2も見えるようにし、建築分野全体の環境負荷を把握しやすくする改正です。

この法案のポイント

制度変更を表すイラスト

何が変わる?

建物の省エネ性能に加え、資材製造から解体までのCO2を評価するライフサイクルカーボン制度を入れる改正です。

特定用途・一定規模以上の建築では、建築物通算炭素排出量の評価結果などを着工14日前までに届け出ます。建材・設備のCO2表示、第三者認証の標章、上位住宅供給事業者への計画提出・報告制度も設けます。

背景やタイミングを表すイラスト

なぜ今?

建築分野の脱炭素を、建物を使う段階の省エネだけでなく、建てて壊すまでの排出削減へ広げるためです。

国土交通省は、建築分野が日本全体の温室効果ガス排出量の約4割を占め、そのうち使用段階が約3割、資材製造・施工・解体などが約1割だと説明しています。2025年4月から新築住宅・非住宅の省エネ基準適合も全面義務化されています。

関係する人や地域を表すイラスト

誰に関係する?

建築主、不動産開発事業者、建築士、施工者、建材・設備メーカー、住宅購入者に関係します。

届出対象の用途・規模、評価方法、認証基準、標章の様式などは政令・省令・告示で定まります。国交省概要では届出対象の例として大規模事務所、5,000㎡が示されています。

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建物のCO2を「建てる前」から見える化へ 建築物省エネ法改正案を解説

🏢 建築物 / 🌱 ライフサイクルカーボン / 🏷️ 環境性能表示

第221回国会の閣法第39号は、建物の省エネだけでなく、資材づくりから解体までのCO2も評価する仕組みを入れる法案です。

大規模な建築の建築主、住宅供給事業者、建材・設備メーカー、設計・施工者に関わる改正です。

💡 一言で言うと

建物のCO2を、使う時だけでなく建てて壊すまで見る法律です。

現行制度は、住宅やビルを使う段階の省エネ性能が中心です。2025年4月1日からは、原則としてすべての新築住宅・非住宅に省エネ基準への適合が義務づけられています。

今回の改正案では、そこにライフサイクルカーボンの評価を加えます。資材の製造、工事、使用、維持管理、解体までに出るCO2を計算し、一定の建築では着工前に国へ届け出る制度を作ります。

🔑 何が変わるのか

主な変更点は5つです。

  1. 法律名に「脱炭素化の促進」が入ります。

現行の「建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律」は、「建築物のエネルギー消費性能の向上及び脱炭素化の促進に関する法律」に改められます。

  1. 建物のCO2を計算する国の指針が作られます。

「建築物通算炭素排出量評価」という仕組みを置き、国が算定・評価方法の指針を定めます。

  1. 一定の建築は、着工14日前までに評価結果を届け出ます。

特定用途・一定規模以上の建築では、建築主が削減計画と評価結果を国土交通大臣に届け出ます。国などの機関が建てる場合は通知します。対象用途・規模は政令で定める形です。

  1. 建材・設備のCO2表示の仕組みができます。

建材や設備の製造事業者などは、国のルールに沿って炭素排出量原単位を算定した場合、その数値を製品や広告に表示できるようになります。

  1. 環境性能の第三者認証・表示制度ができます。

建築主などは、登録機関による認証を受け、建物や広告、契約書類などに標章を表示できるようになります。

🏛️ 背景(なぜ今この改正なのか)

国土交通省は、建築分野が日本全体の温室効果ガス排出量の約4割を占めると説明しています。内訳は、建物を使う段階が約3割、資材製造・施工・解体などが約1割です。

これまでの建築物省エネ法は、冷暖房、照明、給湯など、建物を使う時のエネルギー消費を減らす制度が中心でした。2025年4月からは、省エネ基準への適合が原則すべての新築住宅・非住宅に広がりました。

次の段階として、法案は「建てる前から、建物全体のCO2を把握する」方向へ制度を広げます。2050年カーボンニュートラルや、2030年までのZEH・ZEB水準への引き上げ方針とつながる改正です。

📊 現行制度と改正後の違い

見る範囲

  • 現行

建物を使う段階の省エネ性能が中心です。断熱性能や設備効率などを見ます。

  • 改正後

資材製造、建築、修繕・模様替、使用、維持保全、解体、解体で出る廃棄物の処理までを含めたCO2を見ます。

新築時の義務

  • 現行

2025年4月1日以降、原則としてすべての新築住宅・非住宅に省エネ基準適合が義務づけられています。省エネ基準への適合を求めない規模は、床面積10㎡以下の建築です。

  • 改正後

省エネ基準に加え、特定用途・一定規模以上の建築では、ライフサイクルカーボン評価の結果などを着工14日前までに届け出ます。

届出の対象

法案本文では、対象となる用途や規模は政令で定める形です。国土交通省の概要資料では、届出対象として「大規模事務所」「5,000㎡」が示されています。

具体的な対象用途・規模、評価方法、認証基準、標章の様式などは、政令・省令・告示で定める事項です。

住宅供給事業者への制度

  • 現行

一定数以上の住宅を供給する事業者に、住宅トップランナー制度があります。

  • 改正後

住宅市場でおおむね4分の1を占める上位の住宅供給事業者を指定し、中長期計画の提出と毎年度の報告を求めます。取組状況が基準に照らして著しく不十分な場合、国土交通大臣が勧告や命令を行える仕組みになります。

新技術の扱い

特殊な構造や設備を使う建物について、通常の誘導基準に当てはめにくい場合でも、国土交通大臣が同等以上の省エネ性能を認定できる制度ができます。認定を受ければ、建築物エネルギー消費性能向上計画の対象となり、容積率(敷地面積に対する延べ面積の割合)の特例などにつながります。

👥 影響を受ける人・事業者

建築主・不動産開発事業者

特定用途・一定規模以上の建築では、設計段階でライフサイクルカーボンを評価し、着工前に届け出る手続きが加わります。

建築士・設計事務所

建築主に対し、評価に必要な事項を説明し、評価の実施に協力する役割が置かれます。

建設業者

建築物通算炭素排出量の削減に関する説明や、認証申請に必要な情報提供に関わります。

建材・設備メーカー

国のルールに沿って算定した炭素排出量原単位を、製品や広告に表示できるようになります。まぎらわしい表示は禁止されます。

住宅を買う人・借りる人

建物の環境性能について、第三者認証の標章が広告や契約書類などに表示される制度ができます。省エネ性能に加え、建物のライフサイクル全体のCO2も情報として示される場面が出てきます。

📅 施行日と経過措置

法案の施行日は、原則として公布の日から2年以内に政令で定める日です。

ただし、上位住宅トップランナー制度や、先導的な省エネ技術を評価する大臣認定制度などは、公布の日から1年以内に政令で定める日から施行されます。

ライフサイクルカーボン評価の届出・通知制度は、施行日から14日を経過した日以後に着工する対象建築に適用されます。

📖 用語解説

ライフサイクルカーボン

建物の資材を作る段階から、工事、使用、修繕、維持管理、解体までに出るCO2を通算して見る考え方です。法案では「建築物通算炭素排出量」と定義されます。

ZEH・ZEB

ZEHはネット・ゼロ・エネルギー・ハウス、ZEBはネット・ゼロ・エネルギー・ビルの略です。断熱性能や高効率設備で使うエネルギーを減らし、太陽光発電なども組み合わせて、年間のエネルギー消費量を実質ゼロに近づける住宅・建築物を指します。

省エネ基準

建物の断熱性能や設備効率などについて、国が定める最低限の基準です。2025年4月1日以降、原則としてすべての新築住宅・非住宅に適合が義務づけられています。

建築主

建築工事を注文する人や会社、または自分で建築工事を行う人を指します。住宅の新築では施主、不動産開発ではデベロッパーなどが該当します。

🔗 参考リンク


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