暮らし・福祉

予防接種法改正案

ワクチンだけでなく、長く効く単クローン抗体医薬品も予防接種法に基づく接種に使えるようにする改正です。

第221回国会閣法第63号提出者: 内閣提出: 2026/6/8
審議中

衆議院 本会議を通過

次: 参議院 委員会

先委先本後委後本成立

一言で言うと

予防接種の枠組みに、ワクチンだけでなく長く効く抗体薬も入れ、感染症予防に使える医薬品の選択肢を広げる改正です。

この法案のポイント

制度変更を表すイラスト

何が変わる?

予防接種法の対象をワクチンだけでなく、長く効く単クローン抗体医薬品にも広げる改正です。

法律上の「ワクチン」を「特定医薬品」に改め、ワクチンと同程度に効果が長期間続く単クローン抗体製剤も含めます。ただし、特定の薬がすぐ定期接種になるわけではなく、個別の対象や運用は審議会で検討されます。

背景やタイミングを表すイラスト

なぜ今?

RSウイルスなどで、ワクチン以外の抗体製剤を感染症予防に使う選択肢が現実になってきたためです。

厚生労働省資料では、RSウイルスは生後1歳までに50%以上、2歳までにほぼ100%の乳幼児が少なくとも一度は感染するとされています。2010年代には、年間12万〜18万人の2歳未満乳幼児が診断され、3万〜5万人が入院を要したとされています。

関係する人や地域を表すイラスト

誰に関係する?

乳幼児、妊婦、保護者、自治体、医療機関、医薬品の製造販売業者に関係します。

抗体製剤が定期接種に入る場合、医療機関は説明、副反応疑い報告、健康被害救済制度の案内を行います。自治体は予算、接種記録、台帳、医療機関との契約、戸籍届出前の新生児接種の記録管理などを整理する必要があります。

詳しく読む

赤ちゃんのRSウイルス対策へ 予防接種で「抗体薬」を使える道を開く

🍼 乳幼児 / 💉 予防接種 / 🛡️ RSウイルス / 🧬 抗体薬

予防接種法上の「予防接種」に、ワクチンだけでなく、一定の条件を満たす抗体製剤も使えるようにする法案です。

すぐに特定の薬が定期接種になる仕組みではなく、今後、審議会で対象や運用を決めるための入口を作ります。公式概要はこちら

💡 一言で言うと

予防接種に、ワクチン以外の「抗体薬」も使えるようにします。

現行の予防接種法では、「予防接種」はワクチンを注射・接種するものと定義されています。このため、病気を防ぐ目的で使う抗体製剤であっても、法律上は予防接種に使いにくい構造でした。

今回の改正案は、ワクチンに加えて、単クローン抗体を使い、ワクチンと同程度に効果が長く続く医薬品を、予防接種に使える医薬品の範囲に入れるものです。

🔑 何が変わるのか

改正の中心は、予防接種法第2条の定義です。

現行では、予防接種に使えるものは「ワクチン」とされています。改正後は「特定医薬品」という枠に変わり、その中に次の2つを入れます。

  • ワクチン
  • 単クローン抗体を有効成分として含み、ワクチンと同程度に効果が長期間にわたる医薬品

単クローン抗体とは、特定の病原体などに結びつくように作られた抗体です。ワクチンが体に抗体を作らせるのに対し、抗体製剤は抗体そのものを体に入れて、一定期間、感染や重症化を防ぐ考え方です。

あわせて、法律中の「ワクチン製造販売業者」などの表現も「特定医薬品製造販売業者」に改めます。供給確保、安全性調査、損失補償契約などの規定も、ワクチンだけを前提にした書き方から、特定医薬品を含む書き方にそろえます。

🏛️ 背景(なぜ今この改正なのか)

背景にあるのは、RSウイルス感染症への対応です。

RSウイルスは、乳幼児の肺炎や細気管支炎の主な原因の一つです。厚生労働省の説明では、生後1歳までに50%以上、2歳までにほぼ100%の乳幼児が少なくとも1度は感染するとされています。2010年代には、年間12万〜18万人の2歳未満の乳幼児がRSウイルス感染症と診断され、3万〜5万人が入院を要したとされています。

2026年度からは、妊婦を対象にしたRSウイルスワクチンが、予防接種法に基づく定期接種の対象になりました。対象は、接種時点で妊娠28週0日から36週6日までの妊婦です。

一方で、出生後の乳幼児に投与する抗体製剤もあります。厚生労働省は、既に薬事承認を得ているRSウイルス感染症に対する抗体製剤を念頭に置いています。ただ、現行の予防接種法はワクチンを前提にしているため、抗体製剤を定期接種として扱うには法律上の整理が必要でした。

📊 現行制度と改正後の違い

法律上の定義

  • 現行
  • 予防接種は、病気に対して免疫の効果を得させるため、疾病予防に有効なワクチンを注射・接種するものです。
  • 改正後
  • 予防接種に使う医薬品を「特定医薬品」とし、ワクチンに加えて、条件を満たす単クローン抗体製剤を含めます。

RSウイルス対策での位置づけ

  • 現行
  • 妊婦への母子免疫ワクチンは、2026年度から定期接種の対象です。
  • 乳幼児向けのモノクローナル抗体製剤は、現時点では定期接種の対象に入っていません。
  • 改正後
  • 法律上、抗体製剤を予防接種に用いる医薬品として扱えるようになります。
  • そのうえで、審議会で個別の抗体製剤について有効性、安全性、費用、接種時期、実施体制などを検討します。認められた場合は、政省令を改正して定期接種に使えるようにします。

施行日

この法律は、公布の日から6か月以内で、政令で定める日から施行されます。

👥 影響を受ける人・現場

主に関係するのは、乳幼児、妊婦、保護者、医療機関、自治体です。

乳幼児や妊婦に関係する制度としては、RSウイルス感染症の予防方法の選択肢が広がる可能性があります。

医療機関では、抗体製剤が定期接種に入る場合、接種前の説明、副反応疑い報告、健康被害救済制度の案内などが必要になります。

自治体では、予算確保、接種記録の管理、予防接種台帳への反映、医療機関との契約・調整が課題になります。審議会資料では、新生児期早期に接種する場合、戸籍の届出前に接種が行われる可能性もあるため、記録管理の整理が必要とされています。

🗣️ 審議会で示された主な論点

厚生労働省の審議会では、抗体製剤を予防接種制度に入れる際の論点として、次のような点が示されています。

  • 保険診療で使われる抗体製剤と、予防接種として使う場合の整理
  • 新生児期早期に接種する場合の接種時期や接種場所
  • 産科と小児科、自治体の母子保健部門・感染症対策部門の連携
  • 副反応疑い報告基準や安全性評価の方法
  • 予防接種健康被害救済制度の対象になることの周知
  • 自治体の財政負担やシステム改修

🏛️ 提出・審議状況

この法案は内閣提出法案で、所管は厚生労働省です。

  • 提出日:令和8年6月9日
  • 法案番号:第221回国会 閣法第63号
  • 先議:衆議院
  • 衆議院付託:令和8年6月23日、厚生労働委員会

公表されている議案情報では、公布年月日と法律番号は空欄です。

🔗 参考リンク


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