犯罪収益移転防止法改正案
口座売買や送金バイト対策として、金融サービスの不正利用への罰則を強め、警察の対策用口座も設ける改正です。
公布済み
次: 公布・施行
一言で言うと
口座売買や送金役の募集を止めるため、罰則を強め、警察が疑わしい口座を止めやすくして、特殊詐欺などのお金の流れを断つ改正です。
この法案のポイント

何が変わる?
口座売買や送金バイト対策として、金融サービスの不正利用への罰則を強め、警察の対策用口座も設ける改正です。
通帳・カードなどの不正譲渡は、通常の場合で1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金から、3年以下または500万円以下へ上がります。有償で他人に送金させる依頼や実行への罰則も新設します。

なぜ今?
特殊詐欺やSNS型投資・ロマンス詐欺の被害が拡大し、口座や送金役が犯罪資金の移動に使われているためです。
警察庁資料では、令和7年の特殊詐欺とSNS型投資・ロマンス詐欺の被害額は暫定値で合計3,241.1億円です。預貯金通帳等の譲渡等の検挙件数も、令和3年の2,446件から令和7年の4,489件に増えています。

誰に関係する?
口座や暗号資産アカウントを譲渡する人、送金役を募る人、金融機関、警察、被害者に関係します。
警察は犯罪利用防止措置用口座を使えるようになり、移された資金は返還や被害回復給付金の手続につながります。銀行、資金移動業者、暗号資産交換業者なども、制度運用や情報連携の対象になります。
詳しく読む
口座売買と送金バイトを止める犯罪収益移転防止法改正案
🏦 預貯金口座 / 🚫 口座売買 / 💸 送金バイト / 👮 犯罪利用防止
この法案は、口座売買や「送金バイト」に使われる金融サービスへの対策を増やすものです。罰則の引上げに加え、警察が犯罪利用を防ぐための特別な口座を使える制度も新設します。詳しくは警察庁の概要資料。
💡 一言で言うと
口座売買と送金役の募集を、罰則と警察の新制度で止める改正です。
対象は、預貯金通帳やキャッシュカード、暗号資産交換サービスの利用情報などを不正に渡す行為や、有償で他人に送金させる行為です。
現行法では、通帳などの不正譲渡は原則「1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金」です。改正後は「3年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金」に上がります。
🔑 何が変わるのか
主な変更点は4つです。
- 預貯金通帳等の不正譲渡の罰則を引き上げます。
- いわゆる「送金バイト」を依頼する側、事情を知って実行する側への罰則を新設します。
- 警察が、犯罪利用防止のための特別な口座を使える制度を作ります。
- 電子決済手段の移転時に情報を通知する対象を一部広げます。
拘禁刑とは、刑務所などに収容される刑罰です。罰金とあわせて科される場合もあります。
🏛️ 背景(なぜ今この改正なのか)
警察庁資料では、令和7年の特殊詐欺とSNS型投資・ロマンス詐欺の被害額は、暫定値で合計3,241.1億円とされています。
また、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数も増えています。預貯金通帳等の譲渡等は、令和3年の2,446件から令和7年の4,489件に増えました。
詐欺などで集めたお金を動かすには、銀行口座や決済サービスが使われます。今回の改正は、口座そのものの売買だけでなく、SNSなどで募られる送金役にも法的な網をかける内容です。
📊 現行制度と改正後の違い
1. 通帳・カード・口座情報の不正譲渡
現行制度では、預貯金通帳等の不正譲渡などの罰則は次の水準です。
- 通常の場合
- 現行:1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
- 改正後:3年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金
- 業として行う場合
- 現行:3年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金
- 改正後:5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金
「業として」とは、仕事のように繰り返して行う場合を指します。
2. 「送金バイト」への罰則
改正案では、正当な理由がないのに、有償で他人に金融サービスを使って財産を移すよう依頼する行為などを処罰します。
- 通常の場合
- 2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金
- 業として行う場合
- 3年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金
依頼する側だけでなく、相手の目的を知りながら有償で送金を実行する側も対象になります。
3. 警察の「犯罪利用防止措置用口座等」
改正案は、警察官が金融機関などに対し、名義人の表示などに特別な措置をした口座の開設を求められる制度を設けます。
警察庁の概要資料では、これを「架空名義口座」と説明しています。条文上の名称は「犯罪利用防止措置用口座等」です。
警察官は、口座売買や送金バイトを勧誘する者に対して、この口座を使った措置を行えるようになります。制度の性質上、必要な範囲で警察官の身分などを隠す規定も置かれます。
4. 入金されたお金の返還と給付金
犯罪利用防止措置用口座等にお金が移された場合、警察本部長がその財産を保管し、原則として移転した人に返還します。
返還を受ける人が分からない場合などは公告され、6か月を経過しても分からないときは返還を受ける権利が消滅します。
その後、条件を満たす資金は、詐欺などの被害者に支給する「特定被害回復給付金」の原資になります。支給申請期間は、公告の翌日から30日以上とされています。
5. 電子決済手段の通知義務
電子決済手段を移転する際、事業者間で送付人・受取人に関する情報を通知する制度があります。
今回の改正では、対象となる電子決済手段に、特定信託受益権の一部を追加します。一般向けには、電子的な決済手段の一部について、資金移転時の情報連携ルールを広げる変更です。
👥 影響を受ける人・対象者
この改正で直接関係するのは、主に次の人や事業者です。
- 口座、通帳、カード、暗号資産口座の利用情報などを売買・譲渡する人
- SNSなどで送金役を募る人
- 報酬を受けて他人のために送金する人
- 銀行、資金移動業者、電子決済手段等取引業者、暗号資産交換業者など
- 詐欺などの被害金の返還・給付を受ける可能性がある被害者
📅 施行日と経過措置
法案が成立して公布された場合、施行日は内容によって分かれます。
- 罰則引上げや「送金バイト」罰則の新設
- 公布の日から1か月を経過した日
- 警察の犯罪利用防止措置用口座等の制度など
- 公布の日から1年以内で、政令で定める日
具体的な運用手続の一部は、国家公安委員会規則に委ねられています。
🗓️ 国会での状況
この法案は、第221回国会の閣法第51号として、2026年4月3日に内閣から提出されました。
参議院では、4月16日に内閣委員会で可決され、4月17日に本会議で可決されました。同日、衆議院へ送付されています。
🔗 参考リンク
- 参議院 議案情報:犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部を改正する法律案
- 警察庁 国会提出法案
- 警察庁 法律案要綱
- 警察庁 案文・理由
- 警察庁 参考資料
- 内閣法制局 法律案ページ
- 警察庁 令和7年特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等
- 警察庁 犯罪収益移転防止に関する年次報告書概要2025
- 警察庁 規制の事前評価書
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