PCB廃棄物処理法等改正案
PCB廃棄物の処理を発見・使用終了後の届出方式に改め、低濃度PCB機器の使用中管理も制度化する改正です。
公布済み
次: 公布・施行
一言で言うと
PCB入り機器について、廃棄した後だけでなく、使っている段階から届け出を求め、処分期限までに確実に処理しやすくする改正です。
この法案のポイント

何が変わる?
PCB廃棄物の処理を発見・使用終了後の届出方式に改め、低濃度PCB機器の使用中管理も制度化する改正です。
低濃度PCB使用製品の所有・使用状況、使用場所、使用終了見込みを届け出る仕組みを入れます。使用終了やPCB廃棄物だと判明した後は、翌月末までに届け出て、5年を超えない政令期間内に処分します。

なぜ今?
高濃度PCBの集中的な処理が終わっても、古い機器や建物からPCB廃棄物が後から見つかる可能性があるためです。
PCBは1972年以降製造禁止となり、高濃度PCBはJESCOが処理を担ってきました。環境省資料では、JESCOでの高濃度PCB処理は2026年3月末で終了し、変圧器・コンデンサ等39万6千台、安定器・汚染物等2万1千トンが処理されています。

誰に関係する?
古い変圧器、コンデンサ、安定器などを持つ工場、ビル、公共施設、事業所、自治体に関係します。
事業者はPCBの有無や濃度を確認し、使用中の管理、使用終了時や判明時の届出、処分期限の管理を行う必要があります。自治体は、計画中心の事務から個別届出、指導、立入検査を中心にした運用へ移ります。
詳しく読む
PCB廃棄物、全国一律の期限から「見つけた後に処分」へ
🧪 PCB廃棄物 / 🏭 古い電気機器 / 🗓️ 発見後の処分期限
有害な油状物質のPCBを含む廃棄物について、処理の仕組みを「期限までに一斉処理」から「使用終了・発見後に届け出て処分」へ切り替える法案です。高濃度PCBの処理を担ってきたJESCOの事業終了に合わせ、低濃度PCB使用製品の使用中からの管理も新たに制度化します。
一次資料:環境省・法案概要
💡 一言で言うと
PCB入り機器は使用中から届け出、廃棄後は期限内に処分します。
これまでの制度は、高濃度PCB廃棄物をJESCOで処理し、低濃度PCB廃棄物は2027年3月31日までに処分する設計でした。
改正後は、古い機器や建物からPCBが見つかった場合、使用終了日または判明日から、5年を超えない範囲で政令が定める期間内に処分する仕組みに変わります。
🔑 何が変わるのか
核心は3つです。
1つ目は、低濃度PCB使用製品の届出制度です。変圧器やコンデンサなどを使用中の段階から、所有・使用状況、使用場所、使用終了の見込みなどを都道府県知事に届け出ることになります。
2つ目は、廃棄物になった後の処分期限です。低濃度PCB使用製品を使い終えた場合や、保管している廃棄物がPCB廃棄物だと判明した場合、翌月末までに届け出たうえで、一定期間内に処分または処分委託をします。
3つ目は、JESCOのPCB処理事業の終了に合わせた整理です。JESCO法から「PCB廃棄物の処理を行うこと」を削り、PCB処理施設の解体・撤去に関する経過措置を置きます。
🏛️ 背景:なぜ今の改正なのか
PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、絶縁性などの性質を持つ油状の物質で、かつて変圧器、コンデンサ、蛍光灯安定器などに使われました。体内に蓄積し、健康被害を起こす性質が明らかになり、1972年以降は製造が禁止されています。
PCB廃棄物は、高濃度と低濃度に分けて処理されてきました。高濃度PCBは主に5,000mg/kg超のものを指し、国100%出資の特殊会社であるJESCOが処理を担ってきました。
環境省資料によると、JESCOでの高濃度PCB処理は2026年3月末で終了しました。処理量は、変圧器・コンデンサ等が39万6千台、安定器・汚染物等が2万1千トンです。
一方で、今後も古い建物の解体や設備更新の際に、PCBを含む機器や廃棄物が見つかる場合があります。低濃度PCB使用製品も使用中のものが残っており、廃棄される時期が2027年3月31日の処分期限より後になるケースがあります。
そのため、法案は「全国一律の期限までに処理する段階」から、「見つかったものを個別に届け出て、期限内に処分する段階」へ制度を移す内容になっています。
📊 現行制度と改正後の違い
低濃度PCB使用製品
現行制度では、低濃度PCB使用製品は、使用中の段階ではPCB特措法の主な規制対象になっていません。
改正後は、所有する事業者に次の義務がかかります。
- 所有・使用状況を都道府県知事に届け出る
- 使用場所を届け出る
- 使用終了の見込みを届け出る
- 政令で定める管理基準に従って管理する
- 届出内容に変更があれば届け出る
使用を終えた場合は、使用終了日の属する月の翌月末日までに、保管状況や保管場所を届け出ます。その後、使用終了日から起算して、5年を超えない範囲で政令が定める期間内に処分します。
PCB廃棄物だと判明した場合
現行制度では、低濃度PCB廃棄物は2027年3月31日までに処分することが義務付けられています。高濃度PCB廃棄物は、種類や地域ごとに処分期間が定められてきました。
改正後は、保管する廃棄物がPCB廃棄物だと判明した場合、判明日の属する月の翌月末日までに届け出ます。
そのうえで、判明日から起算して、5年を超えない範囲で政令が定める期間内に処分します。法案本文で決まるのは「5年を超えない範囲」という上限で、実際の期間は政令で定めます。
高濃度PCB使用製品
高濃度PCB使用製品は、引き続き高濃度PCB廃棄物とみなして扱います。
JESCOの処理事業終了後に高濃度PCB廃棄物が見つかった場合も、届出、保管、処分、改善命令、代執行などの制度に乗せて処理します。
都道府県の事務
現行制度では、都道府県などにPCB廃棄物処理計画の策定義務がありました。
改正後は、この計画策定義務などを廃止します。かわりに、低濃度PCB使用製品の届出、PCB廃棄物の判明時の届出、報告徴収、立入検査など、個別の管理に関する事務が中心になります。
👥 影響を受ける人・対象者
主な対象は、古い電気機器や設備を持つ事業者です。
たとえば、工場、ビル、公共施設、事業所などで、変圧器、コンデンサ、安定器などを所有・使用・保管している場合、PCBの有無や濃度の確認が関係します。
自治体は、これまでの計画中心の事務から、届出を受けて個別に把握し、必要に応じて指導や立入検査を行う仕組みに移ります。
生活者との関係では、古い建物や設備の解体・更新時にPCBが環境中へ漏れ出すことを防ぐための制度変更です。
📅 施行日と経過措置
主な施行日は、2027年4月1日です。
JESCO法の改正部分は、公布の日から1年以内で政令が定める日に施行されます。
経過措置も置かれています。たとえば、高濃度PCB廃棄物について、旧制度の処分期間内に届出や処分義務があったものは、旧制度の命令や代執行の仕組みが残ります。
また、旧制度の処分期間後から新法施行日までに届け出られた高濃度PCB廃棄物で未処分のものは、施行日に判明したものとみなして新制度を適用します。
🔗 参考リンク
- 参議院 議案情報:閣法第60号
- 環境省 報道発表:法案の閣議決定
- 環境省 法案概要 PDF
- 環境省 法案要綱 PDF
- 環境省 案文・理由 PDF
- 環境省 新旧対照条文 PDF
- 環境省 参考資料 PDF
- 中央環境審議会 意見具申「今後の廃棄物処理制度のあり方について」PDF
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