民法等整備法案
成年後見・遺言制度の本体改正に合わせ、商法、戸籍法、会社法など関係法の表現や手続きを整える法案です。
公布済み
次: 公布・施行
一言で言うと
成年後見と遺言の仕組みを変えることに合わせ、戸籍、税、登記など周りの法律もまとめて直し、実務で使える形にそろえる法案です。
この法案のポイント

何が変わる?
成年後見・遺言制度の本体改正に合わせ、商法、戸籍法、会社法など関係法の表現や手続きを整える法案です。
本則で59本、附則で2本、計61本の法律を対象に、「成年被後見人」「被保佐人」「保佐人」などの表現を「補助開始の審判を受けた者」「特定補助人」などへ置き換えます。

なぜ今?
民法等改正で成年後見が補助中心に変わり、遺言制度も変わるため、周辺法も矛盾なく動かす必要があるためです。
本体法案では後見・保佐を廃止し、補助制度を広げ、特定補助人を置く仕組みを作ります。整備法案は、戸籍、訴訟、統計、会社役員、特許、行政手続などに残る旧制度前提の規定をそろえます。

誰に関係する?
成年後見や遺言を利用する本人・家族、自治体、裁判所、法務局、会社・登記・知財実務に関係します。
戸籍届出、統計調査への回答、会社役員の就任、特許出願、遺言書の保管などの周辺手続が対象です。既に成年後見・保佐を利用している人には、従前の扱いを残す経過措置も置かれます。
詳しく読む
成年後見の見直しを各制度に反映 61本の法律を直す整備法案
⚖️ 成年後見 / 📝 遺言制度 / 🏛️ 関係法律の整備
第221回国会の閣法第44号は、同時に提出された民法等改正法案に合わせ、商法、戸籍法、会社法などの規定をそろえる法案です。
成年後見制度を「補助」中心に組み替える改正が、行政手続や裁判手続、会社・登記のルールにどう反映されるのかを整理します。
💡 一言で言うと
成年後見と遺言の見直しを、周辺の法律にも反映する法案です。
本体となるのは、閣法第43号の「民法等の一部を改正する法律案」です。こちらで、成年後見制度(判断能力が十分でない人を支える家庭裁判所の制度)や遺言制度を見直します。
閣法第44号は、その見直しに合わせて、別の法律に残っている「成年被後見人」「保佐人」などの言葉や手続を直す整備法案です。本則で59本、附則で2本、計61本の関係法律が対象になります。
🔑 何が変わるのか
核心は、成年後見・保佐・補助の3類型を前提にしていた各法律を、「補助」を軸にした新しい制度へ合わせることです。
主な変更は次の3つです。
- 「成年被後見人」「被保佐人」「保佐人」などの表現を、「補助開始の審判を受けた者」「特定補助人」などに置き換える
- 戸籍、予防接種、感染症、統計、訴訟、会社役員、特許手続などの関係規定を直す
- 既存の成年後見・保佐を利用している人について、従前の扱いを残す経過措置を置く
🏛️ 背景:なぜ今この改正なのか
政府は本体法案について、高齢化の進展や単身高齢者世帯の増加を背景に、成年後見と遺言の制度を使いやすくするためと説明しています。
現行の法定後見制度は、成年後見・保佐・補助の3類型です。本体法案では、後見と保佐を廃止し、補助制度の適用範囲を広げます。あわせて、判断能力を欠く常況にある人について「特定補助人」を付ける仕組みを設けます。
また、遺言制度では、法務局で保管する「保管証書遺言」を新設します。電子的な記録で作る遺言も想定されています。
内閣府の令和7年版高齢社会白書では、65歳以上人口は3,624万人、高齢化率は29.3%とされています。65歳以上の人がいる世帯では、令和5年に「夫婦のみの世帯」と「単独世帯」がそれぞれ約3割を占めています。
📊 現行制度と改正後の違い
1. 成年後見関係の制度
- 現行
成年後見・保佐・補助の3類型を前提に、各法律が「成年被後見人」「被保佐人」「保佐人」などの言葉を使っています。
- 改正後
本体法案で後見・保佐を廃止し、補助制度を広げます。整備法案では、各法律の文言を「補助開始の審判を受けた者」「特定補助人」などに改めます。
2. 戸籍や行政手続
- 現行
戸籍法などには、成年被後見人や後見人を前提にした規定があります。
- 改正後
戸籍法では、特定補助人も届出をすることができる規定を置きます。遺言関係では、「遺言の謄本」という表現を、「遺言書等の謄本又は遺言書等の内容を記載した書面」に改めます。
3. 会社・法人関係
- 現行
会社法や一般社団法人・一般財団法人法には、成年被後見人や被保佐人が役員になる場合の規定があります。
- 改正後
これらを「特定補助人を付する処分の審判を受けた者」に合わせた規定へ直します。特定補助人が、本人の同意と家庭裁判所の代理権付与の審判に基づいて手続をする形にそろえます。
4. 裁判・統計・知的財産の手続
- 現行
民事訴訟法、非訟事件手続法、特許法、統計法などにも、成年後見・保佐を前提にした表現があります。
- 改正後
民事訴訟では「訴訟無能力者」などの表現を見直し、特定補助人に関する規定を置きます。特許法では、特定補助人が本人を代理して手続をすることができる規定を加えます。統計法では、特定補助人が本人の状況に配慮しながら報告を支援し、必要な場合は本人に代わって報告できる規定を置きます。
5. 家庭裁判所の申立手数料
民事訴訟費用等に関する法律も改正され、家事事件の審判申立ての手数料が整理されます。
改正後に置かれる主な金額は次のとおりです。
- 審判申立ての一部:3,300円
電子情報処理組織を使う申立ては2,900円
- 審判申立ての一部:2,300円
電子情報処理組織を使う申立ては1,900円
- 審判申立ての一部:2,100円
👥 影響を受ける人・機関
この整備法案の影響は、制度を直接利用する人だけに限られません。
- 成年後見・補助制度を利用する本人や家族
- 補助人、特定補助人、支援者
- 戸籍や福祉、保健、統計などの行政手続を扱う自治体
- 会社や一般法人の役員手続に関わる人
- 裁判所、法務局、特許庁などの手続機関
- 遺言や相続の手続に関わる人
生活上の接点としては、戸籍の届出、統計調査への回答、会社役員の就任、特許出願、遺言書の保管などがあります。
📅 施行日と経過措置
整備法案は、原則として本体の民法等改正法の施行日から施行されます。
本体法案では、原則の施行日は「公布の日から2年6か月を超えない範囲内で政令で定める日」とされています。遺言関係の一部は「公布の日から1年以内」、保管証書遺言に関する部分は「公布の日から3年以内」に施行する形です。
整備法案にも経過措置があります。
- 既に成年後見・保佐を利用している人については、本体法案の経過措置に合わせて従前の例による
- 施行前に結ばれた消費者契約の条項については、従前の例による
- 施行前の行為に対する罰則の適用は、従前の例による
📖 用語解説
整備法
中心となる法律改正に合わせて、他の法律に残る古い言葉や参照条文をそろえる法律です。今回の法案は、民法等改正法の施行に合わせた整備法です。
補助
判断能力が不十分な人について、家庭裁判所の審判により、必要な範囲で補助人の同意や代理を使える仕組みです。
特定補助人
本体法案で置かれる仕組みです。判断能力を欠く常況にある人について、家庭裁判所が特定補助人を付けることができます。
保管証書遺言
本体法案で新設される遺言の方式です。書面や電子的記録で作成し、法務局で保管する仕組みです。
🔗 参考リンク
- 参議院:議案情報(閣法第44号)
- 参議院:提出法律案PDF(閣法第44号)
- 法務省:民法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案
- 法務省:民法等の一部を改正する法律案
- 参議院:提出法律案PDF(閣法第43号)
- 内閣法制局:民法等の一部を改正する法律案
- 法務省:法務大臣閣議後記者会見の概要(令和8年4月3日)
- 内閣府:令和7年版高齢社会白書(家族と世帯)
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