危険運転致死傷罪見直し法案
危険運転致死傷罪について、飲酒や高速度などの判断に具体的な数値基準を入れる改正です。
成立
次: 公布
一言で言うと
飲酒、スピード、ドリフト走行などの危険運転を、数値や行為でよりはっきり線引きして、悪質な事故を処罰しやすくする改正です。
この法案のポイント

何が変わる?
危険運転致死傷罪について、飲酒や高速度などの判断に具体的な数値基準を入れる改正です。
飲酒では血液1mLにつきアルコール1.0mg以上、呼気1Lにつき0.5mg以上を条文に入れます。高速度では最高速度を50km/hまたは60km/h超える速度を基準にし、タイヤを滑らせる・浮かせる走行も対象に加えます。

なぜ今?
危険運転致死傷罪の適用範囲が分かりにくく、飲酒や大幅な速度超過の線引きを明確にする必要があるためです。
制度は2001年創設、2013年整理、2020年あおり運転類型追加と見直されてきました。警察庁によると、2025年中の飲酒運転事故は2,283件、うち死亡事故は125件でした。

誰に関係する?
飲酒運転、大幅な速度超過、ドリフト型走行などで人を死傷させた運転者に関係します。
運送業、配送業、社用車を使う企業では、飲酒確認、速度管理、運転者研修の確認事項が増えます。捜査や裁判では、アルコール濃度や速度超過幅が判断材料になります。
詳しく読む
〖閣法第42号〗危険運転致死傷罪はどう変わるのか 飲酒・速度を数字で示し、ドリフト型走行も対象に
🚗 危険運転 / 🍺 飲酒運転 / 🏎️ 高速度・ドリフト型走行 / 📅 公布20日後施行
この法案は、危険運転致死傷罪のうち、飲酒と高速度の判断に具体的な数字を入れるものです。
タイヤを滑らせたり浮かせたりして車を制御しにくい状態で走る行為も、新たに対象へ加えます。
💡 一言で言うと
飲酒・速度・ドリフト型の危険運転を、数字と行為で線引きし直す法案です。
これまでの危険運転致死傷罪は、「正常な運転が困難な状態」「制御することが困難な高速度」といった言葉で判断する部分がありました。
改正案は、飲酒なら呼気1Lにつき0.5mg以上など、高速度なら最高速度を50km/hまたは60km/h超える速度などを条文に入れます。
🔑 何が変わるのか
大きな変更点は4つです。
- 飲酒による危険運転に、血液・呼気中アルコール濃度の数字を明記します。
- 高速度運転に、最高速度からの超過幅を明記します。
- タイヤを滑らせる、浮かせるなどの走行を危険運転致死傷罪の対象に加えます。
- 道路交通法の酒酔い運転にも、同じく呼気0.5mg/L以上などの数字を入れます。
🏛️ 背景 なぜ今この改正なのか
危険運転致死傷罪は、特に危険な運転で人を死亡・負傷させた場合に問われる罪です。
制度はこれまでも見直されてきました。2001年に刑法で創設され、2013年に自動車運転死傷処罰法として整理され、2020年にはあおり運転に関する類型が追加されました。
一方で、飲酒や大幅な速度超過について、どこから危険運転に当たるのかが条文上わかりにくいという課題がありました。法務省の検討会や法制審議会での議論を経て、今回の法案では数字と具体的な行為を条文に入れる形になりました。
警察庁によると、2025年中の飲酒運転による交通事故は2,283件、うち死亡事故は125件です。飲酒運転への対応は、今回の改正でも中心的な論点になっています。
📊 現行制度と改正後の違い
1. 飲酒による危険運転致死傷罪
現行は、アルコールや薬物の影響で「正常な運転が困難な状態」で走行し、人を死傷させた場合が対象です。
改正後は、アルコールについて次の数字を条文に入れます。
- 血液1mLにつきアルコール1.0mg以上
- 呼気1Lにつきアルコール0.5mg以上
この数字に達する状態は、危険運転致死傷罪の対象となる「正常な運転が困難な状態」に含まれます。
2. 高速度運転
現行は、「進行を制御することが困難な高速度」という書き方です。
改正後は、現行の高速度類型を残したうえで、次の数値基準を追加します。
- 最高速度が60km/h以下の道路
→ 最高速度を50km/h超える速度
- 最高速度が60km/hを超える道路
→ 最高速度を60km/h超える速度
たとえば、最高速度40km/hの道路なら90km/hを超える速度、最高速度100km/hの道路なら160km/hを超える速度です。
さらに、これに準ずる速度で、道路や交通の状況から重大な危険を避けることが著しく難しい場合も対象になります。
3. タイヤを滑らせる・浮かせる走行
改正後は、次の行為が危険運転致死傷罪の対象に加わります。
- 殊更にタイヤを滑らせる
- 殊更にタイヤを浮かせる
- その結果、進行を制御することが困難な状態で走行する
いわゆるドリフト走行やウィリー走行のような態様が想定されます。ポイントは、条文が「殊更に」と「制御することが困難な状態」の両方を置いている点です。
4. 道路交通法の酒酔い運転
道路交通法の酒酔い運転は、運転行為そのものに罰則を置く制度です。
現行は、「アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態」と書かれています。
改正後は、ここにも次の数字を明記します。
- 血液1mLにつきアルコール1.0mg以上
- 呼気1Lにつきアルコール0.5mg以上
酒気帯び運転の規定側にも、この数値未満の範囲で政令基準を置く形に整理されます。
👥 影響を受ける人
運転者
飲酒、大幅な速度超過、タイヤを滑らせる・浮かせる走行で人を死傷させた場合、危険運転致死傷罪として扱われる範囲が具体化されます。
事業者・車両管理者
運送業、配送業、社用車を使う企業では、飲酒確認、速度管理、運転者研修で確認すべき内容が増えます。
捜査・裁判に関わる人
アルコール濃度や速度超過幅という客観的な数字が、危険運転致死傷罪を判断する材料になります。
📅 施行日と経過措置
法案上の施行日は、公布の日から起算して20日を経過した日です。
また、施行前にした行為の処罰は、改正前のルールによります。免許の拒否、取消し、停止などについても、施行前の行為を理由にする場合は従前の扱いになります。
🏛️ 国会での審議状況
この法案は、第221回国会の閣法第42号として、2026年3月31日に内閣から提出されました。
参議院先議で、4月16日に参議院法務委員会で可決され、4月17日に参議院本会議で全会一致により可決されました。その後、衆議院へ送付されています。
📖 用語解説
危険運転致死傷罪
特に危険な運転行為をして、その結果として人を死亡させたり負傷させたりした場合の罪です。「致死傷」は、死亡と負傷をまとめた言葉です。
酒酔い運転
アルコールの影響で、正常な運転ができないおそれがある状態で運転することです。今回の法案では、呼気0.5mg/L以上などの数字が条文に入ります。
酒気帯び運転
体内に一定量以上のアルコールがある状態で運転することです。酒酔い運転とは別に、道路交通法で罰則が定められています。
🔗 参考リンク
- 参議院 議案情報
- 参議院 提出法律案PDF
- 参議院 議案要旨PDF
- 法務省 法律案ページ
- 法務省 自動車運転による死傷事犯に係る罰則に関する検討会
- 法務省 取りまとめ報告書PDF
- 警察庁 飲酒運転を絶対にしない、させない
- e-Gov法令検索 自動車運転死傷処罰法
- e-Gov法令検索 道路交通法
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