デジタル・科学

デジタル行政・情報処理促進法改正案

行政機関が持つデータを、認定を受けた民間事業で安全に活用できる「国等データ活用事業」をつくる改正です。

第221回国会閣法第53号提出者: 内閣提出: 2026/4/6
審議中

参議院 デジタル社会の形成及び人工知能の活用等に関する特別委員会で審議中

次: 参議院 委員会

先委先本後委後本成立

一言で言うと

国が持つデータを、認定された民間サービスでも安全に使いやすくし、行政手続きや民間サービスの改善につなげる改正です。

この法案のポイント

制度変更を表すイラスト

何が変わる?

行政機関が持つデータを、認定を受けた民間事業で安全に活用できる「国等データ活用事業」をつくる改正です。

内閣総理大臣が指針を定め、事業者の計画を主務大臣が認定します。認定事業者は必要な国等データの提供を求められ、個人情報を含む場合は個人情報保護委員会との協議や安全管理の確認が入ります。

背景やタイミングを表すイラスト

なぜ今?

AIやデジタルサービスで行政データを使う需要が高まり、活用と保護を両立する共通ルールが必要になっているためです。

政府の基本方針では、データ利活用と本人保護を両立する制度整備が掲げられています。検討資料では、自動運転、建設現場の安全対策、許認可・資格情報の確認など、官民データ活用の例が示されています。

関係する人や地域を表すイラスト

誰に関係する?

行政データを使う民間事業者、国や自治体などの行政機関、データに関係する生活者に関係します。

事業者は目標、改善する業務、実施時期、安全管理などを計画に書きます。行政側は法令違反や公益への支障を確認し、提供しない場合は理由を通知します。IPAは安全管理などの技術的支援を担います。

詳しく読む

国のデータを民間事業で使う認定制度を創設 安全管理を条件に提供請求の道を開く

🗂 行政データ / 🏢 民間活用 / 🔐 安全管理・個人情報

国や行政機関が持つデータを、認定を受けた民間事業で使えるようにする法案です。

事業者は計画の認定を受けると、必要なデータの提供を国に求められるようになります。一方で、個人情報を含む場合の協議、安全管理、手数料、罰則もあわせて定めます。

💡 一言で言うと

国のデータを、認定を受けた民間事業で使いやすくする法案です。

これまでも行政データの公開や活用は進められてきましたが、民間事業者が行政手続に関わるサービス改善のために国のデータを使う場合、どのような計画なら認められるのか、個人情報や安全管理をどう確認するのかが制度としてまとまっていませんでした。

この法案は、政府が指針をつくり、事業者の計画を主務大臣が認定し、認定事業者が国のデータ提供を求められる仕組みを新設します。

🔑 何が変わるのか

核心は、「国等データ活用事業」という認定制度をつくることです。

新しい流れは、次のようになります。

  1. 内閣総理大臣が、重点分野や安全管理などを示す指針を定める
  2. 事業者が、国の行政機関等のデータを使う事業計画を申請する
  3. 主務大臣が、指針への適合性や安全管理を確認して認定する
  4. 認定を受けた事業者は、事業に必要な国等のデータ提供を求めることができる
  5. データ提供には、法令違反のおそれがないこと、公益や行政事務に支障がないことなどの条件が置かれる

認定を受けた事業者が使うデータに個人情報が含まれる場合、主務大臣は個人情報保護委員会に協議しなければならない規定も入ります。

🏛️ 背景(なぜ今この改正なのか)

政府は、令和7年6月13日に閣議決定した「データ利活用制度の在り方に関する基本方針」に基づき、データの活用と保護の両立を進める制度整備を進めています。

背景には、AIやデジタルサービスの広がりにより、官民が持つデータを組み合わせて使う需要が高まっていることがあります。政府の検討資料では、自動運転技術の開発、建設現場のカメラ画像を使った安全対策、取引相手先の許認可・資格情報の確認などが想定例として示されています。

一方で、データの標準化、安全管理、個人情報保護、関係省庁との調整が課題になります。この法案は、事業計画の認定、関係機関との協議、IPAによる技術的支援を組み合わせ、行政データの活用ルートを制度化する内容です。

📊 現行制度と改正後の違い

1. 民間事業者による行政データ活用

現行制度では、行政データの公開や利用は各制度・各機関の運用に委ねられる部分が大きく、民間事業者が国のデータを使う事業について、横断的な認定制度はありません。

改正後は、情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律に第26条から第34条までを加え、国等データ活用事業の指針、計画認定、データ提供の求め、手数料、支援、報告徴収を定めます。

2. データ提供を求める仕組み

現行制度では、事業者が国の行政機関等に対して、認定事業に必要なデータ提供を求める制度はありません。

改正後は、認定事業者が主務大臣に対し、事業実施に必要なデータの提供を求められます。国側は、次の条件を満たす場合に提供する仕組みです。

  • 認定事業の実施に不可欠なデータであること
  • 他の法令に違反しないこと
  • 公益を害したり、行政事務・事業の遂行に支障を及ぼしたりするおそれがないこと

提供しない場合は、その理由を通知する規定も置かれます。

3. 個人情報を含む場合

現行制度では、この認定制度自体がありません。

改正後は、認定対象の事業で使うデータに個人情報が含まれる場合、主務大臣が個人情報保護委員会に協議することになります。あわせて、関係行政機関の長に意見を求めたり、書面調査・実地調査を行ったりできる規定も設けます。

4. 手数料

現行制度では、この制度に基づく手数料はありません。

改正後は、認定事業者がデータ提供を受ける場合、実費を勘案して政令で定める額の手数料を国に納めます。公共機関等から提供を受ける場合は、その公共機関等が実費を勘案して手数料を定めます。

5. IPAの役割

現行制度でも、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は情報処理やサイバーセキュリティに関する業務を担っています。

改正後は、認定事業者に対する安全管理に関する情報提供など、国等データ活用事業に関する協力業務をIPAの業務に追加します。主務大臣は、計画認定時の調査や、データ安全確保に関する重大な事態が生じた場合の原因究明調査を、IPAなどに行わせることができます。

6. 公的基礎情報データベースの共同整備

現行制度では、国と他の行政機関等が共同で公的基礎情報データベースを整備・改善する際の費用の取り扱いについて、今回のような保管金の規定はありません。

改正後は、国の行政機関が他の行政機関等から必要な金銭を受け取り、データベース整備等を行う事業者に引き渡せる規定を設けます。手続はデジタル庁令で定め、デジタル庁令を定める際は財務大臣との協議が必要です。

👥 影響を受ける人・対象者

民間事業者

行政データを使って、手続に関わる業務やサービスを改善しようとする事業者が主な対象です。計画認定を受けるには、事業の目標、改善する業務、実施時期、安全管理の内容などを示す必要があります。

行政機関・公共機関

国の行政機関等は、認定事業者からデータ提供を求められた場合、法令適合性や公益への影響を確認することになります。提供しない場合の理由通知も制度に含まれます。

地方公共団体等

認定事業者は、地方公共団体等に対してデータ提供その他の協力を求めることができます。地方公共団体等は、必要に応じてIPAに技術的助言や情報提供を求められます。

生活者

生活者への直接の変化は、行政データを使った民間サービスや手続関連業務の改善を通じて現れます。個人情報を含む事業計画では、個人情報保護委員会との協議が制度に組み込まれます。

📅 施行日と経過措置

施行日は、公布の日から1年6か月を超えない範囲内で政令で定める日です。

ただし、国等データ活用事業指針を定めるための準備行為は、公布の日から行うことができます。つまり、法律の本格施行前に、政府が指針づくりを進められる設計です。

⚖️ 罰則

新たに罰則も置かれます。

  • IPAなどが行う調査の委託を受けた法人の役職員等が、正当な理由なく秘密を漏らした場合
  • 1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
  • 認定事業者が主務大臣の報告徴収に応じない場合、または虚偽報告をした場合
  • 30万円以下の罰金

法人の従業者などが業務に関して虚偽報告などをした場合、法人にも罰金を科す両罰規定も設けられます。

📖 用語解説

国等データ活用事業

国の行政機関等が持つデータを使い、行政手続に関連する民間事業者の業務処理を改善し、国民の利便性を高める事業です。

主務大臣

その事業を所管する大臣と内閣総理大臣を指します。認定やデータ提供の手続で中心的な役割を担います。

IPA

独立行政法人情報処理推進機構のことです。情報処理やサイバーセキュリティに関する専門機関で、この法案では認定事業者への安全管理支援などが加わります。

公的基礎情報データベース

行政が共通して使う基礎的な情報を扱うデータベースです。今回の法案では、国と他の行政機関等が共同で整備・改善する際の費用処理の規定を整えます。

🔗 参考リンク


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