定時制・通信制高校法改正案
定時制・通信制高校の対象を多様な生徒に広げ、通信制高校の適正運営に向けて国の基本指針や自治体・設置者の責務を定める改正です。
審議待ち
次: 衆議院 委員会
一言で言うと
定時制・通信制高校を、働きながら学ぶ人だけでなく、多様な生徒に合う学びの場へ見直し、学び直しや通学の選択肢を広げる改正です。
この法案のポイント

何が変わる?
定時制・通信制高校の運営ルールを広げます。
法律の目的を多様な生徒の学びに合わせ、通信制高校の適正運営に向けた国の基本指針や自治体・設置者の責務を置きます。

なぜ今?
通信制高校の生徒数と学校数が増えています。
生徒の背景が多様化し、一部学校の運営実態も課題となる中で、質と運営の確認まで法律に位置づけます。

誰に関係する?
定時制・通信制高校の生徒、学校設置者、自治体に関係します。
通信制課程の管理運営、広域通信制での自治体間連携、教職員研修や教育内容の改善に関わります。
詳しく読む
定時制・通信制高校を多様な生徒の学びの場に 国が運営指針を作る
🏫 高校教育 / 🌙 定時制・通信制 / 🧭 学校運営指針 / 👥 多様な生徒
この法案は、定時制・通信制高校の法律を、働く青年中心の制度から、多様な生徒の学びを支える制度へ書き換えるものです。特に通信制高校について、国が運営の基本指針を作り、自治体や学校設置者の責務を法律に明記します。
💡 一言で言うと
定時制・通信制高校を、多様な生徒の学びに合わせて作り直します。
現行法は昭和28年にできた法律で、出発点は「働きながら学ぶ青年」の教育を広げることでした。
改正案では、目的に「勤労青年その他の多様な生徒」を明記します。あわせて、定時制・通信制教育を広げるだけでなく、学校運営が適切に行われるようにする仕組みを法律に入れます。
🔑 何が変わるのか
核心は、通信制・定時制高校の量的な振興から、質と運営の確認まで法律の対象に広げることです。
主な変更点は次のとおりです。
- 法律名を「高等学校の定時制教育及び通信教育の振興等に関する法律」に変更
- 目的を「勤労青年」中心から「多様な生徒」へ更新
- 国、地方公共団体、学校設置者の責務を明記
- 通信制高校の適正な運営のため、文部科学大臣が基本指針を策定
- 都道府県をまたぐ通信制課程について、自治体間の情報共有や調査を基本指針に盛り込む
- 国が定時制・通信制教育の調査研究を進める規定を追加
現行法の本則は第6条までですが、改正後は第11条まで置く形になります。
🏛️ 背景 なぜ今この改正なのか
通信制高校は近年、生徒数と学校数が増えています。
文部科学省資料では、通信制課程の生徒数は令和2年度の20万6948人から、令和7年度の30万5221人へ増えています。通信制課程を置く学校数も、同じ期間に257校から332校へ増えています。
また、通信制高校に通う生徒の背景も多様化しています。令和7年度通信制高等学校実態調査の速報版では、令和7年度入学者のうち、中学3年生のときに不登校だった生徒は4万4461人、割合は57%でした。
一方で、文部科学省は、通信制高校について一部の学校で不適切な学校運営や教育活動の実態があることも示しています。そのため、ガイドライン、設置認可基準の標準例、点検調査などが行われてきました。
今回の法案は、こうした流れを受けて、法律そのものに「適正な実施及び運営の確保」を書き込むものです。
📊 現行制度と改正後の違い
1. 法律の目的が変わります
現行法の目的は、勤労青年教育の重要性を前提に、働きながら学ぶ青年に高等学校教育の機会を広げることです。
改正後は、対象を「勤労青年その他の多様な生徒」に広げます。さらに、生徒が社会で自立して生きる力を培い、個性に応じて進路を決められるようにする趣旨が入ります。
2. 国・自治体・学校設置者の役割を分けて書きます
国は、専門教育の充実、就職支援、高等教育との接続など、必要な施策を総合的に進める責務を持ちます。
地方公共団体は、地域の特性に応じた施策を作り、実施する責務を持ちます。定時制・通信制教育の総合計画を作る努力義務も置かれます。
学校設置者には、次のような責務が明記されます。
- 施設、設備、管理運営体制の整備
- 情報通信技術を活用した教育内容・方法の改善
- 生徒の特性を踏まえた教員研修
- 国や自治体の施策への協力
- 通信制高校と連携する施設での適正な教育の確保
3. 通信制高校について国の基本指針を作ります
文部科学大臣は、通信制教育の適正な実施・運営を確保するため、基本指針を定めます。
基本指針には、通信制高校の管理運営、行政による監督・情報提供・指導・助言・勧告、広域通信制課程での自治体間連携などが入ります。
広域通信制課程では、学校本校と連携施設が別の都道府県にまたがることがあります。改正案は、そうした場合の情報共有や、管理運営状況を把握するための調査を基本指針の対象にします。
4. 行政の権限行使と調査研究も書き込みます
国と地方公共団体は、学校教育法、私立学校法などに基づく権限を適切に使い、定時制・通信制教育の適正な実施と運営を確保するものとされます。
国には、定時制・通信制教育の内容や方法に関する調査研究を進め、その成果を広げるための施策を行う規定も加わります。
👥 影響を受ける人・対象者
生徒・保護者
中心は、個人給付よりも学校運営の質を確保する仕組みです。通信制高校を選ぶ際、本校だけでなく、連携施設の運営も行政の確認対象として扱われる方向になります。
通信制・定時制高校の設置者
施設や設備、教員研修、ICT活用、連携施設での教育確保などが、法律上の責務として明記されます。
都道府県などの自治体
地域の実情に応じた施策や計画、広域通信制課程をめぐる他自治体との連携が求められます。
国・文部科学省
通信制教育の基本指針を作り、自治体への情報提供や助言、調査研究を進める役割を担います。
📅 施行日と経過措置
施行日は、公布の日から6か月を経過した日です。
ただし、文部科学大臣が基本指針を準備するための規定などは、公布の日から施行されます。施行日前に基本指針を定めて公表した場合、その基本指針は施行日に新法に基づくものとみなされます。
🏛️ 国会での扱い
この法案は、第221回国会に衆法第23号として提出されました。
令和8年6月24日に衆議院で受理され、令和8年6月25日に衆議院本会議で可決されました。採決態様は多数、採決方法は起立です。同日に参議院が受領しています。
📤 提出者・所属
議案情報上の提出者は、文部科学委員長です。提出者区分は委員会発議です。
衆議院の文部科学委員会名簿では、委員長は斎藤洋明衆議院議員で、会派は自民と記載されています。政党としては自由民主党です。
個別の賛成者名は、公表資料では確認できません。衆議院本会議の賛成会派として、次の会派が記載されています。
- 自由民主党・無所属の会
- 中道改革連合・無所属
- 日本維新の会
- 国民民主党・無所属クラブ
- 参政党
- チームみらい
- 日本共産党
🔗 参考リンク
- 参議院 議案情報:高等学校の定時制教育及び通信教育振興法の一部を改正する法律案
- 衆議院 議案審議経過情報
- 衆議院法制局 第221回国会衆法情報
- 法律案本文PDF
- 法律案概要PDF
- 新旧対照表PDF
- 衆議院 文部科学委員会 委員名簿
- 文部科学省 高等学校通信教育の質の確保・向上
- 文部科学省 令和7年度通信制高等学校実態調査 速報版概要PDF
- 文部科学省 通信制高等学校の学校数・生徒数資料PDF
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