安全・司法

刑事訴訟法改正案

再審請求の手続を明文化し、証拠提出、検察官の不服申立て、裁判官関与、費用補償を見直す改正です。

第221回国会閣法第61号提出者: 内閣提出: 2026/5/14
審議中

衆議院 法務委員会で修正で審議中

次: 衆議院 委員会

先委先本後委後本成立

一言で言うと

やり直し裁判の入口や証拠の出し方を法律で決め、再審を進める手続きをはっきりさせて、裁判を見直す道筋を整える改正です。

この法案のポイント

制度変更を表すイラスト

何が変わる?

再審請求の手続を明文化し、証拠提出、検察官の不服申立て、裁判官関与、費用補償を見直す改正です。

請求後の流れを調査と審判に分け、審判開始後には裁判所が検察官に証拠提出を命じられるようにします。再審開始決定への不服申立てには条件を付け、期間は原則14日に延ばします。

背景やタイミングを表すイラスト

なぜ今?

近年の再審手続をめぐる議論を踏まえ、例外的な救済手続としてより適切に機能させる必要があるためです。

法務省の法制審議会では、2025年3月に刑事法(再審関係)部会が設けられ、2026年2月までに18回の会議が開かれました。取りまとめを受け、政府は2026年5月15日に法案を閣議決定しました。

関係する人や地域を表すイラスト

誰に関係する?

再審を求める本人・家族・弁護人、検察官、裁判所、証拠に関係する被害者や証人に関係します。

もとの裁判に関わった裁判官を再審請求事件から外すルールや、再審後に無罪が確定した場合の請求手続費用の補償が入ります。開示された証拠コピーを手続外で使うことには罰則も設けられます。

詳しく読む

やり直し裁判(再審)の入り口を法律で定める

⚖️ やり直し裁判(再審) / 📁 証拠提出 / ⏱️ 不服申立て / 🧑‍⚖️ 裁判官の除斥

確定した刑事裁判をやり直す「再審」について、請求後の進め方を法律に書き込む法案です。証拠提出、検察官の不服申立て、裁判官の関与、費用補償にも新しいルールを置きます。

法案本文はこちらです → 参議院・提出法律案PDF

💡 一言で言うと

やり直し裁判の入口と証拠の出し方を、法律で細かく決める法案です。

現在の刑事訴訟法にも再審の規定はありますが、請求を受けた裁判所が最初にどう調べるか、どの段階で証拠の提出を命じるかは、条文上は大まかな定めにとどまっています。

改正後は、裁判所がまず請求を調査し、早い段階で「棄却」「再審開始」「詳しい審理へ進む」の3方向に分けます。詳しい審理に進んだ場合には、検察官が保管する証拠について、裁判所が提出を命じる仕組みが置かれます。

🔑 何が変わるのか

主な変更点は次のとおりです。

  • 再審請求後の手続を「調査」と「審判」に分けます
  • 裁判所が検察官に証拠提出を命じる制度を置きます
  • 再審開始決定への不服申立てに条件を付けます
  • 不服申立ての期間を、原則3日・5日から14日に延ばします
  • もとの裁判や再審開始判断に関わった裁判官を外すルールを置きます
  • 再審開始後に無罪が確定した場合、再審請求にかかった費用補償を設けます
  • 開示された証拠コピーの目的外利用に罰則を置きます

🔎 そもそも「再審」とは

再審は、刑事事件で有罪判決が確定した後に、一定の理由がある場合に裁判をやり直す手続です。

請求できるのは、検察官、有罪判決を受けた本人、本人の法定代理人や保佐人、本人が死亡した場合などの配偶者・直系親族・兄弟姉妹です。

この法案が扱う中心は、再審そのものの裁判ではなく、再審を始めるかどうかを決める段階です。

🏛️ 背景(なぜ今この改正なのか)

政府の提出理由は、近年の再審手続をめぐる状況を踏まえ、再審が例外的な救済手続としてより適切に機能するようにする、というものです。

法務省の法制審議会では、2025年(令和7年)3月に「刑事法(再審関係)部会」が設けられ、2026年(令和8年)2月までに18回の会議が開かれました。その取りまとめを踏まえ、政府は2026年5月15日に法案を閣議決定し、同日、国会へ提出しました。

📊 現行制度と改正後の違い

1. 請求後の進み方

現行法では、裁判所は必要があるときに事実の取調べを行えますが、請求直後の手続を細かく段階分けする規定はありません。

改正後は、裁判所が再審請求を受けたら、まず遅れなく調査します。その結果により、次のいずれかを決定します。

  • 法律上の方式に違反している場合など:請求を棄却
  • 再審を始める理由が明らかな場合:再審開始
  • それ以外の場合:審判開始、つまり詳しい審理へ進む

事実の取調べは、この「審判開始」の後に行う流れになります。

2. 証拠の提出

現行法の再審規定には、検察官が保管する証拠について、裁判所が提出を命じる明文の制度はありません。

改正後は、審判開始後、裁判所が必要性などを見て、検察官に証拠の提出を命じます。対象は、再審請求の理由に関連すると認められる証拠です。

裁判所は、提出命令を出すかどうか判断するため、検察官に証拠そのものや証拠の一覧表を提示させることもできます。この段階の提示資料は、閲覧やコピーの対象にはなりません。

3. 再審開始決定への不服申立て

現行法では、再審開始決定に対して即時抗告ができます。

改正後は、再審開始決定への不服申立ては、その決定を取り消すべき十分な根拠がある場合に限られます。検察官が不服申立てをした場合、政府はその有無と理由を公表します。

また、即時抗告の期間は、現行の一般ルールである3日から、再審請求に関係する一定の決定では14日に延びます。特別抗告の期間も、5日から14日に延びます。

再審開始決定への不服申立てについては、事件を受け付けた日から1年以内に裁判所の決定がされるよう努める規定も置かれます。

4. 裁判官の除斥

除斥とは、一定の関係がある裁判官をその事件の担当から外す制度です。

改正後は、もとの裁判に関わった裁判官は、再審請求の事件を担当できないルールが置かれます。再審開始の判断に関わった裁判官も、その後の再審公判から外されます。

裁判員裁判の対象事件についても、もとの裁判や再審開始判断に関わった人を、再審公判の裁判員にしない規定が置かれます。

5. 費用補償

現行法にも、無罪判決が確定した場合の費用補償があります。

改正後は、再審開始決定が確定した事件で、再審の結果として無罪判決が確定した場合、再審請求の手続にかかった費用も補償対象になります。

対象には、審判手続に出頭するための旅費、日当、宿泊料、弁護人報酬が含まれます。

6. 証拠コピーの取扱い

改正後は、再審手続で検察官から提出された証拠をコピーした場合、そのコピーを手続や準備以外の目的で渡したり、見せたり、オンラインで提供したりすることが制限されます。

再審請求者が違反した場合は、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。弁護人や元弁護人が、利益を得る目的で同じ行為をした場合も同じ罰則です。

👥 影響を受ける人・対象者

この法案の対象は、主に次の人たちです。

  • 有罪判決が確定した後に再審を求める本人
  • 本人の家族や法定代理人
  • 再審を担当する弁護人
  • 検察官
  • 裁判所
  • 証拠に名前や生活情報が含まれる被害者、証人、関係者

日常的に使う制度ではありませんが、刑事裁判の確定後に誤りを争う手続の形を決める法案です。

📅 施行日と経過措置

施行日は内容ごとに分かれています。

  • 公布の日から施行
  • 再審請求手続を適正かつ迅速に進める規定
  • 関係法律の技術的な整備
  • 公布から20日を経過した日
  • 再審開始決定への不服申立ての制限
  • 不服申立て期間の14日化
  • 死刑執行停止時の拘置停止に関する規定
  • 公布から3か月以内の政令で定める日
  • 再審請求手続に関する費用補償
  • 公布から1年以内の政令で定める日
  • 調査手続・審判手続
  • 証拠提出命令
  • 裁判官の除斥
  • 証拠コピーの管理・罰則

新しい調査手続や審判手続は、施行日以後に再審請求があった事件に適用されます。施行日前に請求された事件は、原則として従来の手続が使われます。

🧾 国会での位置づけ

この法案は、内閣提出法案です。

  • 国会回次:第221回国会
  • 法案番号:閣法第61号
  • 法案名:刑事訴訟法の一部を改正する法律案
  • 主管省庁:法務省
  • 閣議決定日:2026年5月15日
  • 国会提出日:2026年5月15日
  • 先議院:衆議院
  • 衆議院付託委員会:法務委員会
  • 衆議院付託日:2026年5月26日

🔗 参考リンク


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