インテリジェンス体制整備推進法案
外国の不当な影響や偽情報に備え、政府の情報収集・分析体制を整備するよう求める議員立法です。
衆議院 本会議で否決
次: 審議終了
一言で言うと
外国からの情報工作や影響工作に備え、国の情報収集や分析の体制を整え、安全保障に関わる判断を支えやすくする法案です。
この法案のポイント

何が変わる?
外国の不当な影響や偽情報に備え、政府の情報収集・分析体制の整備を求めた議員立法です。
この法案は衆議院で否決されており、制度としての変更は発生していません。成立していれば、外国の利益のための一定活動の届出制度や、内閣のインテリジェンス態勢整備推進本部の設置を政府に求める内容でした。

なぜ今?
国際情勢の複雑化やネット上の情報流通により、外国からの不当な影響力行使への備えが課題とされたためです。
法案は、偽情報や誤解を生じさせる情報の拡散が民主主義に与える影響の調査や、民間企業・大学などが持つ情報の保全措置も検討対象にしていました。国家安全保障戦略でも、偽情報を含む情報戦への対応が掲げられています。

誰に関係する?
成立していれば、内閣、関係行政機関、自治体、独立行政法人、企業・大学・研究機関に関係する案でした。
推進本部は関係行政機関や自治体などに資料提出や説明を求められる設計でした。外国の利益のために一定活動を行う人や団体については、将来の法整備で届出制度の対象になり得る構想でした。
詳しく読む
外国からの不当な影響に備え、政府の情報活動を整える法案は否決
🛡️ 安全保障 / 🕵️ 政府の情報活動 / 🗳️ 偽情報・外国からの影響
外国の利益のために行われる活動や、偽情報の拡散にどう向き合うかを扱う議員立法です。政府の情報収集・分析体制を法律で整え、3年以内を目途に関連制度をつくるよう求める内容でしたが、衆議院で否決され、成立していません。
主要資料: 提出法律案PDF
💡 一言で言うと
外国の影響に備え、情報活動の土台を国が作る法案でした。
ここでいう「インテリジェンス」とは、国の安全や公共の秩序を守るために、政府が情報を集め、整理・分析し、政策判断に使う活動のことです。重要情報を守ることや、日本への不当な情報収集に対処することも含みます。
この法案は、すぐに細かな義務を一つずつ定めるというより、国がこれから制度を作る方向を先に決めるタイプの法案です。成立していれば、政府は必要な法整備を施行後3年以内を目途に進めることになっていました。
🔑 何が変わるのか
最初に押さえる点は、この法案は成立していないため、制度としての変更は発生していないということです。
成立していた場合、主な変更点は次のとおりです。
- 外国の利益のために行われる一定の活動について、国への届出制度をつくる
- 偽情報や誤解を生じさせる情報の拡散が民主主義に与える影響を調査し、必要な施策を講じる
- 情報活動を担う機関や、それを管理する独立行政委員会を含め、政府の組織を整える
- 情報収集の手法を広げる一方、国民の自由や権利を制限する場合は必要最小限とし、公正な手続を求める
- 内閣に「インテリジェンス態勢整備推進本部」を置き、総理大臣を本部長にする
ただし、届出の対象になる「一定の活動」の具体的な範囲や、届出の手続の細目は、法案本文では示されていません。
🏛️ 背景(なぜ今この改正なのか)
法案の提出理由は、国際情勢の複雑化、インターネットや情報通信技術の進展により、外国による日本への不当な影響力の行使の脅威が増えている、というものです。
政府にはすでに内閣情報調査室があります。内閣情報調査室は、内閣の重要政策に関する情報を集め、分析し、官邸に報告する組織です。
また、国の安全保障戦略でも、人的情報、公開情報、電波情報、画像情報などを使った分析能力の強化や、偽情報を含む情報戦への対応が掲げられています。この法案は、そうした分野の制度づくりを国会議員側から提案したものです。
📊 現行制度と改正後の違い
この法案は否決されたため、ここでいう「改正後」は実現していません。内容を比べると、次のようになります。
政府の情報活動の司令塔
- 現行: 内閣情報調査室が、情報の収集・分析や関係省庁との調整を担っています。
- 法案: 内閣に「インテリジェンス態勢整備推進本部」を置き、総理大臣を本部長、内閣官房長官と担当大臣を副本部長、その他の全大臣を本部員とします。
法整備の期限
- 現行: この法案に基づく期限はありません。
- 法案: 政府は必要な法制上・財政上の措置を講じ、特に法制上の措置は施行後3年以内を目途に行うとされています。
外国の利益のための活動
- 現行: この法案が想定する新しい届出制度は設けられていません。
- 法案: 外国の利益を図る目的で行われる一定の活動について、国への届出制度を創設し、その活動を把握して国民に知らせる仕組みを求めます。
情報収集と人権への配慮
- 現行: 各機関が、既存の法令の範囲で情報収集や分析を行っています。
- 法案: 情報収集の手法を広げる一方で、国民の自由や権利に制限が加わる場合は、必要最小限で、公正かつ適正な手続の下で行うとしています。
民間企業・大学などの情報保全
- 現行: 特定秘密や重要経済安保情報など、既存の情報保全制度があります。
- 法案: 民間事業者、教育研究機関などが持つ情報を守るための措置について、国が検討し、必要な措置を講じるとしています。
👥 影響を受ける人・対象者
成立していた場合、まず影響を受けるのは政府機関です。内閣に新しい推進本部が置かれ、関係行政機関や自治体、独立行政法人などに資料提出や説明を求めることができる仕組みになります。
次に、外国の利益のために一定の活動を行う人や団体です。将来の法整備で届出制度の対象になる可能性がありますが、具体的な範囲はこの法案本文だけでは確認できません。
企業、大学、研究機関も関係します。法案は、こうした組織が持つ情報を保全するための措置を検討対象にしています。
📅 施行日と経過措置
法案が成立していれば、原則として公布の日から施行される内容でした。
ただし、推進本部に関する規定と内閣法の一部改正は、公布の日から1か月以内に政令で定める日から施行するとされています。
実際には法案が否決されたため、施行日はありません。
📤 提出者と審議結果
この法案は、衆議院議員提出法律案です。第221回国会の衆法第3号として、令和8年(2026年)3月10日に提出されました。
- 提出会派: 国民民主党・無所属クラブ
- 提出者(敬称略): 橋本幹彦、田中健、深作ヘスス
- 議案提出時の賛成者(敬称略): 浅野哲、飯泉嘉門、井戸まさえ、岡野純子、小竹凱、河井昭成、許斐亮太郎、近藤雅彦、佐々木真琴、鈴木義弘、高沢一基、玉木雄一郎、丹野みどり、長友慎治、鍋島勢理、西岡秀子、西岡義高、野村美穂、日野紗里亜、福田徹、古川元久、向山好一、村岡敏英、森ようすけ
審議経過は、令和8年(2026年)4月21日に衆議院内閣委員会へ付託され、4月22日に委員会で否決、4月23日に衆議院本会議でも否決されました。参議院での本付託や本会議議決はありません。
なお、同じ第221回国会には、内閣提出の「国家情報会議設置法案」もあります。本稿で扱っているのは、それとは別の、衆法第3号です。
🔗 参考リンク
- 参議院 議案情報「インテリジェンスに係る態勢の整備の推進に関する法律案」
- 提出法律案PDF(参議院)
- 衆議院 議案審議経過情報(衆法第3号)
- 衆議院 提出法律案要綱(衆法第3号)
- 内閣官房 内閣情報調査室
- 内閣官房 内閣の情報機関としての内閣情報調査室の役割について
- 内閣官房 国家安全保障戦略について
- 国家安全保障戦略PDF
- 内閣法制局 国家情報会議設置法案
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