学校教育法等改正案
デジタル教科書を正式な教科書として位置づけ、義務教育での無償利用や採択・著作権ルールを整える改正です。
公布済み
次: 公布・施行
一言で言うと
紙の教科書を基本にしてきた学校の仕組みに、デジタル教科書を正式な教科書として入れ、学び方の選択肢を広げる改正です。
この法案のポイント

何が変わる?
デジタル教科書を正式な教科書として位置づけ、義務教育での無償利用や採択・著作権ルールを整える改正です。
紙だけを前提にした「教科用図書」から、紙、紙とデジタルの組合せ、デジタルのみを含む「教科書」へ整理します。義務教育では国が使用権を購入し、児童生徒が無償で使える仕組みも入ります。

なぜ今?
デジタル教科書の利用が広がる一方で、法律上はまだ紙の教科書の代替教材という位置づけだったためです。
デジタル教科書は2019年度から紙に代えて使える制度が始まり、2021年度には授業時数の2分の1未満という使用制限も撤廃されました。文部科学省資料では、2024年度時点で6割以上の教師が4回に1回程度以上使っています。

誰に関係する?
児童生徒、保護者、学校・教員、教育委員会、教科書発行者、障害のある児童生徒に関係します。
発行者はデジタル配信や使用権管理に対応し、学校は端末、通信環境、授業設計、健康面への配慮が必要になります。拡大教科書、点字教科書、音声教材などもデジタル利用に対応する制度整理が行われます。
詳しく読む
教科書を紙だけの制度からデジタル対応へ 検定・採択・無償給与の対象に
📚 教科書 / 💻 デジタル教材 / 🏫 小中高・特別支援学校 / 🆓 無償給与
この法案は、学校で使う「教科書」の制度に、デジタルの形態を正式に入れるものです。義務教育では、デジタル教科書も無償で使える対象にするため、発行・採択・著作権のルールも整えます。
💡 一言で言うと
紙の本だけだった教科書制度に、デジタル教科書を正式に入れます。
いまの制度でも、タブレットなどで使う「学習者用デジタル教科書」はあります。ただし法律上は、紙の教科書に代えて使う「教科書代替教材」という位置付けです。
改正後は、紙の教科書、紙とデジタルを組み合わせた教科書、デジタルだけの教科書を、いずれも「教科書」として扱えるようにします。
🔑 何が変わるのか
主な変更点は5つです。
- 「教科用図書」から「教科書」へ言葉を改める
- 現行法は、学校で使う主な教材を「教科用図書」としており、紙の本を前提にしています。
- 改正後は「教科書」という定義を置き、デジタルを含められるようにします。
- デジタル教科書を「代替教材」ではなく正式な教科書にする
- 現行のデジタル教科書は、紙の教科書の内容をそのままデジタル化した教材です。
- 改正後は、デジタル形態も教科書そのものとして扱える制度になります。
- 義務教育の無償制度をデジタルにも対応させる
- 紙の教科書は、国が購入して学校設置者に無償で給付します。
- デジタルの場合は、国が使用権を購入し、児童生徒が無償で使える仕組みにします。
- 発行・供給のルールをデジタル配信に合わせる
- 教科書の「発行」に、配布だけでなくインターネットを通じた送信などを含めます。
- 発行義務や保証金の扱いも、デジタル供給に対応させます。
- 著作権のルールを広げる
- デジタル教科書では、音声、動画、図表などの利用が関わります。
- 採択、発行、通常の授業での使用に必要な範囲で、著作物を利用できるよう著作権法も改正します。
🏛️ 背景(なぜ今この改正なのか)
デジタル教科書は、令和元年度(2019年度)から、紙の教科書に代えて使える制度が始まりました。当初は「各教科などの授業時数の2分の1未満」という使用制限がありましたが、令和3年度(2021年度)からこの制限は撤廃されています。
一方で、現行制度ではデジタル教科書は「教科書代替教材」です。つまり、学校で使用義務がある教科書、検定・採択・無償給与の対象となる教科書は、法律上は紙の教科書が中心です。
文部科学省の資料では、令和6年度時点で、6割以上の教師がデジタル教科書を「4回に1回程度以上」授業で使っているとされています。端末整備や活用が進む中で、紙だけを前提にした制度を改める必要が出てきた、という流れです。
📊 現行制度と改正後の違い
1. 教科書の定義
- 現行
- 「文部科学大臣の検定を経た教科用図書」
- 「文部科学省が著作の名義を有する教科用図書」
- 紙の図書を前提にした制度です。
- 改正後
- 「文部科学大臣の検定を経た教科用の教材」
- 「文部科学省が著作の名義を有する教科用の教材」
- 紙、紙+デジタル、デジタルのみの形態を含められるようにします。
2. デジタル教科書の位置付け
- 現行
- 紙の教科書の内容を記録した「教科用図書代替教材」です。
- 教科書ではないため、検定・採択・無償給与などの対象外です。
- 改正後
- デジタル形態を含むものも「教科書」として制度上位置付けます。
- これに伴い、「教科用図書代替教材」の制度は廃止されます。
3. 義務教育での無償措置
- 現行
- 紙の教科用図書を国が購入し、学校設置者に無償で給付します。
- 改正後
- 紙の教科書は、引き続き購入して給付します。
- デジタル教科書は、使用権を購入し、学校設置者に無償で移転するなどの方法を取ります。
- 児童生徒は、無償で使える扱いになります。
4. 高校・特別支援学校などで使う教材
高等学校、特別支援学校、特別支援学級などでは、検定済み教科書がない場合などに、教科書以外の教材を使うことがあります。
改正後は、こうした教材についても、デジタル形態を含められるようにします。
5. 著作権
- 現行
- 紙の教科書、教科書代替教材、拡大教科書などについて、別々の規定があります。
- 改正後
- デジタル教科書の発行・採択・通常の使用に必要な範囲で、掲載された著作物を利用できるようにします。
- 拡大教科書など、障害のある児童生徒向けの教材についても、デジタル利用に対応します。
👥 影響を受ける人・対象者
児童生徒
タブレットなどで使う教科書が、法律上も正式な教科書として扱われる道が開かれます。拡大表示、音声読み上げ、書き込み、保存、ルビ表示など、デジタルならではの機能を教科書制度の中で扱えるようになります。
保護者
義務教育では、デジタル形態の教科書も無償制度の対象になります。紙の教科書と同じく、家庭が教科書代を負担する仕組みではなく、国の無償措置の中で扱われます。
学校・教師
教科書の形態が増えるため、授業設計、端末の準備、通信環境、児童生徒の健康への配慮など、運用面の対応が関係します。具体的な対象学年・教科や使い方は、今後の指針や検定の仕組みで整理される部分があります。
教科書発行者
紙の印刷・配布だけでなく、デジタル配信や使用権の管理が制度上の供給方法に入ります。発行義務、保証金、供給方法ごとの責任なども改正されます。
障害のある児童生徒
拡大教科書、点字教科書、音声教材などに関する制度も、デジタル形態に対応します。教科用特定図書等も、デジタルの場合に無償で使える仕組みが整えられます。
📅 施行日と経過措置
施行日は、令和9年(2027年)4月1日です。
ただし、経過措置を政令で定める規定は、公布の日から施行されます。
施行時点で現に「教科用図書」とされているものは、改正後の「教科書」とみなされます。また、既存の紙教科書に対応するデジタル教材の扱いについても、一定の経過措置が置かれます。
🗓️ 国会での扱い
この法案は、第221回国会に内閣提出法案として提出されました。参議院の議案情報では、提出日は令和8年(2026年)4月7日、衆議院文部科学委員会への付託は4月21日、同委員会での可決は4月24日と記載されています。
🔭 残る制度設計
法案は、デジタル教科書を正式な制度に入れるための土台を作るものです。
文部科学省の資料では、制度改正後のデジタル教科書について、国が発行・使用に関する指針を策定し、教科書検定調査審議会で新たな検定の仕組みを整備するとされています。
具体的には、対象となる学年・教科、デジタル機能の範囲、二次元コード先のコンテンツを教科書の一部としてどう扱うか、供給やライセンス管理の実務などが、今後の整理事項になります。
🔗 参考リンク
- 文部科学省:学校教育法等の一部を改正する法律案
- 学校教育法等の一部を改正する法律案(概要)
- 学校教育法等の一部を改正する法律案(要綱)
- 学校教育法等の一部を改正する法律案(案文・理由)
- 学校教育法等の一部を改正する法律案(新旧対照表)
- 参議院:学校教育法等の一部を改正する法律案
- デジタル教科書推進ワーキンググループ審議まとめ(概要)
- 教科書のデジタル活用の現状と今後の方向性について
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