環境・エネルギー

廃棄物処理法等改正案

スクラップヤードに許可制を入れ、災害ごみ処理の計画・処分場確保・人材派遣体制も整える改正です。

第221回国会閣法第59号提出者: 内閣提出: 2026/4/9
成立

公布済み

次: 公布・施行

先委先本後委後本成立

一言で言うと

金属スクラップなどの屋外保管を許可制にし、災害ごみを早く処理できる備えも整えて、生活環境と安全を守りやすくする改正です。

この法案のポイント

制度変更を表すイラスト

何が変わる?

スクラップヤードに許可制を入れ、災害ごみ処理の計画・処分場確保・人材派遣体制も整える改正です。

使用済みの金属・プラスチック物品を保管・再生する事業に、許可、保管基準、改善命令などを設けます。災害廃棄物では、市町村計画への位置づけ、処理協定、再々委託、最終処分場の指定も制度化します。

背景やタイミングを表すイラスト

なぜ今?

スクラップヤードの火災や環境被害と、災害時に大量の廃棄物を処理する備えの不足が課題になっているためです。

環境省資料では、全国4,625事業場の一部で騒音、悪臭、水質・土壌汚染、火災など計275件の支障が報告されています。市町村の災害廃棄物処理計画策定率は90%ですが、仮置場や民間協定などの反映が不十分な例があります。

関係する人や地域を表すイラスト

誰に関係する?

スクラップヤード事業者、廃棄物処理業者、自治体、周辺住民に関係します。

事業者は許可取得や囲い、飛散・流出防止、火災対策、汚水対策などの基準遵守が必要になります。自治体は災害時の処理計画、処理業者との協定、処分場指定、専門支援の受け入れを進める立場になります。

詳しく読む

スクラップヤードを許可制に 災害ごみも平時から受け皿を準備

♻️ スクラップヤード / 🏭 許可制 / 🌧️ 災害廃棄物 / 🏛️ 自治体支援

使用済みの金属・プラスチックを扱うスクラップヤードに、新たな許可制を導入する法案です。あわせて、災害で出る大量のごみを早く処理できるよう、市町村の計画づくり、処分場の確保、専門人材の派遣体制を整えます。一次資料:環境省参考資料

💡 一言で言うと

資源スクラップ置き場を許可制にし、災害ごみ処理の備えを法律で整えます。

この法案は、大きく分けて2本柱です。

1つ目は、金属やプラスチックなどを保管・再生するスクラップヤードへの規制です。これまで届出制だった一部の使用済み機器の制度を見直し、対象となる事業者に都道府県知事等の許可を求めます。

2つ目は、災害廃棄物です。地震や水害で壊れた家財、建材、がれきなどを処理するため、市町村の計画、事業者との協定、最終処分場の指定、専門機関による自治体支援を法律に書き込みます。

🔑 何が変わるのか

核心は、「平時の資源スクラップ」と「災害時の大量ごみ」の処理ルールを、事前に整えることです。

主な変更点は次のとおりです。

  • 使用済みの金属・プラスチック物品を扱う事業について、許可制を導入します。
  • 保管や再生の方法について、囲い、飛散・流出防止、火災対策、汚水対策などの基準を設けます。
  • 環境汚染のおそれがある物品を輸出する場合、環境大臣の確認を必要とします。
  • 市町村の一般廃棄物処理計画に、非常災害時の処理や施設整備に関する事項を加えます。
  • 都道府県・市町村と処理業者・団体との協定締結を進めます。
  • 災害廃棄物の最終処分場を平時から指定できる仕組みをつくります。
  • 中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)の事業に、災害廃棄物処理の自治体支援を追加します。

🏛️ 背景:なぜ今この改正なのか

スクラップヤードで生活環境への支障が報告されています

スクラップヤードは、使い終わった金属やプラスチックを資源として集め、再生につなげる場所です。

一方で、環境省資料では、全国で4,625事業場が確認され、その一部で騒音、悪臭、水質・土壌汚染、火災などの支障が計275件報告されています。自治体独自の条例も、少なくとも5県8市で制定されています。

現行制度では、家電4品目や小型家電28品目などの「有害使用済機器」には届出制度があります。ただし、金属スクラップや使用済みプラスチックなど、対象から外れるものもあります。

今回の法案は、この範囲を広げ、使用済みの金属・プラスチック物品を扱う事業に許可制を導入するものです。

災害廃棄物は、発生後の段取りが復旧に影響します

災害時には、壊れた家財、建物の解体ごみ、畳、石膏ボード、燃え殻などが一度に発生します。

環境省資料では、令和6年度末時点で、都道府県の災害廃棄物処理計画の策定率は100%、市町村は90%です。ただし、仮置場候補地の選定、民間事業者との協定、水害の被害想定など、計画に盛り込むべき内容の反映が十分でない例があるとされています。

令和6年能登半島地震などの経験を踏まえ、平時から処理先、人員、専門知識を確保する仕組みを法制度に入れます。

📊 現行制度と改正後の違い

1. スクラップヤード規制

現行

現在は、有害使用済機器を保管・処分する事業者に、都道府県知事等への届出や基準遵守を求める制度があります。

対象は、家電4品目や小型家電28品目などが中心です。金属スクラップや使用済みプラスチックなどは、廃棄物に当たらない有価物として扱われる場合、廃棄物処理法の規制が及びにくい場面があります。

改正後

「使用済金属・プラスチック物品」という新しい区分を設けます。

そのうち、不適正な保管や再生で人の健康や生活環境に被害を生じるおそれがあるものを扱う事業者は、都道府県知事等の許可を受ける必要があります。

許可の対象は、主に次の行為です。

  • 譲渡のための保管
  • 切断、圧縮、破砕、選別、洗浄などの再生
  • 再生のための保管

基準違反には、改善命令、措置命令、事業停止命令、許可取消しなどが設けられます。

無許可営業、許可の不正取得、事業停止命令違反、無確認輸出などには、最大で5年の拘禁刑または1,000万円以下の罰金、またはその両方が科されます。法人には、最大で3億円以下の罰金が科されます。

2. 環境汚染のおそれがある物品の輸出

改正後は、国内で集められた使用済み金属・プラスチック物品のうち、バーゼル法上の特定有害廃棄物等に当たるものについて、国内での適正な保管・再生を基本とします。

輸出する場合は、環境大臣の確認が必要です。

環境省資料では、例として次のものが挙げられています。

  • 使用済鉛蓄電池
  • 電子スクラップ
  • 基準に満たない使用済プラスチック

無確認輸出は罰則の対象となり、未遂や予備も対象とされます。

3. 災害廃棄物処理

現行

市町村は、一般廃棄物処理計画を定めています。災害廃棄物についても、国の基本方針などに基づき計画策定が進められてきました。

災害時には、廃棄物の再委託などの特例もあります。

改正後

市町村の一般廃棄物処理計画に、非常災害時の処理や処理施設の整備に関する事項を追加します。

また、都道府県・市町村は、処理業者や関係団体、近隣自治体などと、災害廃棄物処理に関する協定を結ぶよう努めることになります。

災害廃棄物の処理では、再委託に加えて、再々委託も可能になります。例えば、被災自治体から委託を受けた団体が、別の地域の団体を通じて処理業者に委託するような流れを想定しています。

さらに、災害廃棄物を埋め立てる最終処分場について、都道府県知事が基準を満たす施設を指定できる制度をつくります。指定を受けた設置者は、委託を求められた場合、正当な理由がある場合を除き、受ける義務を負います。

👥 影響を受ける人・対象者

スクラップヤード事業者

使用済みの金属・プラスチックを保管・再生する事業者は、許可の取得や基準遵守が必要になります。小規模事業者の扱いなど、詳細は政省令で定められます。

廃棄物処理業者・リサイクル認定事業者

すでに廃棄物処理業の許可を受けている事業者や、各種リサイクル法の認定事業者については、新たな許可を重ねて取らずに扱える仕組みが設けられます。ただし、保管・再生の基準遵守は求められます。

自治体

市町村は、災害時の廃棄物処理を一般廃棄物処理計画に位置付けます。都道府県・市町村は、事業者や団体との協定、処分場の指定、専門支援の受け入れなどを進める立場になります。

生活者・地域住民

生活者に関係するのは、主に近隣のスクラップヤードの管理基準と、災害時に出る大量のごみの処理体制です。災害時の仮置場、分別、搬出方法などは、自治体の計画や運用に関わります。

📅 施行日と経過措置

法案では、施行時期を次のように分けています。

  • スクラップヤード規制の主要部分:公布の日から2年6か月以内に政令で定める日
  • 災害廃棄物処理の推進に関する部分:公布の日から3か月以内に政令で定める日など
  • 許可申請の準備行為:施行日前から申請できる経過措置あり
  • 制度の見直し:施行後5年を経過した場合に、政府が施行状況を検討

具体的な対象物品、保管高さ、保管面積、施設基準、小規模事業者の要件などは、今後の政令・省令で定められます。公表資料からは、具体的な数値までは確認できません。

🔎 詳細が政省令に委ねられる点

この法案は骨格を法律で定め、細かな運用は政省令に委ねています。

主な項目は次のとおりです。

  • 許可が必要となる使用済金属・プラスチック物品の具体的範囲
  • 小規模事業者として許可対象から外れる要件
  • 保管物の高さ、保管面積、間隔などの数値基準
  • 火災防止、汚水流出防止、騒音・振動防止の具体的基準
  • 輸出確認の手続
  • 災害廃棄物最終処分場の指定基準
  • JESCOが担う自治体支援の具体的な実施方法

🔗 参考リンク


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