政治・行政

ネット選挙ルール改正案

選挙運動メールの主体制限をなくし、AI画像・動画の表示義務や大規模SNS事業者の選挙情報対策を加える改正です。

第221回国会衆法第26号提出者: 衆議院議員提出: 2026/6/23
審議中

衆議院 本会議を通過

次: 参議院 委員会

先委先本後委後本成立

一言で言うと

選挙中のネット発信について、メール、SNS、AI時代に合わせて禁止行為や削除対応を見直し、ネット上の選挙運動を整理する改正です。

この法案のポイント

制度変更を表すイラスト

何が変わる?

ネット選挙のメール・AI・SNSルールを改めます。

選挙運動メールの送信主体制限を廃止し、AI画像・動画の表示義務と大規模SNS事業者の選挙情報対策を加えます。

背景やタイミングを表すイラスト

なぜ今?

選挙でのネット利用とAI生成物の広がりに対応します。

現行制度は2013年のネット選挙解禁時の枠組みを基にしており、SNSや生成AIの利用状況に合わせた整理が課題です。

関係する人や地域を表すイラスト

誰に関係する?

候補者、政党、有権者、大規模SNS事業者に関係します。

選挙運動のメール利用、AIで作った画像・動画の表示、サービス上の虚偽情報対策に関わります。

詳しく読む

ネット選挙をSNS・AI時代に合わせる法案、メール規制も廃止へ

🗳 選挙 / 🤖 AI画像・動画 / 📱 大手SNS対策 / ✉️ 選挙メール

選挙期間中のネット発信について、AIで作った画像・動画の表示義務、大規模SNSなどの事業者への対策義務、選挙メール規制の廃止をまとめて行う法案です。

2026年6月26日に衆議院で可決され、参議院に送られています。一次資料:衆議院 提出時法律案

💡 一言で言うと

選挙のネット発信を、メール・AI・SNSの現実に合わせ直します。

これまでの公職選挙法は、SNSや動画サイトは使える一方、電子メールは候補者や政党などに限る仕組みでした。今回の法案は、電子メールを特別扱いする規制をなくし、ネット発信のルールに一本化します。

あわせて、AIで作成・加工された画像や動画を選挙運動に使う場合は、そのことを画面上で分かるようにする義務を設けます。大規模SNSなどの事業者には、選挙の公正に悪影響を与える情報流通への対策と、年1回の公表を求めます。

🔑 何が変わるのか

主な改正点は4つです。

  1. 選挙運動メールの送信主体制限を廃止

現行法では、選挙運動用の電子メールを送れるのは候補者や政党などに限られています。改正後は、電子メールも「インターネット等を利用する方法」の一部として扱います。

  1. AI画像・AI動画の表示義務を新設

AIで作成・改変された画像や映像を選挙運動などに使う場合、AI利用の事実が受け手の端末画面に正しく表示されるようにする義務を設けます。

  1. ネット利用者の責務を追加

候補者について虚偽の事項を公表したり、事実をゆがめて公表したりして、選挙の公正を害することがないようにする責務を置きます。

  1. 大規模SNSなどに選挙情報対策を義務付け

大規模な情報流通サービスの提供者に、法令違反情報、虚偽情報、事実をゆがめた情報などによる選挙への悪影響を軽減するため、サービスの特性に応じた措置を求めます。

🏛️ 背景:なぜ今この改正なのか

インターネット選挙運動は、2013年の公職選挙法改正で解禁されました。当時は、ホームページ、ブログ、SNS、動画共有サービスなどを使った選挙運動は広く認める一方、電子メールは候補者・政党などに限る形でした。

今回の法案は、その後の選挙でネット利用が広がったことを前提にしています。法案の理由では、「選挙に関するインターネット等の利用の状況に対応するため」と説明されています。

また、AIで実写に近い画像や動画を作成・改変できる環境も広がっています。法案は、実際に撮影されたものと誤認されるおそれがあるAI画像・映像について、選挙運動で使う場合の表示義務を置く構成です。

📊 現行制度と改正後の違い

✉️ 1. 選挙メールの扱い

現行制度では、ウェブサイトやSNSを使う選挙運動は候補者・政党だけでなく一般の有権者にも認められています。一方、電子メールを使った選挙運動は、候補者や政党などに限られています。

改正後は、公職選挙法142条の4を削除し、電子メールも「インターネット等を利用する方法」に含めます。これにより、電子メールだけに設けられていた送信主体・送信先・記録保存・表示義務などの特別な規制をなくします。

🤖 2. AI画像・動画の表示義務

新たに設ける142条の5では、AI関連技術を使って作成・改変された画像や映像について、次の文書図画に掲載してネットで頒布する場合、AI利用の事実を画面上で正しく表示する義務を置きます。

  • 選挙運動のために使う文書図画
  • 当選させないための活動に使う文書図画で、公示・告示日から選挙当日までに頒布されるもの

ただし、改変の内容が社会通念に照らして軽微なものや、実際に撮影されたものと誤認されるおそれがないものは対象から外します。

📱 3. 大規模SNSなどの事業者対応

情報流通プラットフォーム対処法には、大規模なサービス提供者に関する章があります。今回の法案は、そこに「選挙の公正に対する悪影響を軽減するための措置」を追加します。

大規模サービス提供者は、サービスの特性に応じて必要な措置を講じる義務を負います。具体的な措置の内容は、総務大臣が指針を定めて公表する仕組みです。

また、事業者が毎年1回公表する事項に、この措置の実施状況を追加します。

👥 影響を受ける人・対象者

有権者・支援者

電子メールを使った選挙運動の制限が変わります。SNS投稿だけでなく、メールで選挙に関する文書図画を送る場合も、ネット選挙運動の一部として扱われます。

一方で、候補者について虚偽の内容や事実をゆがめた内容を広めて選挙の公正を害さないようにする責務が明文化されます。

候補者・政党

選挙メールの規制が簡素になります。AI画像・動画を使う場合は、AIで作成・改変されたことを表示する対応が必要になります。

大規模SNS・動画共有・掲示板などの事業者

総務大臣から指定を受ける大規模サービス提供者は、選挙の公正に悪影響を与える情報流通について、軽減措置を講じ、実施状況を毎年公表することになります。

📅 施行日と経過措置

施行日は2027年3月1日です。

改正後の公職選挙法は、施行日以後に公示・告示される選挙から適用されます。施行日前日までに公示・告示された選挙は、従前のルールで扱います。

総務大臣の指針に関する規定など一部は、公布日から施行されます。指針は施行日前に定め、公表することもできる仕組みです。

🔭 追加で検討するとされた事項

附則では、2つの検討事項も置かれています。

1つ目は、在外選挙人名簿に登録されている有権者について、衆議院議員・参議院議員選挙でインターネット投票を導入するかどうかです。本人確認の方法や、端末画面で候補者に関して表示すべき事項などを、公布後1年をめどに検討するとしています。

2つ目は、街頭演説など候補者が実施する演説を妨げる行為への対応です。政治活動の自由に配慮しつつ、演説の機会を保障する観点から引き続き検討するとしています。

📤 提出者・所属

この法案は衆議院議員提出法案です。発議者は逢沢一郎氏ほか10名です。

提出者

  • 逢沢一郎(衆議院/自由民主党)
  • 大野敬太郎(衆議院/自由民主党)
  • 加藤勝信(衆議院/自由民主党)
  • 鈴木英敬(衆議院/自由民主党)
  • 落合貴之(衆議院/中道改革連合)
  • 中野洋昌(衆議院/中道改革連合)
  • 金村龍那(衆議院/日本維新の会)
  • 三木圭恵(衆議院/日本維新の会)
  • 森ようすけ(衆議院/国民民主党)
  • 和田政宗(衆議院/参政党)
  • 武藤かず子(衆議院/チームみらい)

賛成者

賛成者は、浅田眞澄美、五十嵐清、石坂太、石田真敏、井出庸生、稲葉大輔、井上信治、井原隆、今岡植、岩崎比菜、上原正裕、内山こう、衛藤博昭、大岡敏孝、大空幸星、岡本康宏、尾花瑛仁、鹿嶋祐介、梶山弘志、勝目康、加藤貴弘、加藤大博、神田潤一、岸信千世、木原誠二、国定勇人、小池正昭、古賀篤、後藤茂之、小林史明、坂井学、塩崎彰久、新藤義孝、鈴木馨祐、鈴木淳司、高橋祐介、武田良太、橘慶一郎、田村憲久、辻由布子、渡海紀三朗、とかしきなおみ、中川貴元、中曽根康隆、西田昭二、西野太亮、野田聖子、橋本岳、長谷川淳二、葉梨康弘、東田淳平、平井卓也、福田達夫、福原淳嗣、藤田ひかる、古川禎久、牧島かれん、松本泉、村井英樹、森山裕、山際大志郎、山下史守朗、山本左近、渡辺孝一、赤羽一嘉、有田芳生、伊佐進一、泉健太、犬飼明佳、浮島智子、大島敦、大森江里子、岡本三成、小川淳也、河西宏一、金子恵美、神谷裕、河野義博、菊田真紀子、金城泰邦、國重徹、輿水恵一、後藤祐一、近藤和也、佐藤英道、重徳和彦、階猛、庄子賢一、田嶋要、角田秀穂、中川宏昌、中川康洋、長妻昭、西園勝秀、西村智奈美、沼崎満子、野田佳彦、野間健、浜地雅一、原田直樹、平林晃、福重隆浩、山岡達丸、山崎正恭、山本香苗、吉田宣弘、早稲田ゆき、渡辺創、青柳仁士、東徹、阿部圭史、阿部司、池下卓、池畑浩太朗、一谷勇一郎、市村浩一郎、伊東信久、岩谷良平、梅村聡、浦野靖人、うるま譲司、奥下剛光、柏倉祐司、喜多義典、黒田征樹、斎藤アレックス、住吉寛紀、関健一郎、高見亮、中司宏、西田薫、萩原佳、馬場伸幸、原山大亮、藤田文武、前原誠司、村上智信、横田光弘、若狹清史、臼木秀剛、西岡秀子、古川元久、川裕一郎、宇佐美登、河合道雄、小林修平、須田英太郎、高山聡史、土橋章宏、林拓海、古川あおい、峰島侑也、山田瑛理の各氏です。

🏛️ 審議状況

この法案は2026年6月24日に衆議院へ提出されました。6月25日に衆議院の政治改革に関する特別委員会で可決され、6月26日に衆議院本会議で可決されました。採決は起立採決で、結果は多数です。

同日、参議院に送付されています。

🔗 参考リンク


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