農業・食料

主要農作物品種育成法案

米・麦・大豆など主要農作物の公的な新品種育成について、農林水産大臣の基本方針と国の財政措置を定める法案です。

第221回国会参法第11号提出者: 参議院議員提出: 2026/6/23
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先委先本後委後本成立

一言で言うと

米、麦、大豆のよい品種を国や公的機関が育て、地域の農業で使い続けられるよう支え、種の確保を公的に後押しする法案です。

この法案のポイント

制度変更を表すイラスト

何が変わる?

主要農作物の公的な新品種育成を支えます。

稲、大麦、はだか麦、小麦、大豆について、農林水産大臣の基本方針と国の財政措置を定めます。

背景やタイミングを表すイラスト

なぜ今?

公的機関による品種づくりを続けるためです。

主要農作物の種子や品種は、収量、品質、病害への強さ、暑さへの耐性など生産基盤に関わります。

関係する人や地域を表すイラスト

誰に関係する?

農業者、公的試験研究機関、種苗生産に関係します。

公的育成品種を低い負担で使える環境づくりや、種苗生産技術を持つ人材育成に関わります。

詳しく読む

【参法#11】米・麦・大豆の品種づくりを、公的機関で続けるための法案

🌾 米・麦・大豆 / 🌱 種子・品種 / 🧪 公的研究 / 💴 財政措置

米、麦、大豆などの主要農作物について、公的な試験研究機関による新品種づくりを支える法案です。

農林水産大臣が基本方針を作り、国が財政上の措置などを講じ、農業者が公的に育成された品種を低い負担で使える環境づくりも求めます。

一次資料:提出法律案PDF

💡 一言で言うと

米・麦・大豆の品種づくりを、国が公的に支える法案です。

この法案は、稲、大麦、はだか麦、小麦、大豆を「主要農作物」と位置づけ、公的な試験研究機関による新品種づくりを続けやすくするための法律案です。

ポイントは、農林水産大臣が基本方針を作ること、国が財政上の措置などを講じること、そして農業者が公的に育成された品種を低い負担で使える環境を整えることです。

生活者にとっては、米、小麦製品、豆腐・納豆・みそなどの大豆食品を支える生産基盤の話です。品種は、収量、品質、病気への強さ、暑さへの耐性などに関係します。

🔑 何が変わるのか

この法案の核心は、主要農作物の新品種づくりを「公的機関の役割」として法律に位置づけ、国の支援を明記することです。

対象になる作物は、次の5つです。

* 稲

* 大麦

* はだか麦

* 小麦

* 大豆

法案では、これらをまとめて「主要農作物」と呼んでいます。

また、「公的新品種育成」とは、地方公共団体の試験研究機関、独立行政法人、地方独立行政法人などが行う新品種の育成を指します。そこで育てられた品種を「公的育成品種」と呼びます。

農林水産大臣が基本方針を作る

法案が成立すると、農林水産大臣は「公的新品種育成の促進等に関する基本方針」を定めることになります。

基本方針に入る内容は、主に次のようなものです。

* 公的新品種育成の意義と基本的な方向

* 公的新品種育成をどう進めるか

* 公的に育成された品種をどう有効に使うか

* 種や苗を生産する技術を持つ人材をどう育てるか

* その他、公的新品種育成を進めるために必要な事項

基本方針を作るときや変更するときは、関係する行政機関の長と協議します。定めた基本方針は、インターネットなどで公表することも法案に書かれています。

国が財政上の措置などを講じる

法案では、国に対して、公的新品種育成が継続的・安定的に行われるよう、必要な財政上の措置などを講じることを定めています。

ここでいう財政上の措置とは、予算措置などを通じて支えることを意味します。

ただし、法案本文には、具体的な予算額や補助対象の細目までは書かれていません。どの事業にいくら充てるかは、予算や制度設計の中で具体化される内容です。

農業者が低い負担で使える環境を整える

法案では、国と地方公共団体に対し、公的に育成された品種が農業者に低い負担で使われるよう、環境整備に努めることも求めています。

条文では「低廉な対価」という言葉が使われています。つまり、農業者が公的育成品種を利用するときの負担が重くなりすぎないようにする考え方です。

あわせて、公的育成品種に関する知的財産権について、国民の理解を広げるための教育や啓発も掲げています。品種には、育成した機関などの権利が関わる場合があるため、使い方や権利関係を周知することも制度の一部に入っています。

種や苗を作る人材を育てる

法案は、新品種を作る研究だけでなく、種苗(種や苗)を生産する技術の継承にも触れています。

国と地方公共団体は、公的育成品種の種苗を生産する技術を持つ人材を育てるため、指導や助言などに努めることになります。

品種を開発しても、実際に農家に届く種や苗を安定して作れなければ、生産現場では使えません。この法案は、研究と種苗生産の両方を見ています。

🏛️ 背景(なぜ今この改正なのか)

背景には、食料を国内で安定して生産するための基盤をどう維持するかという課題があります。

農林水産省によると、令和6年度の日本の食料自給率は、カロリーベースで38%でした。法案の目的にも「食料自給率の向上の観点」という言葉が入っています。

米、麦、大豆は、食卓に直結する作物です。米は主食であり、小麦はパンや麺、大豆は豆腐、納豆、みそ、しょうゆなどにつながります。

こうした作物を安定して作るには、地域の気候や土壌に合い、病気に強く、品質のよい品種が必要です。気温の上昇などに対応する品種づくりも、農業現場では関係するテーマです。

主要農作物種子法は平成30年に廃止された

かつては、稲、麦、大豆の種子について、都道府県の役割を定める「主要農作物種子法」がありました。

この法律は昭和27年に制定され、都道府県が原種・原原種を生産すること、種子を生産するほ場を指定すること、審査を行うことなどを定めていました。

その後、主要農作物種子法は、平成30年4月1日に廃止されています。

廃止後も、都道府県などは種子の供給に関わっています。農林水産省の資料では、稲、麦類、大豆の種子について、国内種子需要に対する供給率は100%と整理されています。

また、都道府県が独自に条例を作る動きもあり、農林水産省資料では、令和7年4月時点で33道県が主要農作物の種子に関する条例を制定しています。

種子生産の現場では人手と施設の課題がある

農林水産省の資料では、種子生産の現場について、担い手の減少や高齢化、施設の老朽化も示されています。

たとえば、水稲の一般種子の生産者数は、平成23年度の10,265人から令和元年度の8,171人に減っています。減少率は20.4%です。

また、種子センターの設置時期を見ると、昭和63年以前に設置された施設が約半数を占めています。種子を乾燥・調製する施設の更新も、安定供給に関わる要素です。

種子生産は、機械だけで完結する作業ではありません。異なる株や病気の株を取り除く作業など、現場の技術と経験に支えられている部分があります。

この法案が人材育成を盛り込んでいるのは、新品種を作る研究だけでなく、その種や苗を実際に増やして農家に届ける体制が必要だからです。

📊 現行制度と改正後の違い

現行制度

現在、稲、麦類、大豆の種子は、都道府県が毎年の種子計画を作り、公的な試験場などが原原種・原種を増やし、種子生産者が一般種子を生産する流れで供給されています。

原原種・原種とは、農家が使う一般の種子を増やす前段階の、もとになる種子です。品質のよい種子を安定して作るための土台になります。

また、種苗法の「指定種苗」の制度により、販売時の表示、基準、検査などのルールがあります。稲、麦類、大豆の種子も、この制度の対象に含まれます。

農林水産省資料では、種子の基準として、発芽率は稲で90%以上、麦類・大豆で80%以上などが示されています。

一方、旧主要農作物種子法はすでに廃止されています。旧法は、都道府県のほ場指定、審査、原種・原原種の生産などを柱にしていました。

改正後(法案成立後)

この法案が成立すると、新しい法律として、主要農作物の公的新品種育成を促す枠組みが置かれます。

主な違いは、次のとおりです。

1. 対象作物を5つに明記する

対象は、稲、大麦、はだか麦、小麦、大豆です。

旧主要農作物種子法と同じく、米・麦・大豆の生産に関わる作物を対象にしています。

2. 国の基本方針を作る

農林水産大臣が、公的新品種育成を進めるための基本方針を作ります。

基本方針には、育成の方向性、品種の利用、人材育成などが含まれます。

3. 財政上の措置を法律に書く

国は、公的新品種育成が継続的・安定的に行われるよう、必要な財政上の措置などを講じることになります。

研究機関の品種開発、種苗生産の体制、人材育成などを支える法的な根拠になります。

4. 農業者の利用負担にも触れる

法案は、公的育成品種を農業者が低い負担で使える環境を整えることを、国と地方公共団体の努力義務として定めています。

具体的な価格や利用料の数字は、法案本文には書かれていません。

5. 種苗生産の人材育成を入れる

国と地方公共団体は、公的育成品種の種や苗を生産する技術を持つ人材の育成に努めることになります。

新品種を作る研究と、その品種を現場に届ける生産技術をつなぐ内容です。

👥 影響を受ける人・対象者

農業者

稲、麦、大豆を生産する農業者に関係します。

公的に育成された品種を低い負担で使える環境づくりが法案に入っているため、将来の品種利用や種苗供給の仕組みに関わります。

種子・種苗を生産する人

種や苗を増やす生産者、採種に関わる人材にも関係します。

法案は、種苗生産の技術を持つ人材の育成を国と地方公共団体の役割として書いています。

都道府県や公的研究機関

地方公共団体の試験研究機関、独立行政法人、地方独立行政法人などが関係します。

新品種育成の担い手として、公的研究機関の役割が法律上明確になります。

生活者

生活者にとっては、米、小麦製品、大豆食品を支える生産基盤の話です。

品種や種子の供給は、日々の価格を直接決めるものではありません。ただ、国内で作物を安定して生産するうえで、品種開発と種苗供給は土台になります。

📅 施行日

法案の附則では、施行日は公布の日とされています。

公布とは、成立した法律を国民に知らせる手続きです。つまり、法案が成立して公布されると、その日から法律が施行されます。

この法案には、施行まで何年かの準備期間を置く規定はありません。

📤 提出者・所属

この法案は、政府提出法案ではなく、参議院議員による議員立法です。

参議院の議案情報では、次のように記載されています。

* 種別:法律案(参法)

* 提出回次:第221回国会

* 提出番号:11

* 提出日:令和8年6月24日

* 先議区分:本院先議

* 発議者:舟山康江君 外4名

* 提出者区分:議員発議

発議者として名前が表示されている舟山康江氏は、参議院議員です。参議院の議員プロフィールでは、所属会派は国民民主党・新緑風会とされています。

参議院の議案ページ、提出法律案PDF、参議院法制局の要綱では、「外4名」の個別氏名と賛成者の一覧は確認できませんでした。そのため、この記事では国会の公表資料で確認できる範囲に限って記載しています。

🔭 今後の見通し

この法案は、参議院に提出された参法です。

成立するためには、参議院と衆議院の両方で可決される必要があります。

成立した場合は、新しい法律として、主要農作物の公的新品種育成について、農林水産大臣の基本方針、国の財政上の措置、農業者の利用環境、人材育成などが制度化されます。

🔗 参考リンク

* 参議院 議案審議情報:主要農作物の優良な品種を確保するための公的新品種育成の促進等に関する法律案

* 参議院 提出法律案PDF:主要農作物の優良な品種を確保するための公的新品種育成の促進等に関する法律案

* 参議院法制局 第221回国会 参法・修正案一覧

* 参議院法制局 法律案要綱PDF

* 農林水産省 稲、麦類及び大豆の種子について

* 農林水産省 稲、麦類、大豆の種子をめぐる状況(令和8年4月)PDF

* 農林水産省 主要農作物種子法(平成30年4月1日廃止)の概要PDF

* 農林水産省 令和6年度食料自給率を公表します


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