お金・税

金商法・資金決済法改正案

暗号資産を金融商品取引法の規制対象に移し、開示、資金調達、不公正取引への課徴金も見直す改正です。

第221回国会閣法第57号提出者: 内閣提出: 2026/4/9
審議中

参議院 財政金融委員会で審議中

次: 参議院 委員会

先委先本後委後本成立

一言で言うと

暗号資産を投資商品に近いルールで扱い、企業の情報開示や資金調達の仕組みも見直して、金融取引のルールを整える改正です。

この法案のポイント

制度変更を表すイラスト

何が変わる?

暗号資産を金融商品取引法の規制対象に移し、開示、資金調達、不公正取引への課徴金も見直す改正です。

暗号資産交換業者は暗号資産取引業者となり、取扱暗号資産の情報公表やインサイダー取引規制が入ります。あわせて、一定のプライム企業のサステナビリティ開示・第三者保証、5億円未満の資金調達の届出免除も整えます。

背景やタイミングを表すイラスト

なぜ今?

暗号資産が個人の投資対象として広がり、既存の資金決済法中心の規制だけでは投資者保護が足りなくなっているためです。

金融庁資料では、国内の暗号資産口座開設数は1,400万超で、年収700万円未満の層が約7割とされています。サステナビリティ情報では、SSBJ基準に基づく比較可能な開示や第三者保証への対応も国際的な課題になっています。

関係する人や地域を表すイラスト

誰に関係する?

暗号資産の利用者・発行者・取引業者、プライム上場企業、スタートアップや成長企業に関係します。

国内業者で暗号資産を取引する人は、取引前情報や不公正取引規制の対象になります。プライム企業は時価総額に応じて開示と保証へ段階対応し、スタートアップは5億円未満の募集で有価証券届出書が不要になります。

詳しく読む

暗号資産を「投資」のルールへ 金商法で情報公表とインサイダー規制を整える

🪙 暗号資産 / 📈 投資者保護 / 🌱 サステナ開示 / 🚀 資金調達

暗号資産を資金決済法中心の規制から、金融商品取引法の規制へ移す法案です。あわせて、上場企業のサステナビリティ情報開示、スタートアップの資金調達、不公正取引への課徴金も見直します。一次資料:金融庁説明資料

💡 一言で言うと

暗号資産を投資のルールで扱い、企業開示と資金調達も見直します。

これまで暗号資産は、主に「決済手段」として資金決済法で規制されてきました。改正後は、金融商品取引法の中で、有価証券とは別の金融商品として扱う設計になります。

暗号資産の発行者や取引業者には情報公表が求められ、未公表情報を使った売買へのインサイダー取引規制も入ります。企業側では、一定の東証プライム上場企業にサステナビリティ情報の開示と第三者保証を義務付けます。

🔑 何が変わるのか

核心は、暗号資産を「決済」だけでなく「投資対象」として扱う法制度に移す点です。

主な改正は次の4つです。

  • 暗号資産取引の規制を、資金決済法から金融商品取引法へ移す
  • 一定のプライム市場上場企業に、SSBJ基準に基づくサステナビリティ情報の開示と第三者保証を求める
  • スタートアップなどが少額で資金調達する際の開示負担を見直す
  • インサイダー取引、無登録業、課徴金(行政上の金銭負担)の制度を見直す

🏛️ 背景 なぜ今この改正なのか

金融庁の説明資料では、暗号資産について、国内口座開設数が1,400万超に達し、年収700万円未満の層が約7割を占めると示されています。暗号資産が一部の利用者だけのものではなく、個人の投資対象として広がっていることが背景にあります。

一方で、暗号資産をめぐっては、詐欺的な投資勧誘、無登録業者、サイバー攻撃による流出、ホワイトペーパーなどの説明資料の分かりにくさが課題として挙げられてきました。

サステナビリティ情報については、2023年3月期から上場企業等に開示が求められていますが、具体的な基準に沿った比較可能な開示や、第三者保証の仕組みは限られていました。国際的にはISSB基準、日本では2025年3月にSSBJ基準が公表されており、それに対応する制度整備です。

📊 現行制度と改正後の違い

1. 暗号資産

現行制度では、暗号資産交換業者は主に資金決済法で規制されています。偽計や相場操縦などの規制はありますが、暗号資産そのものについてインサイダー取引を直接規制する仕組みはありません。

改正後は、暗号資産取引に関する規制を金融商品取引法へ移します。

  • 暗号資産交換業者の名称は、暗号資産取引業者へ変更
  • 暗号資産を取り扱う際、取引業者はあらかじめ情報を公表
  • 発行者がいる暗号資産の募集・売出しでは、発行者側にも情報公表を義務付け
  • 重要な出来事があった場合の臨時情報、年1回の定期情報も整備
  • 国内の暗号資産取引業者で取り扱われる暗号資産について、インサイダー取引規制を導入
  • インサイダー取引の罰則は、5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金など
  • 無登録業への罰則は、暗号資産分野では資金決済法上の3年以下から、金商法上の10年以下へ重くなる方向です

2. サステナビリティ情報

現行制度では、上場企業等にサステナビリティ情報の開示が求められていますが、SSBJ基準に基づく義務化や第三者保証は段階的整備の途上です。

改正後は、一定のプライム市場上場企業について、SSBJ基準に基づく開示と第三者保証を段階的に導入します。

  • 時価総額3兆円以上の企業:2027年3月期から開示、2028年3月期から保証
  • 時価総額1兆円以上3兆円未満の企業:2028年3月期から開示、2029年3月期から保証
  • 時価総額5,000億円以上1兆円未満の企業:2029年3月期から開示、2030年3月期から保証
  • 時価総額5,000億円未満のプライム企業:今後検討

第三者保証を行う事業者には登録制を導入します。監査法人だけでなく、要件を満たす法人も登録できる設計です。

3. スタートアップなどの資金調達

現行制度では、一般投資家向けに株式などを募集する場合、有価証券届出書(投資家向けに会社情報や財務情報を示す書類)の提出免除は原則1億円未満です。

改正後は、この基準を5億円未満へ引き上げます。

  • 現行:1億円未満は有価証券届出書の提出免除
  • 改正後:5億円未満は提出免除
  • 5億円以上10億円未満は、簡易な様式の有価証券届出書を利用可能
  • 10億円以上は通常の有価証券届出書の対象

また、プロ投資家向けの私募では、特定投資家の要件を満たしながら移行手続をしていない「潜在的特定投資家」も勧誘対象に加えます。ただし、この人たちは行為規制上は一般投資家として扱われます。

企業が自社や子会社の役員・従業員に株式や新株予約権を交付する株式報酬についても、上場・非上場を問わず、有価証券届出書の提出対象となる「募集」から外します。

4. 不公正取引への対応

公開買付け、いわゆるTOBでは、買われる側の企業のアドバイザーなども未公表情報に接することがあります。改正後は、公開買付けの対象会社と契約・交渉している者も、インサイダー取引規制の対象に加えます。

課徴金も見直します。

  • 公開買付けに関するインサイダー取引の課徴金算定を引上げ
  • 大量保有報告制度違反の課徴金水準を現行の70倍へ
  • 高速取引行為による相場操縦では、端数切捨ての基準を1万円未満から1円未満へ変更
  • 他人名義口座を使った不公正取引では、違反者の課徴金を1.5倍へ
  • 口座提供など協力行為をした者にも、利得相当額の半額の課徴金を新設
  • 無登録業の罰則は、5年以下・500万円以下から、10年以下・1,000万円以下へ引上げ

👥 影響を受ける人・対象者

暗号資産を国内業者で取引する人にとっては、取引前に見るべき情報や、取引業者の管理体制に関するルールが増えます。

暗号資産の発行者、取引業者、投資助言・運用を行う事業者、暗号資産に関する有料の情報発信を行う事業者にも影響があります。

プライム市場上場企業は、時価総額に応じてSSBJ基準による開示と第三者保証への対応が必要になります。保証業務を行う事業者には、新たに登録制や行為規制が入ります。

スタートアップや成長企業にとっては、5億円未満の資金調達で有価証券届出書の提出が不要になるため、資金調達時の手続が変わります。

📅 施行日と経過措置

成立・公布後の施行日は、改正事項ごとに分かれています。

  • 暗号資産規制の見直し:公布から1年以内の政令で定める日
  • サステナビリティ情報の開示・保証:2027年4月1日
  • スタートアップ企業への資金供給の促進:2027年4月1日
  • 有価証券の不公正取引規制等の見直しの主な部分:公布から1年以内の政令で定める日
  • 無登録業の罰則引上げ、証券監視委の犯則調査権限追加:公布から20日後
  • 犯則調査手続のデジタル化:2027年10月1日

サステナビリティ開示では、適用開始から2年間、必要な情報を後から訂正報告書で追完できる二段階開示を認める方向です。

📖 用語ミニ解説

金融商品取引法

株式、社債、投資信託、デリバティブなどの取引ルールを定める法律です。投資家に情報を出す開示制度や、インサイダー取引、相場操縦などの規制があります。

SSBJ基準

日本のサステナビリティ基準委員会が公表した、企業のサステナビリティ情報を開示するための基準です。気候変動などが企業の将来の財務や資金調達にどう影響するかを示す情報が対象になります。

第三者保証

企業が出した情報について、社外の登録業者が基準に沿って確認し、保証報告書を出す仕組みです。財務諸表監査に近い考え方を、サステナビリティ情報にも広げる制度です。

🔗 参考リンク


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