児童扶養手当法改正案
児童扶養手当に子ども1人月1万円を上乗せし、所得判定で養育費を扱わないようにする改正です。
審議待ち
次: 参議院 委員会
一言で言うと
ひとり親家庭などに出る児童扶養手当に、子ども1人あたり月1万円を上乗せし、子育て世帯の家計を支えるための法案です。
この法案のポイント

何が変わる?
児童扶養手当に子ども1人月1万円を上乗せします。
ひとり親家庭などの手当に基礎額を加え、養育費を所得判定に入れないようにし、支給制限の緩和も求めます。

なぜ今?
物価高と所得制限による就労抑制が背景です。
法案理由では、受給家庭の経済的困難と、働くことで手当が減る仕組みへの対応が挙げられています。

誰に関係する?
ひとり親家庭などの受給者と子どもに関係します。
父または母と生計を同じくしていない子どもを育てる家庭、自治体の手当事務、養育費の所得判定に関わります。
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【参法#10】ひとり親家庭などの児童扶養手当に、子ども1人月1万円を上乗せする法案
👶 ひとり親家庭 / 💴 児童扶養手当 / 🧾 所得制限
この法案は、ひとり親家庭などに支給される児童扶養手当を、対象の子ども1人につき月1万円上乗せするものです。
所得による減額の仕組みも見直し、母または父が受け取る養育費を、手当の所得判定に入れない形に改めます。参考:参議院法制局・法律案要綱
💡 一言で言うと
ひとり親家庭などの手当に、子ども1人月1万円を上乗せする法案です。
児童扶養手当は、父または母と生計を同じくしていない子どもを育てる家庭などに支給される手当です。主に、離婚、死別、父または母の障害、生死不明などの事情がある家庭が対象になります。
この法案では、現在の手当額に加えて、対象の子ども1人につき月1万円の「基礎額」を設けます。
全部支給の場合、子ども1人なら月額は4万8050円から5万8050円へ、子ども2人なら5万9400円から7万9400円へ、子ども3人なら7万750円から10万750円へ増える計算です。
あわせて、所得による減額の仕組みや、養育費を所得に入れる扱いも見直します。
🔑 何が変わるのか
この法案の核心は、児童扶養手当に、対象児童1人あたり月1万円を上乗せすることです。
現在の児童扶養手当は、子ども1人目の額と、2人目以降の加算額で計算されています。
改正後は、これに加えて、対象の子ども1人ごとに月1万円の基礎額を設けます。
主な変更点は、次の通りです。
* 対象の子ども1人につき、月1万円の基礎額を新設する
* 全部支給の場合、1人目の手当は月5万8050円になる
* 2人目以降も、子ども1人ごとに月1万円分が上乗せされる
* 所得に応じて一部支給となる場合でも、減額できる範囲を加算額までにする
* 母または父が受け取る養育費を、児童扶養手当の所得判定に入れない
* 政府に、所得による支給制限を緩和するための措置を求める
* ひとり親世帯ではない低所得の子育て世帯について、新たな手当の創設を検討する
つまり、単に月額を増やすだけでなく、働くことで所得が増えた場合の減額や、養育費を受け取った場合の所得判定も見直す内容です。
🏛️ 背景:なぜ今この改正なのか
法案の提出理由には、物価の高騰などにより、児童扶養手当を受ける家庭が経済的に困難な状況に直面していることが挙げられています。
もう一つの理由として、所得による支給制限により、児童扶養手当を受ける人の就労の抑制が生じていることも書かれています。
児童扶養手当には所得制限があります。所得が一定額を超えると、手当は一部支給になり、さらに一定額を超えると全部支給停止になります。
そのため、働いて収入が増えると手当が減る場合があります。法案は、この仕組みを見直し、受給資格者の就労を促すことも目的にしています。
こども家庭庁の制度概要では、児童扶養手当の受給者数は77万7962人です。内訳は、母が73万8913人、父が3万5915人、養育者が3134人です。
また、令和3年度全国ひとり親世帯等調査では、母子世帯は119.5万世帯、父子世帯は14.9万世帯とされています。母または父自身の平均年間収入は、母子世帯が272万円、父子世帯が518万円です。
この法案は、こうしたひとり親家庭などの生活状況を背景に、手当額と所得判定の仕組みを見直すものです。
📊 現行制度と改正後の違い
1. 児童扶養手当の対象
児童扶養手当は、父または母と生計を同じくしていない児童が育つ家庭などに支給される手当です。
こども家庭庁の制度概要では、対象となる児童は、原則として18歳に達する日以後の最初の3月31日までの児童です。障害がある児童の場合は、20歳未満が対象になります。
支給要件としては、次のような場合が挙げられています。
* 父母が婚姻を解消した児童
* 父または母が死亡した児童
* 父または母が一定程度の障害の状態にある児童
* 父または母の生死が明らかでない児童
手当は、都道府県、市、福祉事務所を設置している町村が実施主体となって支給します。費用負担は、国が3分の1、都道府県・市・福祉事務所設置町村が3分の2です。
2. 現行の手当額
こども家庭庁の制度概要では、令和8年4月からの見込額として、児童扶養手当の月額は次のように示されています。
子ども1人の場合
全部支給では、月額4万8050円です。
一部支給では、所得に応じて、月額4万8040円から1万1340円の範囲になります。
子ども2人目以降
2人目以降は、1人につき加算があります。
全部支給では、1人につき月額1万1350円です。
一部支給では、所得に応じて、1人につき月額1万1340円から5680円の範囲になります。
そのため、全部支給の場合の月額は、子どもの人数ごとに次のようになります。
* 子ども1人:4万8050円
* 子ども2人:5万9400円
* 子ども3人:7万750円
3. 改正後の手当額
改正後は、対象の子ども1人につき、月額1万円の基礎額が加わります。
そのうえで、従来の手当額に近い部分が「加算額」として残ります。
全部支給の場合の月額は、次のようになります。
* 子ども1人:5万8050円
* 子ども2人:7万9400円
* 子ども3人:10万750円
増える額は、子ども1人につき月1万円です。
そのため、子ども1人なら月1万円増、子ども2人なら月2万円増、子ども3人なら月3万円増になります。
4. 物価に合わせた改定
現行制度でも、児童扶養手当には物価の変動に合わせて額を見直す仕組みがあります。
改正後は、新しく設ける基礎額の月1万円についても、全国消費者物価指数の変動に応じて改定する仕組みが置かれます。
全国消費者物価指数は、家計が購入する商品やサービスの価格の動きを見る統計です。物価が変わった場合に、手当額を見直す基準として使われます。
5. 所得による減額の見直し
児童扶養手当は、所得に応じて全部支給、一部支給、全部支給停止に分かれます。
こども家庭庁の制度概要では、2人世帯の収入ベースで、全部支給の所得制限限度額は190万円、一部支給の所得制限限度額は385万円とされています。
この法案は、所得によって手当の一部を支給しない場合について、減額できる範囲を「加算額」までに限るとしています。
つまり、一部支給として扱われる場合には、新設される基礎額の部分、すなわち子ども1人あたり月1万円の部分が残る設計になります。
ただし、法案本文には、新しい所得制限限度額の具体的な数字は書かれていません。政府に対し、受給資格者の就労を促す観点から、所得による支給制限を緩和するために必要な法制上の措置などを講じるよう求める形です。
6. 養育費の扱い
現行制度では、母または父が受け取る養育費は、児童扶養手当の所得判定に関わります。
改正後は、母が子どもの父から受け取る養育費、または父が子どもの母から受け取る養育費について、所得による支給制限を判断する際の所得に含めないことになります。
養育費を受け取ることで、児童扶養手当の支給額や支給可否に影響が出る仕組みを見直す内容です。
👥 影響を受ける人・対象者
児童扶養手当を受けている家庭
最も直接関係するのは、児童扶養手当を受けているひとり親家庭などです。
全部支給の場合、対象の子ども1人につき月1万円が上乗せされます。子どもが複数いる家庭では、子どもの人数に応じて増額幅も大きくなります。
一部支給となっている家庭
所得に応じて一部支給になっている家庭にも関係します。
改正後は、所得により手当の一部を支給しない場合でも、支給しない額は加算額までに限られます。これにより、基礎額として新設される子ども1人あたり月1万円の部分は、一部支給の場合でも残る仕組みになります。
養育費を受け取っている家庭
母または父が、子どものもう一方の親から養育費を受け取っている場合にも関係します。
改正後は、養育費を児童扶養手当の所得判定に入れないことになります。手当の所得判定における養育費の扱いが変わるため、養育費を受け取っている家庭では、支給額や支給可否の判断に影響する可能性があります。
地方自治体
児童扶養手当の実施主体は、都道府県、市、福祉事務所を設置している町村です。
法案が成立した場合、手当額の変更、所得判定の変更、支給システムや窓口対応など、自治体側の実務も変わります。
📅 施行日と経過措置
この法律案の主な施行日は、令和8年10月1日です。
ただし、法案の趣旨を定める規定や、所得による支給制限の緩和に向けた措置を政府に求める規定などは、公布の日から施行されます。
手当額と支給制限に関する主な経過措置は、次の通りです。
手当額の増額
新しい手当額は、令和8年10月以降の月分の児童扶養手当に適用されます。
令和8年9月以前の月分については、従来の制度によります。
養育費の所得判定
養育費を所得に含めない扱いは、令和8年以降の年の所得について適用されます。
令和7年以前の年の所得については、従来の制度によります。
必要となる経費
法案には、この法律の施行に伴って必要となる経費として、平年度約537億円の見込みと書かれています。
平年度とは、制度が通年で実施された場合の通常年度という意味です。
🧾 ひとり親ではない低所得の子育て世帯への検討
この法案には、児童扶養手当の対象ではない低所得の子育て世帯についての検討規定も入っています。
具体的には、世帯の所得が児童扶養手当の全部支給停止となる額未満であるにもかかわらず、ひとり親世帯ではないため児童扶養手当の対象とならない世帯について、子どもの成長に寄与する手当の創設を検討するとしています。
必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講じると書かれています。
この部分は、直ちに新しい手当を創設する条文ではなく、政府に検討を求める規定です。具体的な対象範囲、金額、支給時期は、法案本文からは確認できません。
🗣️ 国会での議論の論点
所得制限をどこまで緩和するか
法案は、所得による児童扶養手当の支給制限を緩和するため、政府に必要な措置を求めています。
ただし、法案本文には、新しい所得制限限度額の具体的な金額は書かれていません。
そのため、実際にどの所得層まで支給を広げるのか、全部支給と一部支給の境目をどう変えるのかが論点になります。
養育費を所得判定から外すこと
養育費は、子どもの養育に使われるお金です。
法案は、母または父が受け取る養育費を、児童扶養手当の所得判定に入れない形に変えます。
これにより、養育費を受け取ることと、児童扶養手当の支給制限との関係をどう整理するかが論点になります。
ひとり親ではない低所得世帯への手当
法案は、ひとり親世帯ではない低所得の子育て世帯についても、新たな手当の創設を検討するとしています。
ひとり親かどうかだけでなく、子どもがいる低所得世帯全体をどう支えるかという点が、今後の制度設計に関わります。
財源と自治体実務
法案には、必要経費として平年度約537億円の見込みが示されています。
児童扶養手当は、国と自治体が費用を分担している制度です。手当額の増額や所得判定の変更に伴い、国・自治体の財政負担や、自治体窓口での手続き・システム改修も関係します。
🧾 法案から確認できること・確認できないこと
確認できること
この法案から確認できる主な内容は、次の通りです。
* 児童扶養手当に、対象児童1人あたり月1万円の基礎額を設ける
* 全部支給の場合、子ども1人の月額は5万8050円になる
* 全部支給の場合、子ども2人の月額は7万9400円になる
* 全部支給の場合、子ども3人の月額は10万750円になる
* 一部支給の場合、所得による減額は加算額までに限る
* 母または父が受け取る養育費を、所得による支給制限の判定に含めない
* 政府に、所得による支給制限を緩和するための措置を求める
* ひとり親世帯ではない低所得の子育て世帯について、新たな手当の創設を検討する
* 主な施行日は令和8年10月1日
* 必要経費は平年度約537億円の見込み
確認できないこと
公表されている法案本文・要綱からは、次の点は具体的に確認できません。
* 所得制限限度額を具体的にいくらへ引き上げるのか
* どの所得層まで新たに支給対象が広がるのか
* ひとり親世帯ではない低所得の子育て世帯向け手当の金額
* その新たな手当の対象範囲
* その新たな手当の支給時期
この法案は、手当額の増額と養育費の扱いについては条文で具体的に書いています。一方、所得制限の緩和や新たな手当の創設については、政府に措置や検討を求める構成です。
📤 提出者・所属
この法案は、内閣提出法案ではなく、参議院議員による議員立法です。
参議院の議案審議情報では、種別は法律案(参法)、提出番号は10、提出日は令和8年6月23日、先議区分は本院先議、提出者区分は議員発議とされています。
発議者は、参議院の議案審議情報では高木真理氏 外1名、参議院法制局の一覧では高木真理議員外1名と記載されています。
公開されている提出日程資料では、発議者として高木真理氏と司隆史氏、提出会派として立憲民主・無所属と公明党が示されています。
発議者
高木真理
* 所属院:参議院
* 選挙区:埼玉県選挙区
* 所属会派:立憲民主・無所属
* 所属政党:立憲民主党
司隆史
* 所属院:参議院
* 選挙区・比例区:比例代表
* 所属会派:公明党
* 所属政党:公明党
議案提出の賛成者名は、参議院の議案審議情報および参議院法制局の一覧からは確認できません。
🔭 今後の見通し
この法案は、参議院に提出された議員立法です。
法律として成立するには、参議院と衆議院での審議・議決が必要です。
成立した場合、主な施行日は令和8年10月1日です。手当額の増額は令和8年10月以降の月分から、養育費を所得に含めない扱いは令和8年以降の年の所得から適用されます。
その後は、政府が所得制限の緩和に向けてどのような措置を講じるか、ひとり親世帯ではない低所得の子育て世帯向け手当をどのように検討するかが、制度運用上の論点になります。
🔗 参考リンク
* 参議院 議案審議情報:児童扶養手当法の一部を改正する等の法律案
* 参議院 提出法律案PDF:児童扶養手当法の一部を改正する等の法律案
* 参議院法制局:児童扶養手当法の一部を改正する等の法律案要綱(PDF)
* 参議院法制局:児童扶養手当法の一部を改正する等の法律案新旧対照表(PDF)
* 衆議院 議案審議経過情報:児童扶養手当法の一部を改正する等の法律案
* こども家庭庁:令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果(PDF)
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