刑事訴訟法改正案
再審での証拠開示や検察官の不服申立てを見直し、冤罪救済を早める刑事訴訟法改正です。
衆議院 本会議で否決
次: 審議終了
一言で言うと
無実を争うやり直し裁判で、検察側の証拠を出しやすくし、再審の手続きを進めやすくして、裁判の見直しを支える改正です。
この法案のポイント

何が変わる?
再審での証拠開示や、再審開始決定への検察官の不服申立て禁止を盛り込んだ、否決済みの刑事訴訟法改正案です。
成立していれば、再審請求人や弁護人が検察官保管証拠等の開示を請求でき、裁判所が開示命令を出せる仕組みを設ける内容でした。衆議院で否決されたため、現行制度は変わっていません。

なぜ今?
冤罪被害者を適正かつ迅速に救済し、基本的人権を保障する観点から提出された案です。
現行法にも再審の規定はありますが、再審請求段階での証拠開示や手続期日、再審開始決定への検察官の不服申立てをどう扱うかは、法案の大きな論点でした。政府提出の同名法案とは別の議員提出案です。

誰に関係する?
成立していれば、再審を求める本人、弁護人、検察官、警察などの捜査機関、裁判所に関係する案でした。
弁護人にとっては証拠の閲覧・謄写やデジタルデータの複写が明文化される点が実務上の変化でした。検察官は再審開始決定に対して即時抗告、異議申立て、特別抗告ができなくなる設計でした。
詳しく読む
裁判のやり直しを認める決定への検察官の不服申立てを禁止する案は否決
⚖️ 再審 / 📂 証拠開示 / 🧑⚖️ 検察官の不服申立て / 🗳️ 衆院で否決
確定した有罪判決などをやり直す「再審」の手続について、証拠開示を法律に書き込み、再審開始決定への検察官の不服申立てを禁じる議員提出法案です。
衆議院では2026年6月16日に否決され、法案としては成立していません。
💡 一言で言うと
裁判のやり直しを進めるため、証拠開示と不服申立てを見直す案です。
再審とは、確定した有罪判決などについて、あとから新しい証拠が出た場合などに裁判をやり直す手続です。
この法案は、再審を求める人や弁護人が、検察官などの持つ証拠を見られる仕組みを法律に定める内容でした。あわせて、裁判所が再審開始を決めた場合、検察官がその決定に不服申立てをできないようにする規定も置いていました。
ただし、衆議院本会議で否決されたため、現行制度は変わりません。
🔑 何が変わるはずだったのか
成立していれば、主に次の4点が変わる内容でした。
- 再審に関わった裁判官を外す規定を追加
元の裁判や取調べに関わった裁判官が、その事件の再審・再審請求手続を担当する場合、除斥・忌避の対象に加えます。
- 再審請求手続の期日を明文化
裁判所が、再審請求の手続を行う期日を指定・変更できるようにします。期日には検察官を出席させることもできます。
- 検察官などが持つ証拠の開示命令を制度化
再審を求める人や弁護人が、検察官保管証拠等の開示を請求できるようにします。裁判所は、一定の場合を除き、検察官に開示を命じる仕組みです。
- 再審開始決定への検察官の不服申立てを禁止
裁判所が再審開始を決めた場合、検察官は即時抗告、異議申立て、特別抗告をできないとする内容でした。
🏛️ 背景 なぜ今この改正案なのか
法案の理由には、再審制度によって冤罪(えんざい)の被害者を適正かつ迅速に救済し、基本的人権を保障する観点が掲げられています。
現行の刑事訴訟法にも再審の規定はありますが、再審請求の段階で証拠をどのように開示するか、手続の期日をどう進めるかについて、この法案ほど具体的な規定は置かれていません。
また、現行法では、再審開始決定などに対して即時抗告ができる規定があります。このため、裁判所が再審開始を決めても、その決定をめぐってさらに争われることがあります。
第221回国会には、政府提出の同名の刑事訴訟法改正案も提出されました。本記事で扱っているのは、西村智奈美君外3名が提出した衆法第9号です。
📊 現行制度と改正案の違い
裁判官の担当
- 現行
裁判官の除斥・忌避について、刑事訴訟法20条に規定があります。
- 改正案
再審や再審請求手続について、元の裁判やその基礎となった取調べに関与した裁判官を、除斥・忌避の対象に加えます。
ただし、受託裁判官として関与した場合は対象外です。
再審請求手続の期日
- 現行
再審請求手続の期日指定や調書作成について、今回のような新しい条文はありません。
- 改正案
新たに刑事訴訟法444条の2、444条の3を置きます。
裁判所は、申立てまたは職権で期日を指定・変更できます。期日には検察官を出席させることができ、手続について調書を作成します。調書は電磁的記録で作成し、ファイルに記録します。
証拠開示
- 現行
再審請求の段階で、検察官保管証拠等の開示命令について、この法案のような明文規定はありません。
- 改正案
新たに刑事訴訟法444条の4から444条の6を置きます。
対象は、検察官、司法警察職員その他の公務員が保管する事件の証拠や送致書類等目録です。警察など検察官以外が保管するものは、検察官が入手できるものに限ります。
裁判所は、再審請求人側から請求があった場合、次の場合を除き、検察官に開示を命じます。
- 再審請求が不適法なとき
- 再審請求に理由がないことが明らかなとき
- 関連性、必要性、開示による弊害を考えて相当でないと認めるとき
開示の方法は、本人には閲覧の機会、弁護人には閲覧と謄写の機会を与える仕組みです。デジタルデータについては、内容の閲覧・視聴、弁護人による複写や印刷なども想定されています。
裁判所への提示命令
- 現行
この法案のように、裁判所が開示判断のために証拠や一覧表の提示を命じる新しい規定はありません。
- 改正案
裁判所は、開示命令を判断するため必要があるとき、検察官に証拠や証拠の標目の一覧表を提示するよう命じることができます。
ただし、この提示された証拠や一覧表は、誰にも閲覧・謄写させることができないとされています。
検察官の不服申立て
- 現行
再審開始決定などに対して、即時抗告ができる規定があります。
- 改正案
新たに刑事訴訟法450条の2を置き、検察官は再審開始決定に対して、即時抗告、異議申立て、特別抗告をできないとします。
📅 施行日と経過措置
成立していれば、施行日は公布の日から1年以内で、政令で定める日とされていました。
また、施行時にすでに裁判所に係属している再審や再審請求手続にも、新しい規定を適用する内容でした。
さらに、施行後3年をめどに、捜査機関が作成・収集した書類や証拠物の目録の作成・保存、再審請求をしようとする人への証拠開示の在り方などを検討し、必要な措置を講じるとしています。
ただし、法案は否決されたため、この施行日や経過措置は発生していません。
👥 影響を受ける人・機関
この法案が成立していれば、主に次の人や機関に関係する内容でした。
- 再審を求める本人
- 再審事件を担当する弁護人
- 証拠を保管する検察官、警察などの捜査機関
- 再審請求を審理する裁判所
- 事件記録に関係する被害者、関係者
特に弁護人にとっては、証拠の閲覧・謄写やデジタルデータの複写が明文化される点が実務上の変更点でした。
🗳️ 審議状況
この法案は、2026年5月15日に衆議院へ提出されました。
衆議院では、5月26日に法務委員会へ付託され、6月12日に法務委員会で否決されました。その後、6月16日の衆議院本会議でも、起立採決で賛成少数となり否決されました。
衆議院本会議での会派態度は、次の通りです。
- 賛成会派
中道改革連合・無所属、チームみらい、日本共産党
- 反対会派
自由民主党・無所属の会、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ、参政党
📤 提出者・所属
提出者は、いずれも衆議院議員です。所属は、衆議院プロフィールなどの公表情報に基づく表記です。
- 西村智奈美君
比例代表(北陸信越)選出、中道改革連合・無所属
- 有田芳生君
比例代表(東北)選出、中道改革連合・無所属
- 高山聡史君
比例代表(東京都)選出、チームみらい
- 畑野君枝君
比例代表(南関東)選出、日本共産党
賛成者
所属会派別に整理すると、賛成者は次の通りです。
- 中道改革連合・無所属
赤羽一嘉君、伊佐進一君、泉健太君、犬飼明佳君、浮島智子君、大島敦君、大森江里子君、岡本三成君、小川淳也君、落合貴之君、河西宏一君、金子恵美君、神谷裕君、河野義博君、菊田真紀子君、金城泰邦君、輿水恵一君、後藤祐一君、近藤和也君、佐藤英道君、重徳和彦君、階猛君、庄子賢一君、田嶋要君、角田秀穂君、中川宏昌君、中川康洋君、長妻昭君、中野洋昌君、西園勝秀君、沼崎満子君、野田佳彦君、野間健君、浜地雅一君、原田直樹君、福重隆浩君、山岡達丸君、山崎正恭君、山本香苗君、吉田宣弘君、早稲田ゆき君、渡辺創君
- チームみらい
宇佐美登君、河合道雄君、小林修平君、須田英太郎君、土橋章宏君、林拓海君、古川あおい君、峰島侑也君、武藤かず子君、山田瑛理君
- 日本共産党
塩川鉄也君、辰巳孝太郎君、田村智子君
🔗 参考リンク
- 参議院 議案情報ページ
- 提出法律案PDF
- 衆議院 議案本文情報一覧
- 衆議院 法案要綱
- 衆議院 議案審議経過情報
- e-Gov法令検索 刑事訴訟法
- 衆議院 会派別議員一覧 中道改革連合・無所属
- 衆議院 会派別議員一覧 チームみらい
- 衆議院 会派別議員一覧 日本共産党
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