種苗法改正案
新品種をつくった人の育成者権の保護期間を延ばし、登録前の海外流出にも対応しやすくする改正です。
衆議院 本会議を通過
次: 参議院 委員会
一言で言うと
新しい農作物の品種について、正式登録の前から権利を守り、登録後の保護期間も延ばして、品種開発にかけた努力を守る改正です。
この法案のポイント

何が変わる?
新品種をつくった人の権利を長く強く守り、登録前の海外流出にも差止めしやすくする改正です。
育成者権の保護期間を原則25年から35年へ、永年性植物は30年から40年へ延ばします。出願公表後の品種についても、警告後の無断輸出や輸出目的の保管に差止めを求められる場面を設けます。

なぜ今?
品種登録の出願が減る一方で、気候変動や海外流出への対策として新品種開発の重要性が増しているためです。
農林水産省資料では、品種登録の出願件数は平成19年度の1,533件から令和6年度の588件に減っています。登録まで数年かかる間の流出対策や、令和2年改正後に残った出願中品種への対応も課題です。

誰に関係する?
自治体・研究機関・種苗会社などの育成者と、登録品種を扱う農業者・輸出事業者に関係します。
登録品種の許諾契約、種苗の貸渡し、品種名表示、輸出先国の制限確認などが実務に関わります。登録品種名で販売された種苗をその品種と推定する規定も入り、裁判での立証にも影響します。
詳しく読む
新品種を登録前から長く守る種苗法改正案
🌱 種苗 / 🧬 新品種保護 / ✈️ 海外流出対策 / ⚖️ 育成者権
第221回国会に提出された「種苗法の一部を改正する法律案」は、新品種をつくった人や機関の権利を広げる法案です。
ポイントは、保護期間を10年延ばすこと、品種登録前でも海外への持ち出しを止めやすくすることです。
💡 一言で言うと
新品種を登録前から守り、権利の期間も10年延ばします。
種苗法は、新しい植物品種を登録し、育成者権という知的財産権で守る法律です。
現行制度では、育成者権の期間は原則25年、果樹などの永年性植物は30年です。改正案では、これを35年・40年に延ばします。
また、品種登録の審査中でも、一定の条件を満たせば、種苗や収穫物の輸出を差し止められるようにします。
🔑 何が変わるのか
- 保護期間の延長:育成者権の期間を、25年から35年へ、永年性植物は30年から40年へ延長します。
- 登録前の輸出差止め:出願公表後、品種登録前でも、警告後に無断輸出される場合は差止めを求められるようにします。
- 輸出目的の保管も対象:輸出向け倉庫での保管など、海外持ち出しの前段階にも育成者権の効力が及ぶ場面を設けます。
- 種苗リースを権利の対象に追加:種や苗を売るだけでなく、貸し渡す行為にも育成者権が及ぶようにします。
- 裁判での立証をしやすくする:登録品種名で販売された種苗は、その登録品種の種苗だと推定する規定を設けます。
- 損害額の算定を見直し:侵害があった場合、通常の許諾料より高い額を考慮できる仕組みを入れます。
- 名称ルール違反の過料引き上げ:登録品種名の使用義務違反などの過料上限を、10万円から20万円に引き上げます。
🏛️ 背景:なぜ今この改正なのか
背景には、新品種の開発と管理をめぐる環境の変化があります。
農林水産省の資料では、品種登録の出願件数は、平成19年度の1,533件から令和6年度の588件に減っています。一方で、高温耐性、耐病性、多収性など、気候変動や生産現場の課題に対応する品種の必要性は高まっています。
もう一つの背景は、優良品種の海外流出です。品種登録には栽培試験などで数年かかることがあり、その間は育成者権がまだ発生していません。改正案は、この「登録までの期間」にも一定の保護を及ぼすものです。
令和2年の種苗法改正では、登録品種の海外持出しを制限する仕組みが入りました。今回の改正案は、その後に見えてきた、出願中の品種や輸出目的の保管への対応を加える内容です。
📊 現行制度と改正後の違い
1. 育成者権の期間
- 現行:原則25年、永年性植物は30年
- 改正後:原則35年、永年性植物は40年
- 適用:公布日にまだ期間が満了していない育成者権にも適用されます。
2. 出願中の品種の輸出
- 現行:品種登録前は育成者権が発生していません。
- 改正後:出願公表後、警告をした後に、種苗の輸出や「最終消費以外の目的」での収穫物輸出が行われる場合、差止めを求められるようにします。
3. 輸出目的の保管
- 現行:輸出行為そのものが中心です。
- 改正後:輸出目的で保管する段階にも、育成者権の効力が及ぶ場合を設けます。
4. 種苗の貸渡し
- 現行:種苗の「貸渡し」は、育成者権が及ぶ利用行為として明確に位置づけられていません。
- 改正後:種苗の貸渡しや貸渡しの申出も、育成者権が及ぶ行為に加えます。
5. 登録品種名で売られた種苗
- 現行:裁判で、実際にその登録品種かどうかの立証が課題になります。
- 改正後:登録品種名で業として譲渡・貸渡しされた種苗は、その登録品種の種苗だと推定します。
6. 施行日
- 原則:令和8年12月1日
- 例外:育成者権の期間延長など一部は公布日から施行されます。
👥 影響を受ける人・対象者
- 新品種をつくる自治体・研究機関・種苗会社:保護期間が延び、登録前の海外流出にも対応しやすくなります。
- 登録品種を扱う農業者・生産者団体:登録品種を利用する際の許諾契約、リース契約、名称表示などがより関係します。
- 種苗を販売・輸出する事業者:輸出先国の制限や、輸出目的の保管、登録品種名の表示に注意が必要になります。
- 生活者:店頭での手続よりも、国産品種や地域ブランドの管理の仕組みとして関係します。
📖 用語解説
- 種苗:種、苗、穂木、苗木など、植物を増やすために使うものです。
- 品種登録:新しい植物品種を農林水産省に登録する制度です。
- 育成者権:登録品種を業として利用する権利です。植物品種の知的財産権にあたります。
- 永年性植物:果樹や林木など、長年にわたって育つ植物です。
- 消尽:権利者が正規に譲渡した後、その物について権利が及ばなくなる考え方です。改正案では、海外への持ち出しや逆輸入に関わる部分で、この扱いを見直します。
🔗 参考リンク
- 参議院「種苗法の一部を改正する法律案」議案情報
- 農林水産省「第221回国会提出法律案」
- 農林水産省「種苗法の一部を改正する法律案の概要」
- 農林水産省「法律案要綱」
- 農林水産省「新旧対照条文」
- 農林水産省「規制の事前評価書」
- 農林水産省「出願・登録の動向」
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